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終章

彼は只、歩く。その人達のもとへ。そのために、6年も辛い日々をおくった。


家の扉を開けて空を見ると、今日も1日いい天気になりそうな空だった。

彼女は、微笑んだ。

「おかーさーん」

4歳になる娘が、足に飛びついてきた。

「ちょっと、珠李シュリ。お母さん、畑に行かなくちゃいけないんだから」

我が子にそう言いながら彼女は外を見て、ハッと息を呑んだ。

遠くからでも、しっかり分かった。

「こ…」

幼馴染みでありつつ、夫の弟である義理の弟がそこにいた。

「黒龍!!」

彼女はそう言うと、その男の元へ走り出した。

「虹龍。どうし…」

家の中から顔を出した彼女の夫も、すぐに顔色を変えて走り出した。


公主・虹龍、護衛・白龍の駆け落ちから5年。

鬼門国との戦いも、終止符を打っていた。

虹龍は白龍との間に子供ができ、普通に農民となって暮らしていた。

只、自分達を逃がしてくれた黒龍が、どうなったかが気になっていた。


「俺さ、鬼門国の捕虜になってたんだよ」

黒龍は、虹龍と白龍にそう言った。

黒龍は捕虜になった時の話もしてくれたが、それは又別の話だ。


虹龍は、海辺の崖に来た。

時々、ここに来るのが彼女の日課だった。

「虹龍」

後ろから、黒龍が話し掛けてきた。

「うん?」

虹龍は、振り向かずに答える。

「ここ、いい所だな」

「そうでしょ。ここからは、とっても良く海が見えるの」

虹龍は、フッと笑う。

「私、いつか珠李が大人になって、素敵な旦那さんと結婚して幸せになったら、この海の向こうに行ってみたいな」

虹龍は、クルッと振り向く。

「もちろん、白龍やあんたと一緒にね」

黒龍の、フッと微笑む。

虹龍は、公主を辞めた。しかし、虹龍は5年前の虹龍と変わっていなかったのだ。


その後虹龍は珠李以外にも、男児2人、女児1人の子宝に恵まれた。

黒龍は誰とも結婚せず、73歳で死ぬまで旅をしたという。

虹龍はというと、海の向こうに行く事無く、普通の女として生きた。

白龍が87歳で死ぬと、その翌年、後を追うように85歳で死んだ。

普通の人生の、普通の幸せを手に入れた、幸せな最後だったと言う。

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