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「悪いが、よろしく頼んだ」
「……はい、失礼します」
写真への動揺を隠すため、なるべく事務的な対応に徹して、社長室を出た。
扉を閉めた瞬間、ハァーとため息が漏れる。
お父さんたら、なんて約束をしてくれちゃったんだろう。今までは、『おまえは会社の後継者のことなど何も考えなくていいから、好きになった相手と気にせず一緒になればいい』とか、言ってたのに──。
それが、急な結婚話を持ってきたかと思えば、お相手はあのクーガの御曹司だなんて……。
本当に、びっくりなんだけど……。でも、この写真の彼のイケメンぶりには、想定外な話とは言え、やっぱり会うのが楽しみなところはちょっとだけあったりも……。
(けど外見は素敵でも、内面はどんな感じなんだろう? お父さんの話だと、すごく頭のキレる人みたいだったけれど……)
もう一度、手元の写真をまじまじと見つめる。すると、思いがけなくも胸がドキドキとして、私は高ぶる気持ちを抑えようと、再びハァーと息を吐き出した──。