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#BL
kaede🍁
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おその★
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事務所の廊下を歩く足音だけが静かに響く。
先頭を歩くのはチーフマネージャー。
少し間を空けて、佐久間、目黒、そして阿部が続く。
廊下の一番奥。
見慣れたメンバー用の控室の前で、チーフマネージャーが立ち止まった。
「みんなには、『レコーディングが延期になったから、この部屋で待機していてほしい』とだけ伝えてある。」
阿部はドアを見つめたまま動けない。
あと数歩。
その向こうには六人の仲間がいる。
「怖い?」
隣の目黒が静かに尋ねる。
阿部は正直に頷いた。
「うん……。」
そんな阿部を見た佐久間は、いつものようににやっと笑った。
「じゃあ、空気変えるか!」
「え?」
阿部が止める間もなく、佐久間はドアノブを勢いよく回した。
「おはよーございますーーー!」
ノックもせず、元気いっぱいの声が部屋中に響く。
「みんなー! お待たせー!」
突然の大声に、部屋の中の六人が一斉に振り向く。
「うわっ!」
「びっくりした!」
「ノックくらいしろよ!」
思わず笑いが起こる。
その空気に、廊下で固まっていた阿部の肩の力が少しだけ抜けた。
佐久間は振り返り、小さく目配せする。
――大丈夫。
その合図に背中を押され、阿部と目黒も部屋へ入った。
部屋の中が静かになる。
全員の視線が、阿部へ向けられた。
阿部はぎゅっと拳を握る。
(来る……。)
驚き。
悲鳴。
混乱。
そんな反応を覚悟していた。
けれど――。
「……やっぱり。」
最初に口を開いたのは、ふっかだった。
腕を組みながら、小さく息を吐く。
「阿部だったか。」
翔太もどこか納得したように頷く。
「そんな気がしてた。」
阿部は思わず顔を上げた。
「……え?」
ふっかが苦笑する。
「今日のレコーディング、急にリスケになっただろ?」
「しかも理由を誰も教えてくれない。」
翔太が続ける。
「最近、事務所の中で変な噂が流れてたんだよ。」
「『突然、女の子になった人が何人もいるらしい』って。」
「最初は冗談かと思ったけど。」
「阿部が何日も休んでるタイミングと重なって。」
ふっかは阿部を優しく見つめる。
「もしかしたらって、話してた。」
阿部は驚きで言葉が出ない。
ラウールが立ち上がり、小さく笑う。
「でも、会えてよかった。」
「ずっと心配してた。」
康二も頷く。
「ほんまやで。」
「体調悪いって聞いてたから、どうなってるんか思て。」
宮舘は静かに微笑む。
「顔を見られて安心した。」
今朝、自分のためにサンドイッチを作ってくれたことを思い出し、阿部の胸が熱くなる。
そして、岩本がゆっくり阿部の前まで歩いてきた。
「阿部。」
阿部は思わず身構える。
しかし岩本は穏やかな表情で頷いた。
「無事でよかった。」
その一言だけだった。
誰も騒がない。
誰も責めない。
部屋に流れているのは、戸惑いではなく安堵だった。
阿部の目に涙が浮かぶ。
「みんな……。」
声が震える。
「ごめ――」
言いかけたところで、翔太が苦笑した。
「あー、また謝ろうとしてる。」
「その癖、変わってないじゃん。」
部屋に小さな笑いが広がる。
「見た目は変わっても。」
ふっかが優しく笑う。
「阿部は阿部だろ。」
その言葉に、阿部は堪えていた涙をこぼした。
怖かった。
拒絶されると思っていた。
けれど目の前にいた六人は、最初に見たのは”女の子”ではなく、“阿部亮平”だった。
その事実だけで、阿部はもう十分救われていた。
コメント
1件
ああ、第14話……よかった……。阿部が一番怖がってた「拒絶」が全然なくて、むしろ「阿部は阿部だろ」って言ってもらえるの、泣けるわ。佐久間のあのノリで空気変えるとこ、マジでナイスすぎる。チームの信頼関係がちゃんと描かれてて、読みながらじんときた。続きが気になる!