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「あなたを、愛してる」
「愛してるよ。君を」
抱き合って止むことのないキスをする。
「結婚を少し早めないとな」
「私は、いつでもいいですから」
「いつでもいいと思っていたら、いつになるかわからないから……」
彼がふと言葉を切り、フロントガラス越しに映る海に目を移した。
「……秀司が結婚式の時にも話していたように、再婚する気はずっとなくてな。もうすることはないかもしれないと、自分でも感じていたんだ……」
彼がふぅーっと小さくため息を吐く。
「だが、君を手離すようなことはできなくて。想いは募るばかりで……こんなにも愛せる人ができるなど、思ってもみなかった」
感慨深いような思いで、「……はい」とだけ相づちを打つ。
「だから、きっと──」
と、彼が私をじっと見つめた。
「君と私が出逢えたのは、偶然などではなく、必然だったのだろうと」
抱き寄せられ唇が触れ合うと、幸せの涙が流れ落ちた……。
家へ帰り着くと、華さんが笑顔で出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ」
「ああ、ただいま」
「ただいま帰りました」
玄関で靴を脱いで上がろうとすると、
「もうご夫婦そのものですね」
そう華さんから声をかけられた。
「近いうちに、本当にそうなるはずだから」
すかさず彼が応えると、
「……まぁ!」と、華さんが口に手をあてて、「ようございましたね、鈴ちゃま!」と、私の身体を抱き寄せた。
「はい、ありがとうございます」
「お幸せになられてくださいね」
「ああ、幸せにするよ」
私を抱く華さんごと両腕に包むようにして、彼がぎゅっと強く抱き締めた──。
このあたたかな幸せに満ち溢れた時を、いつまでも変わることなく、あなたと──
end──
番外編は、もう1エピソード続きます。