ここからはストーリーにあまり関係ない(まぁ無くはないけど……)
只単に旧双黒の尊さを伝えたかった故、軽い特別編みたいなの書きました。
時間軸としたら《昼》は8話の後半の太宰さんが資料を作って持ってくる前の所に当たって、《夜》は同じく8話前半の夜です。
こんな感じかなって考えてやってたら、想像以上に尊いのができた(笑)
殆ど寝てます。
何云ってんだろww
それでは“尊い”をおすそ分け〜
↓↓↓
空が藍色に染まりかけた頃。
「本当は帰ってもらった方が中也君も過ごしやすいと思うんだけど、何かあった困るからねぇ」
ポートマフィア本部、最上階。
首領執務席から、森は中也と太宰に告げた。
「解毒薬が出来る迄は、太宰君と共にマフィア本部に泊まってもらうよ。いいね?」
「「は…はい………」」
少年と青年が、嫌味な顔で見つめ合いながら致し方無く返事をした。
空が深い闇に染まる。
ポートマフィアの診療室の一つ。
部屋には他に誰もいなく、いくつものベットがあり、其のうちの二つを大宰と中也は使っていた。
「電気消すぞ」
互いにベット一つ分を空け、中也は太宰に聞く。
「んー…」太宰は布団に身を包み込みながら、だらしない返事をした。
パチっと電気が消える。
真っ暗の空間の中、中也は今日の疲れを吐き出すように息を付き、髪をかき上げた。
ゆっくりと瞼を閉じ、眠ろうとした其の時。
──────ゴソッ
「………ん?」下の方に視線を移す。
中也はギョッと目を見開いた。
太宰が中也のベットに潜り込んできたのだ。
「やっほー中也☆」
キラキラした妙に中也を苛立たせる笑みで、太宰が云う。
「オイ、何してンだ手前」
「いやぁ?一緒に寝ようかなって…」
太宰はこてんっと中也が使っているベットに横になる。
「はぁ!?」掛け布団を引っ張り上げながら、中也は勢い良く起き上がった。「否っ…何の為に手前からベット一つ分空けたと思ってるンだよ!!」
「私も空けた事には同意だけれど、私のベット硬いわ冷たいわで、環境的に眠れな〜い」
「俺のも同じなんだが?」
「全然違うよ。中也がいるじゃないか」
そう云って中也の方に視線を移した太宰は、小さな手を伸ばす。
「中也に温めてもらいに来たんだから。ね?一緒に寝よ?」
子供らしい弱い力で、キュッと中也の服を太宰が掴む。
「っ………」
中也の情が揺れた。
「という訳だから“湯たんぽ”、疾く横になって?」
「よし、一回殺してやっからその儘寝転ンどけ」
「わぁー怖い☆」
「死ね」
そう云いつつも、中也はベットに潜り込む。「ふふっ…」と、太宰が小さく笑みをこぼした。
太宰は中也の服を掴んだまま瞼を閉じ、中也の胸元に額を擦り寄せる。
「…………」
――くそッ……寝れねェ…。
肘を付きながら、中也は太宰が眠るのを待ち続けた。
***
「──や!─────中──!!」
何か声が響いた。
「一寸中也っ!!!」
「っ……!」
勢い良く俺は瞼を開ける。至近距離に太宰が居た。
太宰は俺を睨む。
「あのねぇ中也、いくら私が現に小さいからって、抱き枕にするのは止め給え」
「君が足を絡めてくるから、一ミリも動けない」
その言葉通り、自分が太宰を抱き枕のようにして寝ていた事に気付く。
「わっ、悪ぃ!」
ぱっと太宰から離れた。太宰は溜め息に近い息を吐く。
「ほら、疾く着替えて森さんのとこ行くよ」
「お…おう」
太宰はベットから離れ、部屋の出口へと歩いてく。
俺は自分の手のひらを見た。
「すげぇ……」
思わず声を漏らす。
(抱き枕って使ってるのと使ってないので、全然眠りの深さ違ェンだな……)
抱き枕の需要について、俺は一つ身を持って学んだ。
***
中原中也の幹部執務室にて。
「ざっと此処等辺か……」
資料を見ながら中也は言葉を発する。
力を抜くように息を吐き、自分の執務席に資料を放り投げた。
ぐぃーっと背筋を伸ばす。
そして今度は疲れを吐き出すように、息をついた。
「…………」
中也が先程持っていた資料は、“太宰に頼まれた事”についてまとめた資料であった。
被害者が太宰と云う事は伏せ、芥川達に調べさせた。
資料によると、数々の某組織が集結し、ある薬物を作っているとの事。全て太宰の予測通りであった。
然しそれ以上を調べるには敵との接触が必要になる。
変に接触し、太宰がポートマフィアに居ると感付かれると元の子もない。
(まぁ大体敵の潜窟と他の拠点も割り出せたし、後は作戦を立てて襲撃するだけか……)
窓から差し掛かる日光が、中也の眠気を誘う。
「____…」
ゆっくりと瞼を閉じていった。
***
「中也ー」太宰が、ひょこっと扉から顔を出す。
執務席で中也は昼寝をしていた。
(あの寝方からして普通に堕ちたな……)
太宰は中也の元へかけより、日光を布団に眠る中也を起こそうとする。
「中也、ねぇ中也ってば…!」声をかけながら、太宰は中也の躰を揺らす。
然し中也は一向に起きない。
ふと、机の上に置いてある資料に、太宰は気付いた。
資料を手に取り、椅子の空いてるスペースに腰を下ろして、中也を背もたれの方へと少し押す。
見事にすっぽりと、太宰は中也の座っている椅子に座れた。
────パラッ……
一室に、紙をめくる乾いた音が響く。
「………後で修正しよ」
そう呟いた太宰は、机の上に資料を戻す。視線を中也に移した。
力を抜き、後ろに体重をかける。
中也の温もりが太宰の肌を優しく包み込んだ。
「────ぅ、ん……」眠気が、幼い太宰を襲う。
自然と、太宰は中也の手を握っていた。
ゆっくりと瞼を閉じる。
その部屋に属する物は、何一つ二人に干渉しなかった。幸せそうに眠る二人を、邪魔する者は居なかった。
一人の人間を除いて。
「……………此れは此れは」
森が扉から顔を出し、手元の携帯で写真を撮る。
まるで双子の子供達が同じ格好で眠っているのに微笑ましく写真を撮る保護者の雰囲気を、森はまとっていた。
──────パシャッ
――後に太宰はこの写真を森から奪い消去すべく、全力を注ぐ三日間が訪れるが、これもまた別の御噺……。
コメント
2件
かわいいぃぃ!!! 尊すぎる!最高だ〜!