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辺り一面、白い。
この白い中を、なぜ私は歩いているんだろう。
それすらも、もう覚えていない。
第一、なぜこんな薄いズボンを履いているんだろう。
下を向くと、雪に負けない真っ青が目に入る。
もう、感覚がねえよ。
遠くに、灯りが見える。
人影らしきものも見える。
最後の力を振り絞って、駆ける。
女に、縋り付くことになるなんてな、。
なんで、こないな所を歩いてはるんどす?
分からねえよ。
分からねえよ、そんなの。
まあまあ、うちに入りましょう。さあ、お早くお早く。
お前こそ、なぜこんな所に居るんだよ。
…お兄はん、日本昔話いうものはご存知どすか?
それが、この状況で言うことか?
…それなりだよ、小さい頃にもうサヨナラだ。
あらまあ、読んでおかんと、勿体ないどすわあ。
……は?
見分けがつかんのも、そのせいでっしゃろねえ。?
目の前に、灯りが灯ったと思った時には。
俺の魂が、抜かれていた。
こちらも魂どすえ。…灯りやと思て、炎やと思て、縋って来はったんでしょう?
妖しく笑うその顔しか、もう見えなくなっていた。
アテは狐どすえ、御馬鹿なお兄はん?