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桃紫 さく🌸
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1年生のいる教室棟はいつも以上に賑わっていた。
それもそのはず。
同じ人間とは思えない輝きを放つ2人が廊下を歩いているのだ。
「神々しすぎる…」
「見てるだけで癒される。」
「神様が作る最高傑作だろ…」
男女問わず目を引く2人組。
目黒とラウールが仲良く廊下を歩いていた。
「な、なんやこの人だかり…!?」
そして、いつも通り登校をしていた向井は困惑する。
人が多すぎて廊下が歩けないのだ。
(今日はお祭りかなんかなん?)
向井は必死に背伸びをして、集まる生徒の視線の中心を探す。
視線の的になっているのは………
「……っ!目黒くんとラウールくんや!って、うわあっ!?」
なんとか目黒とラウールの姿を認識したが、思いっきり背伸びをしたせいでバランスを崩す。
向井の声と転ぶ音によって、視線の中心は向井に変わる。
もちろん、目黒とラウールも向井を見ている。
「危ないから気をつけなよ。」
即座に目黒が向井の元へ駆け寄る。
そして、まるで王子のように片膝を崩して、手を差し伸べる。
「……へ、へあ……!!///」
向井は、羞恥心と憧れと緊張で震えた手を目黒の手に重ねる。
目黒に引っ張ってもらいながら立ち上がる。
立ち上がった途端に顔をかばんで隠した向井を見て、目黒は少し微笑む。
そして、そのままニヤニヤと待っているラウールの元へ戻って行った。
目黒の王子の様な行動と最後の微笑みに、その場にいた生徒のざわめきが大きくなる。
「なにあの笑顔!?」
「顔面国宝の破壊力……」
「あんな風に笑うんだ……」
周りからの視線は一切気にせずに、目黒とラウールは教室へ入って行った。
向井は、まだかばんで顔を隠したまま、2人の背中に瞳を輝かせた。
「さすがめめ!かっこいいじゃん。」
目黒とラウールは席につき、先ほどの話をしていた。
「困ってる人は助けるように言われてるしね。」
目黒は、当然と言った顔で答える。
「それにしても、めめがファンサなんて珍しいじゃん。」
「ファンサ?」
目黒の反応にラウールはニコニコする。
「もしかして無自覚?あの微笑みだよ〜。」
「……俺、笑ってた?」
「笑ってたよ!みんな大混乱だよ〜?目黒くんが、笑った!?ってね。」
「マジかよ。」
目黒は本当に無自覚のようだ。
ラウールも、久しく公の場で笑う目黒を見ていなかった。
「あの子、可愛い子だったね。」
ラウールは少し冗談を交えながら目黒に話しかける。
「さっきの?」
「そう、めめが助けた子。」
ラウールは、目黒からどのような回答が飛び出てくるかをワクワク待っていた。
しばらく考えて、返ってきた言葉は……
「よくわかんねぇけど、“ドジ”そうだよな。」
「あははははは!それめめが言う?笑」
今日も2人は楽しそうだ。
「じゃ、また後でね。」
「おう。終わったら呼べよ。」
1年生のいる教室棟からは少し離れた、3年生のいる棟。
宮舘と渡辺は、昇降口の前で別れる。
そのまま、宮舘はそこで立ち止まり、渡辺は靴箱に向かう。
これが、2人にとっての日常だった。
「しょったー!!おっはよ〜!!」
「うわっ!朝からうるせー!」
渡辺が上履きに履き替えて、教室に向かおうとした時、佐久間が後ろから飛びついてきた。
「てかさー、なんで学年でわざわざ棟変えるんだろーね?」
佐久間がカフェラテを飲みながら、渡辺に話しかける。
「いや…知らねーし!」
「だってさぁ、学年分かれてると交流少ないじゃん!多学年の情報も入らんし…阿部ちゃんに会えないじゃん!!」
「どーでもいいわ。」
最後の佐久間の言葉に、一気に渡辺は冷める。
そんな軽い雑談を交わしながら、2人は教室へ向かう。
「俺も行くか。」
渡辺が佐久間と共に教室へ向かったのを確認し、宮舘も遅れて教室へ向かう。
なぜ、このような行動をしているのか。
それには、宮舘と渡辺にまつわる噂が関係していた。
この学校には、数多くの噂が存在している。
なぜか、この学校には噂好きが集まってしまうのだ。
毎年、毎月、毎週のように新しい噂が生まれている。
とっくに忘れられた噂、何年も前に生まれたのに、まだ生徒の記憶に残る噂。
生徒の噂、教師の噂、学校そのものの噂……
誰かの発言が、すぐに噂となって広がっていくのだ。
最近で言うと、新生徒会と新風紀委員の顔面偏差値バグ。
新入生の顔面国宝とスタイルお化け。
ここの2つが今最もホットな噂だ。
そして、まだ生徒の記憶に残っている噂……
宮舘と渡辺の関係性。
渡辺が、風紀委員をしていた時に起こった事件…
『翔太!?どうしたの!?』
『やめろ…触んなっ!!!』
『翔太?翔太、俺だよ、?翔太?』
『はぁっ、はっ、はぁはぁ…涼太、ごめ、俺……』
『……ううん、大丈夫だよ。帰ろうか。』
『…………うん。』
渡辺が、風紀委員の仕事を辞めたいと言い出した時の会話が、宮舘の頭によぎる。
宮舘は、あの日、渡辺に何があったのかを知らない。
だが、その日から2つの噂が広まっていた。
1つ、渡辺は“喧嘩“で負けた“だけ”で風紀委員をやめた。
2つ、宮舘と渡辺は、“特別な関係”である。
渡辺は、噂に自分が関わることが嫌いだ。
それこそ、2つ目の噂は、渡辺にとっては耐え難いものだろう。
だから、2人は学校では距離を置くようにしているのだ。
宮舘は、少し重めのため息をついて教室へ向かった。
きっと、この方法が渡辺にとって1番良いのだろう。
実際、噂は薄まりつつある。
……これが、正しい選択なのだ。
そして、もう1つ。
新入生も、入学して3日目には知っている噂。
この噂は、“2年前”から存在し、いまだに残っている噂。
“学校1のサボり魔“
一部の生徒の間で囁かれている別名……
“堕落した優等生”…
「うわぁ…校門閉まるの早ぁっ!」
噂の本人は、かばんを片手に、閉められた校門の前で立ち尽くしていた。
「はぁぁぁ……絶対会長と委員長じゃん…時間に厳しくなっちゃったんだぁ…」
ため息をつきながら、深澤はかばんを背中に背負うと…
「よーいしょっと!」
身長よりも少し高い門を飛び越えた。
「よっしゃ!着地せーこう!」
そのまま、うまく着地ができたので、深澤はその場で軽くガッツポーズをする。
「んっと、一限目は…数学かぁ、だるっ!」
深澤はイヤホンを両耳につける。
「ふんふんふーん」
向かう先は、誰もいない空き教室。
「あれ?深澤じゃん!」
「ん〜?」
空き教室に向かう途中、背後から声をかけられた。
「……あ、遠藤か!久しぶり〜」
遠藤と呼ばれた生徒は、深澤が1年の頃のクラスメイトだ。
「もしかして、遠藤サボり〜?わら、よくないねぇ。」
「はは!お前が言うなよ!このサボり魔が!笑」
何気ない言葉を交わす。
2人は、それくらいの仲ではあったのだ。
昔は、もう少し深澤は距離を詰めていたが……
「てかさ、お前、ほんとに何やってんだよ?」
「………う〜ん?何やってるって言うと?」
軽い言葉を交わしている途中、遠藤が不思議そうな顔で問いかける。
深澤は、少し表情を変える。
「いや…お前、昔はそんなんじゃなかったじゃん。」
その一言で、深澤の空気が変わる。
「昔、かぁ…懐かしいね!わら」
深澤はとぼけてみせる。
「お前、一部では“堕落した優等生“なんて呼ばれてんだぜ?」
「おもろ〜、めっちゃ厨二くさいじゃ〜ん。」
「……たまには、ちゃんと授業受けろよ。」
「はいはい。じゃっね〜!」
遠藤がいなくなったのを確認し、深澤は空き教室の鍵を開ける。
窓を開けて、カーテンを閉める。
窓際の向かい合ってる机に寝転ぶ。
「………だるいな〜…」
深澤は大きくため息を吐く。
「何が、堕落した優等生だよ…くだんねぇ…」
机の上から起き上がり、ポケットからスマホを取り出す。
「真面目な風紀委員長、ねぇ…」
学校の、“裏掲示板“。
ここに、数多くの噂が集まっている。
深澤が目にしているのは、生徒会と風紀委員のメンバーの特徴だ。
「へぇ…今年は翔太いないんだぁ…あは、佐久間もやってねぇじゃん!阿部ちゃんと一緒にやるって言ってたくせにさ!わら、涼太は今年も継続かぁ…翔太と一緒に辞めると思ってたんだけど。」
やけに詳しく書かれている生徒会、風紀委員の特徴。
一体、誰がこんなに早く正確に記しているのか…
ひとまずそれは置いといて。
深澤は裏掲示板を閉じて、かばんからゲーム機を取り出す。
だが、
「あ…ああああああああっっっ!!!!!!」
深澤は絶叫する。
画面にヒビが入っていた。
おそらく、校門を飛び越えた時にかばんの中に被害があったようだ。
「うわぁ…最悪なんだけどぉ!!」
コメント
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おお、第2話読んだよ! 新キャラたくさん出てきて一気に世界観広がったね〜。目黒の無自覚王子スマイル、やばかったなwあれで「ドジそう」って冷静に言えるのギャップすぎる。 宮舘と渡辺の距離感、なんか過去に何かあった感じ?噂と実際のギャップが気になって仕方ないわ。 そして深澤…「堕落した優等生」ってワードめっちゃ刺さる。ゲーム機壊れた絶叫シーンでちょっと笑ったけど、裏掲示板見てる目線とか、ただのサボり魔じゃなさそうで続きが楽しみ🔥