※スカワ音(スカイワープ×サウンドウェーブ)、音波が弱ってるのをスカワが助けて仲良くなる話、スカワ視点
とても長い
情報参謀は嫌われ者だ。多分、デストロン軍でダントツに嫌われてる。陰険陰湿、チクリ屋、ゴマすり。情報参謀に対する印象を聞けば、これらが返ってくる。
ブ「どうしたよー!スタースクリーム!!飲みが足りねぇんじゃねぇかあ??!」
泥酔いのブリッツウィングが、仕事が終わりで今飲みに来たスタースクリームの背中をバンバン叩く。
ス「うるせぇやい。メガトロンの野郎に叱られてたんだよ。またサウンドウェーブがチクリやがったんでぇ。」
チッ!と舌打ちをするスタースクリーム。その横で兄弟機のサンダークラッカーは苦笑いしていた。まあ、俺も嫌いたけど。あいつの事。
ア「はぁあ、あいつは良いよなぁ。メガトロン様の横に居るだけでいいんだもんよぉ。ずっと部屋に引き篭ってさー。俺たちみたいに前線で戦い続けてる訳でもねぇのに。なんであんな偉そうなんだ??」
アストロトレインが酒を飲みながらタラタラと文句を言う。分かるよ、その気持ち。
ブ「なあ!スカイワープ〜。」
俺にブリッツウィングが寄り掛かって来た。
スカワ「おう、そうだな。アイツのブレインスキャンが問題の1つだぜ。」
サウンドウェーブはブレインスキャンが出来る。それで相手の頭の中を覗くんだ。だから何考えてるか分かるって訳だ。プライバシーの侵害だぜ、この野郎。
サ「アハハ…まあ、それも仕事だからな。」
ス「なんだよ!!!!サンダークラッカー!!!!!アイツの肩持つ気かぁあ?!!!!!」
ブリッツウィングとスタースクリームが怒鳴りつけると、サンダークラッカーが両手を上げ、「ごめんってー!」と謝る。
スカワ「俺、そろそろ任務あるわ。」
ア「おぉ、頑張れよー!」
ブ「じゃあなー!!」
そう言えば今日は俺が見張り役だ。夜遅くまで居なきゃだから疲れんだよな。
スカワ「…はぁあ、やっと終わったぁ〜…。」
伸びをしながら、デストロン基地に戻って来た。眠たい。疲れた。早くスリープモードに入りてぇよ。そんな事考えながら、重い足取りで自室に向かう。
その時だった。曲がり角の向こうでガタンッ!って音がした。気になるから覗いて見れば、壁に凭れてるサウンドウェーブが居た。後ろ姿だからあんまり分かんねぇけど、なんか苦しそうだった。
スカワ「……………何やってんだ??アイツ。」
吐いてる、口から。嘔吐ってやつか。サウンドウェーブが気持ち悪そうにしてる。でも、俺には関係ない。逆に清々するぜ。嫌いな奴が苦しんでて悲しくなる奴とか居るかよ。
俺はその場を通り過ぎようとしてた。でも、足は直ぐに止まる。
良く考えてみたら、アイツになんかあったら、結局困るのは俺たちだ。デストロン軍はサウンドウェーブに依存してる。アイツが居ないとデストロンってのは成り立たない。それぐらいアイツはデストロンには欠かせない存在だ。それにアイツがここで死んでしまえば、メガトロン様にだって負担がかかる。俺は通り過ぎすに、未だ壁に凭れかかりながら前へ進もうとするサウンドウェーブへ歩み寄った。
スカワ「サウンドウェーブ、どうした。」
肩を掴めば、ビクリと機体が跳ねた。驚いたサウンドウェーブがこちらを見る。相当辛そうだった。結構酷い状態だったな。
てか、マスクを付けてなかった。そりゃあそうか、吐いてんだもん。フェイスパーツあったんだな。割と綺麗なフェイスパーツしてんな、とか。頭の悪い事しか考えらんねぇ。
スカワ「立てよ、ほら。」
俺は半ば無理矢理サウンドウェーブを起こした。その間にもサウンドウェーブは気分悪そうにしてるから、本気で大丈夫かって思った。
ふと、頭の中にスタースクリームとの会話が思い浮かぶ。確か、身体を動かすより、ブレインを使う方が余っ程エネルギーを消耗するってな。それだったらサウンドウェーブってヤバくないか??コイツ、いつも情報機関の仕事してるし、いつ休憩取ってんの??俺が見るかぎり、いっつも部屋に閉じこもってデスクに座ってパネル突いてる印象だけど。多分あながち間違ってない。
スカワ「部屋まで運んでやるから、トランスフォームしろよ。今の時間帯は他の奴等は寝てるだろうしな。」
拒否されると思いながら提案すると、サウンドウェーブは無言のまま、ラジカセにトランスフォームして俺の手の中に収まった。
スカワ「(おぉ……聞き分けいいな。)」
結構関心した。いつも相手からの手助けを断る様なプライドの高い奴が、こうもあっさり承諾するなんてな。それ程ヤバいって事か。てか、熱っ。コイツ、オーバーヒートしてんじゃねぇか?滅茶苦茶熱いぞ。
そう思ってる間にサウンドウェーブの部屋に辿り着いた。
スカワ「……着いたぞ。」
サウンドウェーブがトランスフォームし、ヨタヨタと部屋のロックを解除する。
スカワ「………休憩とってるのか??」
何となく聞いてみる。そしたら、サウンドウェーブが固まる。なんか言葉でも考えてんのかな。それとも俺のブレイン読んでんのかな。でも、無言は肯定と見なすぜ。
スカワ「とってねぇだろ、休めよ。俺が見張っといてやるから。」
スカワ「……………。」
すると、サウンドウェーブは無言で頷き、スリープ台に横たわった。正直、俺も眠たいけど。デストロン存続のため、メガトロン様のためと考えると、コイツをほっとけねぇんだよな。一応、情報参謀だし。上司だし。
翌日、
スカワ「ねっむ〜……。」
欠伸しながら、サウンドウェーブが起きるのを待つ。そしたらバイザーに光が灯った。起きたかな?
音「……感謝する。」
掠れた声が小さく聴こえた。感謝する??お礼とか言えたんだなコイツ。
スカワ「おぉ、気にすんな。あんま無理すんなよ。」
取り敢えず、労いの言葉を言ってやる。そしたら、マスク外してるからコイツの表情分かりやすいんだけど、滅茶苦茶困った顔すんの。
スカワ「ん??なんだよ、その顔。」
音「……何故??」
何故とは。
スカワ「何が???」
音「何故、俺を助けたんだ??お前たちは俺が嫌いだろう??」
自覚はあったんだな。そうだよ、嫌いだよ。大嫌いだ。でも、これもメガトロン様のため。そのまま伝えたら、コイツ安心した様な顔をした。変なの。
音「そうか。」
スカワ「嬉しそうじゃん。」
音「お前も真面目なところがあったんだと思ってな。」
スカワ「あっそ。じゃあ、俺帰るぞ。」
もう用はないので、サウンドウェーブの部屋を出ようとした。そしたらサウンドウェーブに止められる。
音「ちょっと待て。」
スカワ「んだよ。」
サウンドウェーブは部屋の奥へ行き、何かを持って戻って来た。酒だった。
スカワ「うお!滅茶苦茶品質良いやつじゃん!」
流石にこれにはテンション上がった。酒好きだし、疲れてる身体に酒は染み渡るんだ。サウンドウェーブは質の良い酒を俺に差し出す。
音「やる。メガトロン様が下さった物だが、俺は酒は得意じゃない。お前たちは良く飲んでるだろう??」
スカワ「おぉ!いいのか?!!やったー!!」
この時はマジで感謝したわ。めっちゃ嬉しかったし。そしたら、サウンドウェーブが微笑む。結構顔に出やすいなコイツ。
それからはやっと自室に帰って来れて、早速、サウンドウェーブから貰った酒を飲んだ。滅茶苦茶美味かった。
あれから数日過ぎて、また夜遅くまで見張りをした。今日は見張り役だっ奴が戦死したから代わりに俺がやる羽目になった。昨日、酒を飲みながら話してた奴なんだよな。でもここは戦場、今は戦争中。んなもん、日常茶飯事だ。
ここ最近は上手く行く事が無く、尽くサイバトロン共に邪魔されている。だからメガトロン様の機嫌も悪いんだよな。
サ「情報参謀様は忙しそうだな。」
隣を歩いてたサンダークラッカーが言う。サウンドウェーブが向こうで、カセットロンと共に情報を処理しているからだ。確かに忙しそうだな。
スカワ「ああ、だな。」
サ「お前さんもこれから夜勤だろ??ご愁傷さま。」
スカワ「ああ。」
サンダークラッカーと別れて野外へ向かう。
やっと終わった。仕事帰りに一杯飲もうかな?そう思いながらメインルームへ向かった。
スカワ「やっぱ誰も居ねぇなあ〜。」
1人で飲むのもあれだが、仕事終わりの酒は美味い。よって飲む。
スカワ「……ああ、やっぱ酒はうめぇー。」
音「スカイワープ。」
スカワ「ブウゥッ!!!!!!!!」
音「ウオ。」
背後に音も無く近付くなよな。
スカワ「おい、無言で近付くなよ。」
怒りを顕にすると、驚かして来た張本人 サウンドウェーブが申し訳なさそうな雰囲気を醸し出す。
音「スマン。」
スカワ「なんの用でえ。」
頬杖をついて聞けば、
音「隣二座ッテモイイカ?」
スカワ「は?……別にいいけどよ。」
こんな事あるのか。あのサウンドウェーブが飲みに来るなんてな。あれから休憩とるようにしたのかな。
音「ドレガ薄インダ。」
スカワ「ん〜、これ。」
メニュー表に書かれたものを指差しながら、酒を飲む。やっぱ、サウンドウェーブがくれた質のいい酒が1番だったな。
音「…………。」
マスクを外したサウンドウェーブはデスクに置かれた酒を飲み始める。
スカワ「お前ってさー、いつとってんの??」
音「……………??」
スカワ「休憩ー。」
ちょっと酔いが回ってるな、俺。
音「……………いつだったか忘れた。ただ、今日久々に休憩した。」
スカワ「…久々って。」
ビビった。コイツ、もしかして休憩全然してなかったのか??死ぬぞ??オーバーヒートしねぇの??否、前のはしかけてたのか。大丈夫か??身体ダルくねえの??絶対辛いだろ。知らんけど。俺は頭悪いからブレイン使わねぇし。
多分、俺のブレイン読んだんだろうな。サウンドウェーブが困った様な顔をする。前と同じだ。
音「………何故そんなに、俺を気にかけるんだ…??」
スカワ「だって…お前、そんな仕事してたら普通はオーバーヒートするもんだし。辛くねぇの??」
そしたら、サウンドウェーブは分からないと答えた。
音「……もう、慣れた。確かに最近は、仕事の量も増えたが…。」
スカワ「そうか、じゃあまた来いよな。俺が居るって分かってたから、今日は来たんだろ??」
音「……あ、ああ。」
恥ずかしそうにするサウンドウェーブにちょっと好感が上がった。ほんと顔に出やすいな、コイツ。
スカワ「今は吐いたりしてねぇの?」
音「ああ。レーザーウェーブやメガトロン様が休めと言っていたから。」
スカワ「自分では日程決めてないのな。」
音「残っている資料がまだ沢山ある。本当なら休むなんて出来ない。」
お前、そんなんだからオーバーヒートしかけるんだよ。
そう思えば、今は熱くねぇのかな。
スカワ「サウンドウェーブ、こっち向け。」
気になった俺はサウンドウェーブの頬に手の甲を付ける。そしたら、サウンドウェーブの肩が跳ねた。
音「な、なんだ…?」
スカワ「熱くはねぇな。前は滅茶苦茶熱かったんだよ。」
待って、コイツのほっぺた柔らかい。フニフニしてる。
音「な、なんら!お、おぃ?!」
両手でサウンドウェーブの頬を摘む。顔を赤くしたサウンドウェーブは全力で抵抗。多分、俺は酔ってる。
スカワ「うへへぇ。」
音「なッ…やへ、やへほッ…!!!」
サウンドウェーブの顔が凄く赤い。多分、コイツも酔ってるな。顔が熱いし。
スカワ「酔ってるだろ、お前。」
音「おひゃえひはひはへはふない!!」
スカワ「なんて??」
音「へぇははへ!!!!!!」
頬を摘む俺の手を強引に剥がすサウンドウェーブ。痛そうに頬を摩っていた。
スカワ「で?なんて言った??」
音「お前には言われたくないと言ったんだ!!!!!頬を抓るな!!!!!」
流石に怒るよな。でも、なんか今のサウンドウェーブは、なんて言うか、
スカワ「……可愛い。」
音「はあッ?!!!!!!/////」
顔が真っ赤に染まる。照れてんなコイツ。
音「じょ、冗談もッ…程々にしろ!!!!!怒るぞ!!!!!」
スカワ「もう怒ってるぜ。」
そう言いながらサウンドウェーブの頬を突く。そしたら、サウンドウェーブに腕を叩かれた。結構痛い。
スカワ「はは。」
音「全く……あ、前から気になっていたんだが、お前はいつもここに来て飲んでいるのか??」
スカワ「別に。運が悪いだけでぇ。今日は俺じゃなかったんだけどよ、当番の奴が死んじまったから、前に担当してた俺が任されたって訳だ。めんどくせぇ。」
俺は愚痴りながら酒を一杯飲み干し、もう一杯注文する。
音「お前はそういった愚痴をいつも誰に言ってるんだ??」
スカワ「あ??」
変な事聞くな、コイツ。
スカワ「ん〜、別に色々だな。時と場合によって変わるし。スタースクリームやサンダークラッカー、アストロトレイン、ブリッツウィングとか…。他にも色々居るな。」
音「そうか……。」
どうしたんだ、急に考えこんで。
音「スカイワープ。」
スカワ「あん??なんだ。」
音「ストレスを発散する方法はなんだ??」
スカワ「えぇ。それぞれじゃねぇか、それはぁ。俺は愚痴るのが1番だけど、あとは酒を飲むとか、嫌な事を忘れられるし。」
音「そうか…。」
サウンドウェーブは考え込む様に俯いた。コイツみたいな奴はストレスとか相当溜まるだろうな。あのスタースクリームでさえ、あれだもん。
スカワ「もしかしてさー……ストレス解消の仕方知らねぇの??」
音「……………。」
なんかコイツの事分かって来た気がする。また、図星だったみたいでサウンドウェーブは固まった。
スカワ「ん〜……話す相手は居ねぇの??フレンジーとか、ランブルとか。」
音「フレンジーやランブルだって任務で疲れる。それなのに、俺の都合で愚痴を聞かせるのも気が引ける。」
お人好しだなー。
スカワ「そうやって気ぃ使ってたら、もっとストレス溜まるぞ??」
音「あぁ…。」
スカワ「って事は、お前はあれからスリープモードにすら、ろくになってねぇとか??」
音「ね、寝て、ない…。」
おふ、マジか。コイツ完璧な奴だと思ってたけど、結構自分に疎いな。
スカワ「なんか休憩はとれよな。また、オーバーヒートしかけても困るし。」
音「あ、ああ…分かった。」
スカワ「まあ…とりにくかったら、俺んとこに来いよ。」
音「ああ、助かる。」
サウンドウェーブはエネルゴンの入ったカップに口を付ける。チビチビ飲むのな、コイツ。結構可愛いところなんのな。
スカワ「お前って、可愛いとこあんのな。」
音「俺は男だ。可愛いと言われても困る。」
スカワ「へへ。なあ、サウンドウェーブ。俺なぁ、お前の事嫌いだったんだぜー。」
酔いが回ってるからか饒舌になってるな、俺。口が滑る滑る。
音「知っている。前に言っていた。俺を助けたのはメガトロン様やデストロン軍の為で、俺の事は大嫌いだと。」
スカワ「そう〜。でもよー、今はお前の事、好きなんだよなー。」
音「……意味が分からない。」
サウンドウェーブは首を傾げて、こちらを見遣る。俺の顔は多分、情けないくらいにふにゃけてる。
音「…お前、相当酔ってるぞ。どれくらい飲んだんだ??」
スカワ「えぇえ…何本飲んだぁ〜??」
ヤバい。俺、寝るかもしんね。
音「……おい、スカイワープ。おい、おい。」
スカワ「…スゥー……。」
音「…………寝てる、のか。」
そこから俺の記憶はスリープモードに移行したせいで無かった。スタースクリームから聞いた話だけど、部屋までサウンドウェーブが運んでくれたとか。
スカワ「え?マジ??」
ス「おー、マジ。ってかお前、サウンドウェーブと飲んでたのか??」
スカワ「うん、飲んでた。」
ス「ふぅ〜ん。」
スタースクリームの顔が曇る。コイツはサウンドウェーブの事嫌いだから、嫌だろうな。同じ顔の、しかも兄弟機の俺が大嫌いな情報参謀と酒飲んでんだもん。
ス「あっそ。」
あら、結構素っ気ない。
スカワ「なぁんでぇ。お前の事だから、なんか文句言ってくんかと思ったのにぃ。」
ス「うっせ。この頃、アイツ大人しいから別になんとも思わねぇよ。嫌いだけどな!!」
そう怒鳴り、スタースクリームは出て行った。多分、任務があるんだろうよ。
スカワ「また、飲めたらいいけどなあ。」
アイツと飲むのは、そんなに悪くないと思う。
終わり
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