「よかった、戻って」
「ありがとな、ゆっくりやってくれて」
「前みたいな、怖い思いはさせなくなかったから。キスまでで思い出してくれてよかった」
「ん、ありがと」
正直少し賭けだったけど、匂いが1番記憶に直結するって聞いたから、シャワーを浴びた後に、もう一度いつもの香水をつけておいた
付き合ってから変えたこの香水は翔太くんのお気に入りだ
あとはもう、俺の時みたいに、肌に、体温に、訴えかけるしかなかった
怖い思いなんてさせたくないから、なるべく手前で思い出して欲しくて、翔太くんの琴線に触れることをずっと考え続けていた
「蓮の腕の中は、俺にとっては1番安心する場所だから」
「好きだもんね、この体勢」
「うん」
そう言いながら、いつものように俺の首元に顔を埋めて抱きついてくる
泣かれなくって本当によかった
「俺たちはちゃんとお互いを五感で覚えてるんだな」
「ふふ、体の芯まで刻み込まれてる?」
「そうじゃなきゃ困る」
「じゃあ、今度こそ忘れることのないように、もっと刻み込んでもいい?」
話しながら抱き上げて寝室へ向かう
「ん、いいぞ。ご褒美だ」
「なにそれ笑」
「成長したご褒美」
「跡、つけてもいい?」
「見えないところだけ、特別だぞ」
「みんな、わかってると思うけど」
「そういうことじゃないし、それでも恥ずかしいの」
「はいはい」
丁寧に下ろして、啄むようなキスからもう一度始める
いつもよりゆっくり、いつもよりも殊更に愛を伝えて、いつもより応えてもらって、翔太くんといる幸せを噛み締めた
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kaede🍁さんのお陰で毎日本当に元気をいただいています🥹 素晴らしい作品をありがとうございます🙇♂️✨✨