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「他にも、ですか?」


「…あぁ、そうだ。これまで隠し通すつもりだったが……もう、誤魔化しきれそうにない」


シュタルク様は私の手を握ったまま


指の関節をなぞるようにゆっくりと、這わせるように動かした。


その指先はわずかに震えていて、彼の中に渦巻く葛藤の激しさを物語っている。


「メリッサ。君は、自分がどれほど『可愛い』か自覚がないだろう」


「えっ?」


「……いつも健気に俺のためにと駆け回り、失敗しては頬を赤くし、俺が一口食べただけで花が咲いたように笑う。その姿を見るたびに、俺の中の理性が、音を立てて軋むんだ」


「え……?でも…喜んで、くださっていましたよね…?」


困惑する私をよそに、シュタルク様の瞳の奥に宿る熱が、どろりと濃く変質していく。


「喜んでいるさ。だが、それだけじゃない。あまりにも愛らしくて、無防備で、俺を信じ切っているその瞳を見ていると……無性に、君をめちゃくちゃに壊してしまいたくなる」


「その白い肌に、俺以外の誰にも消せない痕を刻みつけて、君を泣かせたくなるんだ」


「……っ、泣かせ……?」


予想もしなかった言葉に、息が止まる。


シュタルク様は私の驚きを肯定するように、ぐい、と顔を近づけた。


彼の吐息が唇に触れるほどの間近で、掠れた声が鼓動を直接揺らす。


「あぁ。君の困った顔が見たい。潤んだ瞳で俺を見上げて、情けない声を漏らして縋り付いてほしい……」


「……キュートアグレッション、という言葉を知っているか?可愛いものを見ると、いじめたくなる衝動。俺は、君に対してそれが抑えられないんだ」


彼は私の手首を、あの馬車の中での夜と同じように


逃がさないという確固たる意志を込めて強く握り締めた。


「君を汚したくないというのは、半分は本意だ。だがもう半分は……一度抱いてしまえば、俺は自分を止められない。君が泣いて嫌がっても、ボロボロになるまで可愛がり倒して、独占し尽くしてしまう」


「そうなれば、君に化け物だと蔑まれ、嫌われてしまう。……そういう意味で触れなかったんだ」


シュタルク様の告白は、あまりにも切実で、そしてひどく歪んだ愛情に満ちていた。


私を大切に想うがゆえの拒絶。


私を愛しすぎるがゆえの恐怖。


両方の感情が絡み合って、私への触れる行為を禁じてきたのだ。


その事実が胸の奥深くを掴んで離さない。


───そんなに私を好きでいてくださったんだ。


熱いものがこみ上げて、涙腺が緩みそうになるのを必死で堪える。


ここで私が怯えてしまったら、また彼を遠ざけることになるかもしれない。


だから私は深呼吸をして、彼の蒼い瞳をしっかりと見据えた。


「シュタルク様。怖がらなくて、大丈夫です」


私は震える指先を伸ばし、彼の冷えた頬にそっと触れた。


彼の体温が、ゆっくりと私の熱を吸い取っていく。

溺愛公爵のキュートアグレッション

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