テラーノベル
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「たしかに、私はまだ少し怖いです。でもそれは、シュタルク様じゃなくて、未知のことに対する不安で……。あなたのことが怖いわけではありません」
私はぎゅっと拳を握り締め、まっすぐな気持ちを紡ぐ。
「だって……それだけ愛してくださっているんでしょう? シュタルク様のおかげで、私の心はここまで温かくなりました。だから、何をされても……受け止めたい。私は、あなたと一緒に前に進みたいんです」
最後の方は、勇気を振り絞って囁くようにしか言えなかった。
それでもシュタルク様の耳には届いたようで、彼はしばし呆然と私の言葉を反芻しているようだった。
そして次の瞬間──
彼の蒼い瞳に宿っていた葛藤の影が晴れて、代わりに眩いばかりの光が灯った。
「……メリッサ」
名前を呼ぶ声は、今まで聞いたことのないくらい甘く、蕩けるようだった。
シュタルク様は私の手を取り、その甲に唇を押し当てると、熱い吐息混じりに囁く。
「俺は……君のその優しさにつけ込んでしまいそうで、やはり怖い」
「それでも君は、俺とシたいと思うのか……?」
「はい」
私は震える声を精一杯張り上げて答えた。
「シュタルク様と一緒になりたいです」
胸の鼓動が痛いくらい高鳴り、頬が火照るのを感じながらも、真っ直ぐに彼を見つめる。
彼の蒼い瞳が一瞬揺らいだかと思うと――
次の瞬間には優しく引き寄せられ、力強い腕に包み込まれていた。
「ありがとう、メリッサ」
耳元で響く低い声。そこには確かに安堵の色がありつつも、
さらに深いところで何かが解放されたような気配を感じさせる。
「だが…もし本当に怖くなったときは、我慢せず蹴り飛ばしてくれ」
「蹴り……飛ばすのは、難しいかもしれませんけど……」
私は頬を染めながらも、精一杯の意思表示をするために微笑んでみせる。
「大丈夫です。私も、一緒に溶け合いたいですし…シュタルク様に求められるのが何より嬉しいんです」
「……そう、か」
シュタルク様の唇が、小さく弧を描いた。
その微笑みは、いつもの冷静沈着な伯爵のものではなくて
ただひとりの男性としての、無邪気な喜びに溢れていた。
そして、背中に添えられた彼の指が微かに動き
衣擦れの音とともに、私たちの距離がゼロになった。
◆◇◆◇
シュタルク様の部屋のランプが温かい光を投げかける中、
二人の身体がベッドの上でもつれ合う。
彼の唇が額や頬に落とされるたび、
私の中で小さな期待と羞恥が交互に押し寄せてくる。
「本当に……いいんだな?」
ふいに問いかけられ、
私はぎゅっと瞼を閉じて小さく頷いた。
「……はい」
その答えに彼は満足したらしい。
私の夜着に手がかかり、ゆっくりとはだけさせられていく感触。
肌寒い空気が素肌に触れ、思わず身を縮めると
すぐに温かい掌が覆いかぶさってきた。
「隠さないでくれ…とても綺麗だ」
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