テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
11月も中旬に入り、暦が冬の足音を刻み始めた11月17日。
仕事を終えた俺は、隣を歩く尊さんの歩幅に合わせるようにして帰路についていた。
街灯が路面を白く照らし、吐き出す息がわずかに白濁する。そんな季節の移ろいを感じていたとき
ふと思い出したことが口をついて出た。
「そういえば尊さん、ディズニーっていつ行くかもう決めてますか?」
俺の問いかけに、尊さんは前を見据えたまま、少しだけ声を落として答える。
「ああ、そういや言い忘れてたな。そのことなんだが、行くなら12月2日にしないか?」
「12月、しかも上旬ですか?」
意外な提案に、俺は少し驚いて尊さんの顔を覗き込んだ。
「ああ。11月末は連休明けで意外と混むし、なにより12月に入ればクリスマスの演出が完全に仕上がるらしい」
「あっ、なるほど!クリスマスシーズンですもんね……!」
華やかなイルミネーション、巨大なツリー。想像しただけで胸が躍る。
尊さんは、そんな俺の浮き足立った様子を横目で確認すると、言葉を継ぎ足した。
「そういうことだ。それに、調べたら今年はランドのパレードも新しくなる」
そこで一度言葉を区切り、尊さんは足を止めて俺を真っ直ぐに見つめる。
「せっかく行くなら、一番綺麗な時期に、少しでも空いてるタイミングで連れていきたいと思ってな」
その言葉の端々から、俺のために時間を割いて調べてくれたことが伝わってきた。
あまりに用意周到で、あまりにスマートな提案。
俺の中に一つの素朴な疑問が浮かぶ。
「えっと……ちょっと素朴な疑問だったんですけど……尊さんってディズニー行ったことありますか?」
「いや、今回が初めてだ」
「え!ってことは……色々調べてくれた感じですか……?」
「まあ、お前と行くならと思ってな」
平然と、当たり前のようにそう言い切る姿。
その不器用でまっすぐな優しさが、じわじわと胸の奥を熱くさせる。
「……そこまで考えてくれてたんですね、俺も尊さんと食べたいものとかしたいことあるのでそれまでにメモに書いときます!」
「おう」
尊さんは少し照れくさそうに視線を逸らして歩き出したが、その背中を見ていると、また胸がキュンとなる。
「……なんか、尊さんって絵に描いたようなスパダリ彼氏ですよね」
「なんだそれ」
「知らないですか?スーパーダーリンの略で……」
「いや、それぐらいは知ってる。スパダリって言ったらもっと爽やかで優しい男だろ」
「爽やか……ではないかもですけど、尊さんほど優しい人いないですよ?」
「そこは否定しないのか」
「あっ!えっと、でもかっこいいですよ!いつも冷静で料理も掃除もプロ級ですし……どんなときも俺のこと素早く守ってくれますし……!」
謙遜というより、本気で自分とは無縁だと思っているような口ぶりに、俺は思わず熱弁を振るってしまった。
「持ち上げすぎだろ」