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ここに来てから数日。清々しい朝を迎える。安心のできる自室のベッド。光の差し込む窓は見ているだけでも心地よい。


何もない、いつも通りに過ごしている。俺にとってのいつも通りは前世と同じように、って意味で。


仲間がいて仕事があって、他愛ない会話をする。自分の部屋があって、軍隊もいて、美味しいご飯もある。以前と違うことはこの国に家族がいるということ。村の仲間も一緒だ。



寂しいことは無くなった。



チーノ:また、俺の手に…………



しかし、あの戦争が無くなったわけではない。俺が裏切ったあの戦争。そして今俺が手に持っている謎の手紙。差出人の名前はなく、印籠がついているだけである。


印籠にはユリの花があしらわれたもので、前にも同じ模様であったが誰のものなのか分からない。少なくとも幹部の奴らのものではない。


グルッペンさんは歯車。

トントンさんはペットのトン。

オスマンさんはケーキ。

ひとらんさんは剣。

鬱先生はタバコ。

コネシマさんはサッカーボール。

ロボロさんは『天』という文字。

シャオロンさんはニット帽。

ゾムさんは爆弾。

兄さんは犬。

しんぺいさんは『神』という文字。

エミさんは蝶々。

ショッピくんはヘルメット。

俺は懐中時計。



一度だけあったことがあるがその時は深くフードをかぶって顔は見えなかった。声も男なのか女なのか分からない。そいつのものなのだろうか。


いや待てよ?どうしてこの手紙がここにあるのだ?


もう一度封筒をまじまじと見る。印籠されただけの手紙。差出人も宛先も書かれていない。誰のものなのか誰宛のものかのかわからない。


ならばなぜ俺の個人部屋の俺の机の上に置いてあるのか?答えは単純明快。直接ここに置きに来るしかない。


しかし、昨日の夜にはなかった。仕事を部屋で終えてすぐにベッドへと潜り込んだのだから。この手紙を置くのは俺が寝ているときということになる。


幹部以外の人間は幹部寮棟には入れない。一部例外の者もいるがその人たちがわざわざ夜中に置くだろうか?


置かないだろう。親しき中に礼儀あり。それを守る人たちだからこそありえない。そもそも、まだその人たちとコンタクトを取っていない。


実質、幹部の奴ら以外に入れるものはいない。


先程言ったように、幹部の人たちのものでは無ければ、この手紙をおいたのは侵入者又は内通者。

後者の方は極めて薄い。俺がここに来て数日なのだ。数日で俺の存在を知っているのは村の仲間と幹部だけ。

まだ俺には専属の軍隊を持っていないからそうでないことは明らかである。


厳戒態勢を取るか………。いやこの目で見てからにしよう。認識してからでも遅くない。そうと決まればさっそく行動だ。

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