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親に愛されなかった訳では無い。ただお兄ちゃんが、大好きな兄が俺を溺愛しているだけだ。いや、違うのかも知れない。ただ俺が、俺だけが親の愛を知らなかっただけかもしれない。毎日のように殴られて、綺麗なターコイズブルー色の瞳は腫れて、綺麗で華奢な身体が紅く、所々血だらけ、痣だらけで。目のやりどころも無い身体だった。これが俗に言う虐待なのかも知れない。そこで兄の成長は止まった。それが虐待か、学校での虐めかはどうかは分からないけど。でも、そんな家庭環境で育ったお兄ちゃんでも、愛と言う物を教えてくれた。 兄は、いつも笑顔で事を隠す。誰にもバレないように。でも俺は気付いてたよ。お兄ちゃんが弱い事。自分に嘘を付いていたこと。いや、俺も自分に嘘を付いていたのかもしれない。親の愛を知らない。と言う嘘を。いや、演技だったのかもしれない。とある日、兄が倒れた。栄養失調だそうだ。兄は細い声で大丈夫?と、聞いてくる。俺が聞きたいくらいなのに。やっぱり、間違えなんかじゃなかったんだよ。世界は汚くて、人々は嘘ばっかりで、最低で。青にぃだけは認められる、信じられるんだよ。兄の死が近づいてきた六月。それは兄の命日だった。命日は誕生日だなんて。誕生日プレゼントは俺だよ。だなんて嘘をついて見る。笑って聞いてくれる兄を横目に、医者は言う。「今日の昼過ぎには恐らく…」そして、兄の最後の言葉は、「桃くん。愛してる。」その一言だった。六月二十九日十七時二十五分三十六秒。世界で一番大好きだった兄はこの世から姿を消した。俺はどう生きればいいですか?