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明澄からのLINEは数件ほど。
その中の1文にあたしは目を見開いた。
「『ひいおじいちゃんが亡くなってバタバタするから今日行けなくなった』……?」
次にごめんねというスタンプ、それ以降は既読がつかないことへのスタンプが時間を開けて送られてきている。
いけなくなった、ってどういうことだろう。だって明澄はちゃんとうちに来てる。
冗談でこんなことを送ってくる人ではないのは小学校からの付き合いだからわかっている。だからこそ意味がわからない。
「…………」
あたしは少し迷ったのち、明澄に電話をかけることにした。
とりあえず明澄から居場所を聞いて合流しよう。
プルルル……
無機質な発信音が耳元で震える。その間、いきなりスマホが鳴って驚いていないかな、などとどうでもいいことを考えていた。
「もしもし……こんな時間になに……?」
「明澄……っ!」
少しして聞こえてきた明澄の声に、あたしは心の底から安堵しておおげさに名前を呼んでしまう。
「……急になに?」
そんなあたしに向こう側はいぶかしむように尋ねてきた。
心なしか寝起きの雰囲気を感じるんだけど、まさかこんな状況で隠れて仮眠していたとかじゃないよね。
「あたし今あたしの部屋にいるけど、明澄はどこにいるの?」
「祖父母(そふぼ)の家にいるけど……なんの連絡なの?」
「え……?」
あたしは耳を疑った。
祖父母の家にいるって、
「う、うちにいるよね!? 明澄は今あたしとふたりかくれんぼをしていて、どこかに隠れてるんだよね?」
頭に明澄からのLINEがチラつく。
ウソだ、冗談だ。きっと安全なところに隠れられて余裕が出てきたんだ!
「なにを言っているの?」
そのひと言(こと)にあたしの手からスマホが滑り落ちた。
ウソをついているように思えない。でも、それだとあのLINEは本当になって……。
「っそんなことない! 今から探しにいくからまってて!!」
あたしは怒鳴るようにスマホに向かって叫び、明澄に言葉を発させる間もなく通話を切った。
ありえないよ、そんな気持ち悪いこと。うちに来ていた明澄が得体のしれないモノだなんて。
痛み続ける身体に鞭(むち)打って立ち上がる。あたしは壁伝いに進んで、明澄を探しに部屋を出た。