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1日目
「……誰?」
『…んー?』
『………誘拐犯?』
「へえ…………。」
『え、反応薄』
「部屋大きいんだ」
『いやココ廊下』
「ゴミ袋にたかる虫もいない」
「酒の瓶や缶で溢れてる部屋もない」
「煙草の吸殻も落ちてない 」
「こんなに最高な家は無いね。お城ってやつだ」
『曰く付きで家賃激安の部屋だぞ?』
「睡眠時間だって十分にとれる。あなたの容姿を見たら分かることだ。」
「…俺をこの家に置いてくれるの?」
「っていうかそのつもりで誘拐、だっけ?したんだよね?」
『……ンだお前…??』
2日目
『テレビでも見るか?』
「…………いっ、いいの?!見たい!」
『あー、朝はアニメとかは少ないな…』
「ニュース見る!」
『ニュース?はなか◯ぱとかおかあさん◯いっしょとかじゃなくていいのか?!』
「なにそれ……。早く映像変えて!」
『変な子…』
「………………事件のニュースとか、やってないね」
『いいんじゃねーの、平和で』
「うん………」
『…………何、泣いてんの?』
「うん……、ごめんなさい……」
『なんで?悲しいことあった?』
「すぐ泣き止むから… 」
『話してくんねーの?』
「……聞きたくないだろ」
『決めつけんなよ。お前のこと知りたい 』
「……………変なひと…」
「……………俺が急に消えても」
「悲しむ人はいないんだなあ、って」
「思っただけ…」
『…そっか』
『俺も悲しいなあ!』
「……?」
『急に消えても、悲しむ人は居ないなんて』
『俺の目の前で言われちゃったことが。』
「それがどうして悲しいの?」
『誰だって、好いてる人が自身をそう思ってるって知ると、悲しくなるよ』
『心に負った傷が癒えることは無いだろうけど、忘れさせるくらい笑わせるのなんて、お前のためなら造作もないことだから。』
『まだこの人生は捨てたもんじゃないって、まだ終わってないって、諦めないでほしいんだ。』
『それでも生きるのが疲れちゃったなってなったら』
『いっしょに死のう!』
「…………そうだね!その通りだ。」
「…そうするし、そうしてもらう。」
「僕を拐ってくれてありがとう!」