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心奪
『〜〜〜……続きまして…本校生徒からの歓迎の言葉です。生徒会長目黒が行います……』
はぁ…ここまで長かった。俺がスピーチをしだすのは式が1時間に差し掛かろうとしているときだった。日ごろの疲れや昨日も遅くまで生徒会の仕事をしていたためか身体が重く眠気もすごい。立つのもやっとというところだ。
岩本『目黒…大丈夫か?フラついてるぞ…』
目黒『心配しないでください。大丈夫なんで』
その言葉は嬉しくもあり、ありがたくもあった。だがここまで来て弱音は吐いていられない。身体を奮い起こしステージへと歩みを進める。
ステージから見る光景にはもう慣れたものだ。集まりがある時などは大体俺がここに立ち話をする。無責任な先生たちだが、でもあの3人はしっかり俺を気遣ってくれている。
…ほんと、なんでこの学校に配属になったのだろうか?
目黒『…新入生の皆さん、まずはご入学おめでとうございます………………〜〜っ……』
俺のスピーチが終わった数分後、ようやく式が終わった。俺は誘導指導で席を立つ。新入生の保護者に挨拶をしながら誘導する。あまりやったことがないから慣れはしない。
保護者が終われば次は新入生。チラチラと顔を見ながら誘導を進めれば、これまたクセの強そうなものばかり。
すでにピアスが5つ以上開いてる者、ピンク髪のチャラそうな者、気品あるようだが見た目はやはり不良な者…面倒だなぁ…
誘導が終わり、廊下の隅で少し休憩をする。ふぅ…とどうやってもため息が漏れてしまう。でもそんなのお構い無しにまた声が掛かる。
渡辺『目黒〜……ってうぉっ。お疲れだな』
目黒『クルッ…なんです?』
渡辺『あー…いや何でもない。もう帰っていいよ』
目黒『え、片付けは…』
渡辺『片付けるのぐらい人はそんなにいらん。疲れてるんだろ、帰ってゆっくり休めよ?』
目黒『……ありがとうございます(微笑』
渡辺『ん、気をつけろよ〜』
目黒『はぁ〜!やぁぁ〜と!休める!』
こんな嬉しそうな声を出したのはいつぶりだろ。でも本当に休みは嬉しい。帰ったら何をしようか。やっぱり甘いものは食べたいし、好きな漫画やゲームだってしほうだい!勉強も1日ぐらいサボったってバチは当たるまい…
そう思っていたのに…
目黒『あ、……生徒会室に…ある課題……今日提出じゃん……』
目黒『はぁぁぁッッ……!』
生徒会室、他の教室よりかは綺麗で家具なんかも置いてある部屋。俺しか使わないのにあの3人が用意してくれた。せめても…って感じなのだろう。
目黒『あった、あった……』
俺は課題を手にし、生徒会室を出ようとしたその時だった。
ガラッ
目黒『?』
「あれ…すんません、ここってなに室です?」
目黒『え、…あっ生徒会室ですけど…』
「あーまた部屋間違えた…勝手に入ってすんませ〜ん…って、生徒会長さん?」
目黒『はい…そうですけど』
「わぁっ!ちょうどいい!この紙の山資料室?に持ってかなあかんくて。教えてくれへん??」
目黒『えー…と』
いきなりドアが開いたと思ったら知らない人が山積みの書類を持って立っていた。見たことがない人だ。新入生なのだろう。それに、その書類というのは生徒会で扱う精算書類…新入生になに任せているんだ…
目黒『あ、いやその書類はここの部屋でいいよ。ここに置いておいてくれる?』
向井「ほんまですか!?ありがとさんです!」
目黒『…敬語はちゃんと使いましょうね』
向井「あぁ!ごめんなさい…アハハッ」
目黒『…君、新入生?』
向井「はい!向井康二って言います!あんたは確か生徒会の、えぇ…め…め……?」
目黒『目黒です。目黒蓮。一応生徒会長をやってます。』
向井「生徒会長さん!偉い人やったんやなぁ〜…あ!友達ならへん??!」
目黒『いや…急だね』
関西弁をしゃべっているということは関西出身なのだろう。東京までわざわざ来たのか…?そんなことはしないか。
目黒『…友達?俺2年ですけど…』
向井「?友達に年齢なんて関係あるん?」
目黒『!そ…れは』
向井「じゃあこれから友達な!“めめ”!!」
目黒『…“めめ”??』
向井「めめのあだ名!かわええやろ?笑」
目黒『俺先輩ですけど…』
向井「だーかーら!友達年齢関係ないねん!部活動とかは別やけど…」
目黒『は…はぁ』
向井「ほな明日からよろしゅうな!めめ!」
目黒『……はい』
これが俺が惹かれた相手との出会いだった。