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サイド リオ
この話を聞いて、俺はモンダイジ団に入ることを決意した。
……正直、この変装の才能は、絶対詐欺以外では生かせないと思っていたんす。
だけどこの団のように、自分の力を誰かを傷つけるためでなく、誰かを助けるために使えるなら、いいなって思った。……少し単純すぎるか?
この少女……タエが信じた仲間の名前を、俺も、呼んでみたい。
それに、少し気になっていたんだ。団長とタエのその後が。
絶対、いつか綻びが出来る気がしたから。ま、こんなに早く問題が起こるとは思わなかったっすけどね。
俺はそう言い、ひと息吐く。
「……誰だって、完璧な人間なんていないし、同じ人間なんていないんすよ。それとも、団長は、こんな俺たちの思いも、全部踏み躙(にじ)るんすか?」
「私にとって、ダイキはずっとずっと、憧れで、ヒーローだったの!ダイチじゃなくて、いつも全力で前を向く、みんなを引っ張るダイキのことが、昔から大好きなんだよ!!」
キリもアミも何も言わず、ただ真剣に団長のことを見つめている。
団長の茶色の瞳に戸惑いの色が浮かぶ。
「私は、ずっとダイキの側にいるよ……!ダイキが忘れても、私が絶対忘れないから!絶対、思い出させてあげるから!」
泣きながら、必死にタエは訴える。
「……いらない子なんて、いないって、私に教えてくれたのは、ダイキなんだよ。お願いだから、そんな風に自分を責めないでよ……!」
「タエ……」
きっと、団長を呼び戻せるのはタエしかいない。
俺の読みはあっていたっすね。
「……悪りぃ、忘れてた。大事なこと」
「え……」
「そうだよな。モンダイジ団はこの世界が嫌いだったり、うまく周りの人達と馴染めなかった人……いわゆる『モンダイジ』が集まった団だ。そして、そんなモンダイジを助けるために作った」
それが、始まり。それを二人はよく知っている。
「俺も、“ユイカ”に負けないくらいしっかりしなきゃだな!」
そう言って団長は朗らかに笑う。太陽のように、眩しく、明るく。
「……ぇ、ダイキ、今、私の名前…………」