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地中に蠢くサンドワームたちにより、ダンゴたちは絶え間ない猛攻を受けていた。
「みんなが……!」
『このままじゃ~逃げられません~!』
飛び出してきたサンドワームを避け、反撃を加えようとしてもすぐにまた他のサンドワームが飛び出してきて、その間に狙いを付けていたサンドワームには砂の中へと逃げられてしまう。
そのせいもあって、あの子たちは思うように敵の数を減らせていないようだった。
そのうえ、長く留まれば留まるほどサンドワームが寄ってくる。しかし、このままでは脱出しようにも難しい。
そうやって悩んでいると、離れた場所からダンゴたち前衛組の3人を魔法で援護していたヒバナとシズクが空の上にいる私を見上げ、声を届けてくる。
「ユウヒ! 数が減らせないと脱出は厳しいわよ!」
「分かってる! シズク、協力して。砂の中のサンドワームを一網打尽にするよ!」
ヒバナの言葉に返しつつ、状況を打開するためにシズクへと協力を仰ぐ。
「何をすればいいの?」
「特大の水球をコウカたちの頭上に。私がテネラディーヴァで撃ち抜くから、それに合わせてそのまま地上へと落として!」
「ちょっと、何をする気よ!?」
「特大クラスの竜巻を起こして、砂の中にいるサンドワームを全部打ち上げる!」
シズクの疑問に答えるとヒバナがギョッとした表情を浮かべるので私の狙いを話した。
それがサンドワームから逃げる一番の方法だろう。
「うん、やろう」
「シズ! でもそんなことをしたら……」
「ひーちゃん、今は目の前のことだけを考えよう」
少し思い悩む素振りを見せたヒバナが首を振る。
「……そうね。行って、ユウヒ。ノドカも――任せたわよ」
彼女たちの言葉を聞き遂げた私は、次にサンドワームの注意を集め続けてくれていた3人の頭上へと向かう。
すると近付く私の存在に気が付いた3人のうちの1人であるダンゴが大きな声で呼びかけてきた。
「主様、ミランは無事なの!?」
「うん、流砂の外へ抜け出して今はヘルムートたちと一緒にいるよ」
「よかった……」
「ダンゴ、それに2人も。とにかく、今はここから脱出するよ!」
「何か策があるの!?」
3人が地上で戦い、私も上空からサンドワームたちに攻撃を加えつつではあるが、作戦の内容を確実に伝えていく。
3人がすることと言えば、私の準備が整うまで先ほどまでと同様に敵の注意を引き続けてもらうことだ。
全ての準備が整い、矢を放った後はコウカが雷による高速移動、アンヤが影潜り、そしてダンゴは私が抱きかかえるような形で竜巻の範囲外まで避難する予定である。
「少し時間が掛かるけど、頑張って堪えて……!」
「それくらい訳ありません。マスターも気を付けて!」
後のことは3人と彼女たちを援護し続けてくれているヒバナに任せ、私は上空へと飛び上がる。
とても大きな魔法を行使するので、術式の構築に時間が掛かってしまう。
その間は無防備になるが、サンドワームは地上への攻撃手段しか持たない。誰も私を邪魔する者はいないのだ。
『お姉さま~。わたくし~こんなに大きな魔法を使うのは~はじめて~』
「私もだよ」
イメージするのは空高く伸びる大きな竜巻だ。
それを私とノドカの力だけで生み出そうというのだから、それだけ大規模な魔法になってしまうというのは容易に想像できる。
まずは体ごと弓を地面へ向かって垂直に向けるような体勢を取る。その状態で引き絞った矢は魔法術式を構築していくごとにどんどん肥大化していっている。
この1本の矢には魔法のエネルギーすべてが凝縮されており、ただそこに存在するだけで風が吹き荒れるほどの強大な魔力が込められているのだ。
そうして私が魔法の準備を続けていると突然、眼下に巨大な水球も生成される。シズクの方は準備を終えたということだろう。
私の方はまだ時間が掛かりそうなので、しばらくは維持してもらうことになってしまう。
そのことに多少の申し訳なさを覚えつつ、思考を切り替えることで集中する。
イメージを確固な物にしていき――魔力を込めていくことで遂に魔法が完成した。
そのまま地上にいる3人に向けた警告の声を風に乗せて飛ばし、アンヤとコウカが姿を消したのを確認した後、私は矢を地中深く目掛けて解き放った。
「【レイジング・トルネード】!」
『行け~!』
矢はシズクが生み出してくれた水を巻き込みつつ、空気を切り裂きながら地上へと突き進んでいく。
それと並走するように私もダンゴの元へと向かう。
「ダンゴ、こっち!」
「主様!」
手を伸ばせば、ダンゴもこちらへと手を伸ばしてくれる。
そんな彼女の手をしっかりと握り、その小さな体を抱きかかえた私は低空飛行でとにかく離れた場所を目指して飛んだ。
直後、襲い掛かってくる暴風も風の膜を張ることで耐え凌ぐ。
轟音と衝撃が襲いかかってくる中、振り返れば地上から空高くまで竜巻が昇っていた。
これを私たちだけの力でやったとは到底信じられない。
「主様。あれって、すっごく目立つよね」
「え……あっ」
――まずい。そこまで考えてなかったかも。
『お姉さま~……』
心なしかノドカの声が白けて聞こえるが、まさかそんなことはないと信じたい。それにこれは仕方なかったというものだろう。
――ここまで大きな魔法でなくてもよかったのかもしれないが。
既に起こってしまったことをうだうだ考えていても仕方がない。
とりあえず魔法制御で竜巻を少しずつ治めていき、完全に消し去ることには成功した。砂の中からは当然のことながらサンドワームの反応がなくなっている。
それらがどこに飛んでいったかは分からないが、今はそんなことを考えている暇もない。
少し経てばまた別のサンドワームが周囲から寄ってくるかもしれないからだ。すぐに離脱しなければここまでした意味もなくなってしまう。
「みんなと合流しよう」
あの子たちとの繋がりを確認したところ、全員が無事に避難できていることが分かった。
それにはホッと胸を撫でおろす。
――やっぱりこれ、ヒバナに怒られそうだなぁ。
その後はみんなと合流を果たし、ミラン達スレイプニルの無事も確認できた。
ヒバナにやりすぎたことを軽く叱られながら、その場を離れるために急いで騎乗して前へ進む。
だが、事態は思ったよりも簡単に進まないものらしい。
「……また来た」
「えぇ……ホントだ。もしかして、あの竜巻のせい……?」
大量のサンドワームがまた押し寄せてきていたのだ。
――これ、一度捕捉されたら砂漠を出るまで逃げられなくないかな。この砂漠、いったいどうなっているんだ。
「ユウヒ、とにかく逃げるわよ。相手してられないでしょ」
「そうだね。魔力消費も馬鹿にならないし」
そうして私たちは逃げていくのだが、行く先行く先に次々とサンドワームが現れるので精神、体力共に少しずつ消耗していってしまう。
「もう、何体いるんだよぉ!」
「め、面倒くさい……」
ダンゴが叫び、シズクもこの状況に心底うんざりしたような声を出している。
私も同じ気持ちだし、他のみんなも似たようなものなのだろう。
いい加減、打開策を考えたいところだが本当に何も思い浮かばない。
敵が大きな魔力に寄ってきてしまうのなら、それを感知されなければいいのだが魔力を使い切ってしまうのは非常に怖い。
このまま逃げ切れないとなるぐらいならやむを得ないのだが、できればその状況だけは避けたいところだった。
他に魔力を感知されない方法があればいいのだが……。
「まずい、このまま行けば囲まれます!」
前方から飛び出してきたサンドワームをすれ違いざまに切り裂いたコウカが声を荒げる。
その声をきっかけに私が意識を魔力感知に再度集中させると、確かに私たちの進路上へ集まってきているサンドワームたちの存在を感じ取ることができた
「進路を北に寄せて!」
「北ってどっちですか!?」
「右!」
私は囲まれないように進行方向から見て右をまっすぐ指さした。
少し進路を変えて囲まれるのを回避しながら、また西に進路を戻すしかない。
――敵に捕捉されない方法が何かあれば……!
「これを被りなさい!」
そんな時だ。突然、この場にいないはずの男性の声が私の鼓膜を揺らす。
声が聞こえた方向へと顔を向ければ、なんとフードを被った大柄の人が私たちと並走していた。
私たちはスレイプニルに乗って高速で駆け抜けている最中であるにもかかわらず、だ。
「は――」
「魔力遮断の魔導具よ!」
その男は何もない空間から彼が被っているものと同じ色の布を取り出すと、それを私たちに手渡してきた。
突然のことで混乱していた私は思わずそれをそのまま受け取ってしまう。
「スレイプニルにも被さるようにするのよ。じゃないとサンドワームは撒けないわ!」
彼の言葉によると、この手にあるのは外部との魔力を遮断する魔導具らしい。
見るからに怪しい人物から手渡された非常に怪しいものだが、私はこれに賭けてみることにした。
「みんなもその人の言う通りにして!」
大きな布をミランにも届くように上から被せると、最初に自分自身の魔力感知が作用しなくなった。本当に外部との魔力を遮断するものらしい。
だが、みんなとの繋がりには影響がないようなのでそこは安心する。
そのまましばらく走っていくが、地中から新たなサンドワームが顔を出してくることはない。本当に撒いたというのだろうか。
そうして少しずつ速度を落とし、やがて完全に止まると並走していた男も立ち止まった。
「何者ですか」
コウカが警戒の色を滲ませながら相対する彼へと問い掛ける。
「コウカ、いいよ」
「マスター?」
《ストレージ》から愛剣グランツを取り出した彼女の手を上から抑える。
走っている間、ずっと彼のことについて考えていた。そして気付いたのだ、彼の正体に。
私は顔に笑顔を浮かべて、男へ話しかける。
「お久しぶりです。そして助けてくれてありがとうございました――ミーシャさん」
「……あら、バレていたのね」
フードに手を掛け、それを下ろすと出てきたのはやはり見知った彼の姿。
この世界に来てからしばらくの間お世話になった冒険者で、ミンネ聖教団の聖女ティアナの従兄でもあるミーシャさんだった。
彼とはミンネ聖教国で女神ミネティーナ様と出会った後に再会し、また別れたきりだった。だからもう半年以上は会っていないことになる。
どうして鎖国状態のこの国にいるのか、という疑問はあるが助けてくれたのが彼でよかった。
私たちがこの国にいるという事実を現地の人には知られたくなかったからだ。
「……?」
「アンヤ。この人はミーシャさんといって、私がこの世界に来てアンヤと出会う前にお世話になっていた冒険者さんだよ。聖教団とも繋がりを持ってるの」
ただ一人、会ったことのないアンヤは彼のことが分からずに首を傾げていたので彼がどういう人なのかを教えてあげる。
ノドカとダンゴもほとんど面識はないだろうが、一応会ったことはあるはずだ。
「はぁい、あなたとははじめましてね。冒険者のミーシャよ、よろしくね」
「……アンヤ。よろしく」
屈んだミーシャさんが差し出した手をアンヤが取る。
男の正体がミーシャさんだと分かったことでコウカも警戒を解いているし、スムーズに話ができそうな雰囲気にはなった。
そうして最初に話を切り出してきたのはミーシャさんだった。
「……それにしても、みんな変わったわね。ユウヒちゃんは髪と目の色が少し変わったのかしら、ワタシはミネティーナ様の御力を授かった影響だと聞いているけれど」
「あ、やっぱり変わっていますか? 自分だと毎日見ているからあまり分からないんですけど」
「変わったわよ。それに少し綺麗になったんじゃない? 女の子は見ないうちにすぐ成長して大人っぽくなっちゃうんだから」
「そ、そうですかね」
単純にうれしい。綺麗になったと言われて喜ばない人はいないだろう。
次にミーシャさんは双子の元へと向かった。
「ヒバナちゃんとシズクちゃんは大きくなったわねぇ。ワタシ、あなた達がこんなに小さかった時から知っているけど本当に大きくなったわ。人にもすっかり慣れたようね」
「ええ、まあ。その節はどうも、とでも言っておけばいいのかしら」
「ち、ちい、小さい時のこと、話されるのは……ちょ、ちょっと恥ずかしい、ね……」
「あら、シズクちゃんはあんまり仲良くない人の前だとまだ緊張しちゃうのかしら?」
何だか久しぶりに姪に会ったみたいな反応をしてくるミーシャさんにぎこちないながらも対応するヒバナと相変わらず緊張しているシズク。
それなりに関わりのある人だからその程度は比較的マシではあるが。
次にミーシャさんはコウカの前で屈んだ。
「コウカちゃんも大きくなって……いないわね。でも、小さくても可愛いからオーケーよ」
「言っていることはよく分かりませんが、わたしは早く進化したいです」
「……そうねぇ。残念だけど、それに関してはワタシの専門外だからアドバイスできそうにないわ」
「そうですか……あなたなら何か知っているかと思いましたが……」
そう言って肩を落とすコウカ。
あの子はやはり進化したいとずっと思っているらしい。
ヒバナとシズク、ノドカ、そしてダンゴに先を越されているわけだから焦ってしまうのも分からなくはない。
私としてもコウカには進化してほしいと思っているし、そのために協力したいとも思っている。
しかし、こんなに進化が遅れているのはマナとか精霊の力とか、それだけが原因ではない気がする。
もしそれだけなら、魔法使用頻度の差があったとはいえダンゴとコウカの進化の期間にこれだけ差が出るのは不自然であるからだ。
「あなたたちはノドカちゃんとダンゴちゃんね。こうしてお話するのは初めてになるのかしら?」
「うん、そうだね!」
「こんにちは~ノドカです~。ダンゴちゃんともども~よろしくお願いしますね~」
「ええ、よろしくね」
挨拶はほどほどに目をキラキラとさせたダンゴがミーシャさんの顔を下から見つめている。
「ねぇ、それよりさっきどうやってボクたちに付いて来られたのかを教えてよ!」
「あら、ダンゴちゃんは元気いっぱいね。ふふ、どうやったのかは後でゆっくりと教えてあげる」
ダンゴの持ち前の人懐っこさとノドカの穏やかな気質が雰囲気を和やかなものにしてくれている。
2人とミーシャさんはほとんど初対面みたいなものなのに、あんなに仲良さそうにできるのは一種の素質か。
最後にミーシャさんの視線が私へと戻ってくる。
「さてユウヒちゃん。ワタシ、あなたたちに聞きたいことがあるの。あなたもワタシに聞きたいことがあるんじゃないかしら?」
こうして私たちは移動を再開しながらお互いに質問し合い、状況を整理し始めることとなった。
「……そう。誰にも見つからないように移動していたから、こんなところを通ってきてしまったのね」
「……ミーシャさんはこの国で潜入調査をしていたんですね」
ミーシャさんから尋ねられたのはどうして整備された道ではなく、サンドワームが出る危険な場所を通ってきたのかということだった。
情報を交換していくうちに分かったのだが、ミーシャさんは少し前からこの国に滞在していて色々と内情を探っていたらしい。
どうやら私たちが来ることも聖教団の方から伝えられていたようだ。
「でも、まさか許可が下りないからって密入国するとはねぇ」
「自分でも無茶をしたな、と思ってはいるんですけどね」
「まあ、許可なく勝手に入っているワタシがとやかく言える立場でもないわね」
ミーシャさん曰く、この国の中に入ること自体はそれほど難しくないらしい。現に素人である私たちがこっそりと入国できているほどだ。
だが、それでもこの国の内情がはっきりとわからないのはその先に問題があった。
「……このまま帝都に行ったら皇帝は会ってくれると思いますか?」
「無理でしょうね。まず門前払いされて都そのものに入ることもできないわ。帝都以外でもガッチリと固められて入る隙すら見つからないのだもの。小さな町は比較的簡単に入れるんだけどね」
グローリア帝国では一つ一つの都市が武装の施された堅牢な壁に覆われており、侵入者を一切引き寄せない。各都市が要塞としての役割を担っているのだ。
各都市の中に入れるのは許可を得た商人や地方からやってくる魔導具の動力源となる魔石を運搬する馬車くらいのもので、一般人の出入国は制限されているらしい。
「だから、今は別のアプローチを考えているところなの」
「別のアプローチ?」
「そう。ちょっと町の人と仲良くなって要塞都市の中に入る手助けをしてくれないかなってね」
「仲良くって、そんなことできるんですか?」
「これが意外と地方の町に住む人は外の人間に対して歓迎的なのよ。規則では密入国者を見つけたら即座に役人へ通報するように言われているらしいんだけど、匿ってくれるのよねぇ」
国の方針と国民一人一人の考え方には大きな差があるということだろうか。
「それ、匿ってくれている人は大丈夫なんですか?」
「そりゃあ見つかったら酷い目に遭うだろうけど、この閉鎖された国風を快く思わない人もいるってことでしょ。数十年前までは普通に外とも交流できていたんだから」
たしかにずっと普通だったものが突然、厳しい規則で禁止されたら反発したくなるのが自然だ。
何を考えて皇帝が鎖国しているのかは分からないが、国民の反抗心を煽るこの政策が良い結果を生むとは到底思えない。
少し考え込んでいるとミーシャさんが話題を切り替えてくる。
「そういうわけで町の人と地道な交流を重ねていたら突然、遠くの方に大きな竜巻が見えてね。こうして見に来たってわけ。あなたたちが来るのは知っていたし、あんなことをできる人はまずいないだろうからすぐにアタリを付けられたわ」
「……ああ、やっぱり目立ってしまっていたんですね」
「目立っていたってもんじゃないわよ。確実に皇帝の耳にも入ってしまうでしょうね」
「あ、あはは……」
皇帝から私たちがこの国に滞在する許可が欲しいのだから、ここで存在感をアピールするのは結果的に良い判断だったのではないか。
……そうポジティブに考えることにしよう。
とはいえそれも強ち間違ってもいない考えだとは思う。
皇帝から上手く末端の兵士に情報が伝達されていないのなら、これで気付いてくれるかもしれないし、もし私たちを侮っての判断ならこうして力を示すことで緊張感を与えることができるはずではあるのだ。
「――ワタシたちが着ているこの魔導具もその町の人からの借り物でね。砂漠を移動するときはこれを着るのが普通らしいのよ」
「え? あ、そうなんですね」
「……もう、ユウヒちゃん。ちゃんとワタシの話を聞いてる?」
ミーシャさんの話そっちのけで別のことを考えていたら、軽く咎められてしまった。
密入国の先輩であるミーシャさんからは今後の活動で大きな恩恵を受けることができそうだから、これ以上悪い印象を与えないように彼との会話に集中することとしよう。
「大丈夫です! それで、何の話でしたっけ?」
「やっぱり聞いてなかったんじゃない。はぁ……ワタシがお世話になっている町に一緒に行きましょうって話よ」
「なるほど。ごめんなさい、よろしくお願いします!」
どうやら、私たちも一度その町とやらに行くことになるようだ。