午後。
外に出た疲れが遅れて来たのか、らんはソファで横になっている。
眠ってはいない。
天井をぼんやり見ているだけ。
いるまは向かいの椅子でスマホを見ていたけど、視線は時々らんの様子を確認している。
「だるい?」
「ちょっと」
正直な返事。
「でも、やな感じのだるさじゃない」
それは進んだ日の疲れ。
悪いサインじゃないやつ。
しばらくして、らんがぽつりと言う。
「ねえ」
「ん」
「学校のこと、考えてもいい?」
いるまはスマホを置く。
「考えるだけなら自由だ」
止めない。
急かさない。
らんは体を起こす。
クッションを抱えながら言葉を探す。
「教室は、まだむり」
「だろうな」
否定しない。
「でもさ、保健室って静かじゃん」
「人も少ない」
「うん」
らんは少し視線を落とす。
「そこからなら、行ける日あるかなって」
いるまは少し考える。
「毎日行く必要はない」
「うん」
「週一でもいいし、午前だけでもいい」
らんは目を上げる。
「そんなのでいいの?」
「続く方が正解だ」
即答。
らんの指がクッションの端をぎゅっとつかむ。
「またダメだったらって思う」
「思うのは勝手だ」
「冷たい」
「事実だ」
いるまは続ける。
「思うのと、やめるのは別」
らんは少し笑う。
「いるま、たまにずるい」
「便利だろ」
窓の外を風が通る。
「先生に、話す?」
らんが小さく聞く。
「今の状態」
いるまはうなずく。
「俺が連絡してもいいし、お前が短い文だけでもいい」
「短い文なら…できるかも」
テーブルにノートを持ってくる。
ペンを持つ手が少し止まる。
「なんて書けばいいんだろ」
いるまは隣に来ない。
少し離れた位置から言う。
「“まだ教室はむずかしいけど、保健室なら行ける日があるかもしれません”」
らんはゆっくり書く。
字が少し揺れてるけど、止まらない。
書き終えて、らんはペンを置く。
「……書けた」
声が少し不思議そう。
いるまはそれを見て言う。
「それ、外出たのと同じだぞ」
らんが顔を上げる。
「え?」
「世界広げるやつ」
少し照れたように目をそらすいるま。
らんは紙を見る。
たった数行。
でもそこには
家の中だけじゃない未来が書いてある。
「送るの、今日じゃなくてもいい?」
「いい」
「明日でも?」
「いい」
「来週でも?」
「伸ばしすぎ」
らんが吹き出す。
空気がやわらぐ。
重たい話のはずなのに、どこか静か。
「ねえ、いるま」
「ん」
「ぼく、ちゃんと進んでる?」
いるまは少し考えてから言う。
「止まってたら、こんな疲れ方しない」
らんは目を丸くして、少し笑う。
窓の外の光がやわらいでいく。
今日は学校へ行かなかった日。
でも、学校に近づいた日。
歩かなくても進む日がある。
二人はそれを、少しずつ覚えていく途中。
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コメント
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続けるが勝ち!! そのとおりだと思うぜ??いるまくんよぉぉ...♡
つづけることってだいじだよなぁ…泣






