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眠ってしまった彼女を置いて、ホテルのベッドから抜け出した。
身体は疲れていたが、このまま寝る気にもなれなかった。
セックスの後は、いつもこうだ……。
やり切れない気持ちだけが込み上げて、虚しさに包まれる。
気怠い体を部屋のソファーに預けて、テーブルに飲み差しで置いてあったウイスキーをグラスから煽るように飲んだ。
ドボドボと溢れるくらいに注いで、また一気に喉へ流し込む。
いくらストレートで飲もうと、ただ纏わりつくような怠さが増すだけで、少しも酔えやしなかった。
飲んでいる内に眠気が襲い、ソファーで寝落ちをして朝を迎える。
ボトルが空になるまで飲んで、シャワーを浴びると服を着替える。
その頃になって、ベッドからようやく彼女が起きてきた。
「先生、早いんですね…」
「ええ…」とだけ頷く。本音を言えば、昨夜からほとんど寝ていないが、そんなことをわざわざ言う気もなかった。
「ねぇ…まだ時間あるんでしょう? もう少し…しないの?」
下着だけをつけた身体で彼女がしなだれかかってくる。
鬱陶しいようにも感じて「服が、しわになるので」口にすると、
「……何よ!」と、イラついた声を女性が上げた。
「……冷たいですよね、先生って!」
続けざまに苛立ちをぶつけて、
「そんなんだから、アンドロイドみたいだとか言われるんですよ!」
非難の言葉を投げつけた。
「アンドロイドですか……」
そんなセリフはもう何度も聞かされていた。冷酷で血の通わない、外見だけのアンドロイド……いっそのこと本当にそうならいいとさえ感じた。
アンドロイドであれば、いらない思考が働くこともない……。
「……聞いてるんですか? 政宗先生! 抱いたら終わりだとかひどいって言ってるんです!」
「……だったら、どうすればいいんですか? これからも不毛な付き合いを、続けていきますか?」
こぼれ出た本音に、
「……最低っ!」
彼女は声を荒げて、
「先生は外面が完璧なだけのアンドロイドって、本当だったんですね!」
捨て台詞を吐きかけると、さっさと服を着込んでホテルの部屋を出て行った──。