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鈴子と浩二は毎晩一緒に夕食をとり、夕食の後は本を読むかテレビを見て、時間が来ると寄り添って寝た



鈴子は本当に重要な時だけ出社し、帰りはいつも両手にどっさり食料品を買い込んで帰って来た



「今夜は少し寒いからお鍋にしましょうね、沢山栄養のつくものを食べた後、傷口を消毒しましょう、もうすぐ抜糸よ、きっと日に日によくなるわ」



「・・・食べたくないよ・・・」



そう言って浩二は部屋に引きこもってしまった



鈴子はいつまでも閉ざされた浩二の部屋のドアを見つめた






・:.。.・:.。.





ある晩、ダブルベッドに横になった浩二がすまなそうに鈴子に言った



「すまない・・・僕は恋人失格だよ、性欲が湧かないんだ、その気になれなくて・・・これはきみのせいじゃない」




鈴子はがばっと上半身を起こした。




「まぁ!私はあなたの体目当てなんかじゃないわ、それはそれで構わないの、ただ、一緒にこうして抱き合って眠りたいだけ」


「鈴子・・・」


「早く元気になりましょうね」



その夜鈴子は浩二の傷に触らない様に、彼を抱きしめて眠った




・:.。.・:.。.





西日本を代表とする女性起業家の鈴子には、この年末はいつものように連日連夜、晩餐会や慈善行事への招待状がひっきりなしに舞い込む、しかし鈴子はすべてを断わって、浩二とコンドミニアムから一歩も出ようとしなかった



「僕に構わずに君は行っておいでよ、それも仕事なんだから」




そう言うのが、最近の浩二の口癖になっていた



「私にとって一番大切なのはあなたよ、今夜は家でゆっくり食事しましょ」



そう微笑む鈴子に浩二は罪悪感を抱いた




―自分の存在がこの才能あふれる女性を犠牲にしているのかもしれない・・・―






・:.。.・:.。.





鈴子はインターコンチネンタルホテルから腕ききのシェフを家に雇い、あれこれ指図して、浩二の好きな海鮮料理を作らせていた、それでも浩二はいつも食欲がなかった、あれやこれやと世話を焼いてくれる鈴子にだんだん素直になれない自分を浩二は呪った



本当は心から彼女に感謝しているのに・・・




「いくら外の空気を吸えと言われても出かける気持ちになれないよ」



「それなら髪が伸びてるからカットはした方がいいでしょう?」



夕方には浩二の髪をカットしに鈴子が雇った理容師がやってきた、その理容師は浩二がいつも行く、散髪店の店主だった




「とても素敵な恋人をお持ちですな、姫野候補」




馴染みの店主は浩二を気遣い、励ましてくれた、そしてすっきりと散髪された浩二は照れながら鈴子に言った



「ちょっと・・・外の空気を吸おうかな・・・駅前の本屋に行きたいんだけど・・・一緒に行かないか?」




パッとソファーから立ち上がり、鈴子が涙ぐんで言った




「喜んでお供するわ!あなた!」


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