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「あなたって…ナグの元の飼い主ですよね?」「ナグ?誰それ。」「この子です。」
私はそう言って、ナグの写真を見せた。
「ルナ…ルナ!やっぱりお前が…!!」「待ってください。私はナグを…ルナちゃんを発見しただけです。家で保護しようとは思いませんでした。分かるでしょう。あなた、あの場所の防犯カメラを見たんですよね?じゃなかったら私やおばあちゃんの身元も分からないはずです。あの時、私も最初は訳が分かりませんでした。知らない猫を保護して飼い猫にするだなんて。」「その通りよ。だったらなんで…」「おばあちゃんは根強い性格です。一度決めたことはてこを使っても動かないんですよ…。」「そいつのせいで、ルナは私のもとからいなくなったのよ!アイツのせいで!」「いなくなったんじゃないですよね?捨てたんですよね!?どうしてあんなかわいい猫ちゃんを捨てるなんて最低なことしたんですか………!?」「それは………………」
そこで、初めて女の人は言葉を詰まらせた。
「はい、ナグ。ご飯だよ〜。」「ニャ〜オ」
おばあちゃんがいない時には、おじいちゃんと私でナグの世話をしていた。
「ねえ、おじいちゃん。」「なんだ?」「この子、捨て猫だったよね。」「そうだな…咲の話ではそうだった。」「元の飼い主のあの人と、なにがあったんだろう…?」「どうだろうな…捨てられちゃったから、きっとひどい有様だったんだろうな…」
………だよね………。
「まぁ、本当のことなんて分からないぞ。じいちゃん達はナグの声聞けたりしないもんな。元の飼い主さんにも、聞けそうな感じじゃなさそうなんだろ?」「うん…。」
次の日。
学校では学習発表会の出し物を考えていた。
ダンスや合奏、合唱、演劇やら色々な案が出てくる。
「叶実ちゃんどれがいい?」「私…合奏かな?」「私も!明希ちゃんどれかいいと思う?」「えっ?」「出し物。どれがいいと思う?」「あー…私はどれでもいいや。結局どれかはやらないといけないんだし…ごめんね!つまんない回答で。」「いやいや!全然いいよ。」
最近はナグのことで色々起きてるから、ボーッとしてんのかも。おばあちゃんのほうがボーッとしそうだけど、いっつもほわほわした雰囲気だし、今は体調崩して入院中だから体治すことだけに専念していてもおかしくない。
結局学習発表会の出し物は、天音ちゃんや叶実ちゃんが狙っていた合奏になった。
これから毎日学習発表会の話題で1時限つぶれることになる。ま別にいいけど。
「では、合奏で演奏する曲をみなさん考えてきてください。期限は…そうですね。1週間にしましょう。」「はい。」