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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「もう夜だってのに、一人で何をしてるんだ? 親はいないのか?」

 シルバの口から、思わず疑問が飛び出た。すぐに少女へと早歩きで近づいていく。

 三歩分の間を空けて、シルバは立ち止まった。リィファと似た身体つきの少女の観察を始める。

 第一印象は、「おとぎ話から飛び出てきたお姫様」だった。宙の一点を凝視する大きな目は愛らしく、鼻筋の描く曲線は優美である。背中にまで至る金髪は、黄金さながらの輝きだった。

 身に纏う上下一体のローブは、足のぎりぎりまでを覆っている。色は透き通った白で、ところどころに緻密な模様を内包した銀のラインが入っていた。

 少女の作り物めいた美しさに圧倒され、シルバは声を失った。すると隣にリィファが並んだ。

「獣が出るし、危ないよ。綺麗な夜空だし、いつまでも見ていたい気持ちもわかる。だけど、早く帰ったほうが良いよ」

 リィファの穏便な忠告に、少女は滑らかに振り返った。聖女のように純正な笑みを、リィファに固定する。

「リィファ、あなたはわかっているはず。私の眺める星は、神星ジ・アース。完全で崇高な、私たちの故郷」

 詩の一節を口にするかのような調子だった。すぐにリィファは、不思議そうな面持ちになる。

「どうしてわたしの名前を知っているの? わたしは、あなたのこと何にも……」

 リィファの台詞は、徐々に勢いを失っていった。やがてはっとした面持ちで固まる。

「そう。私の名前は、フラン。あなたと浅からぬ因縁にある者。今日の邂逅はここが終点。また会いましょう」

 深い声音で囁いたかと思うと、フランは唐突に掻き消えた。混乱するシルバは周囲を見回した。だが、フランの姿はどこにも見当たらなかった。

「何だったんでしょう。わたしとは、昔からの知り合いって風だったけど。わたしの記憶と何か関係があるのかしら」

 リィファは呆然と呟くが、見当も付かないシルバは、無言で立ち尽くすのみだった。

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