【能力者名】 千代子令子
【能力名】 腐れ外道とチョコレゐ卜
《タイプ:擬態型》
【能力】チョコを食べることで 視界に映った人間の スマホの検索履歴を視ることができる能力。(継続時間は約10分)
【以下、細菌達の記録】
《昼休み、一年B組の教室にて》
千代子令子はクラスメイトの恋原表裏一体、酒池肉林、白雪毒林檎、能面組子 とともに弁当を食べながら雑談をしていた。
今日の話題は米津高校の七不思議についてである。
「ねぇねぇ千代子ちゃん知ってる~?☆
米津高校 七不思議の噂~。」
クラス一のおしゃべり好き、表裏一体が
ポッキーを皆に配りながら話をした。
「えー知らなーい。教えて教えて~。」
クラス一の情報通にして秘密主義者、
千代子令子は七不思議の噂を当然知っていたがあえて知らない振りをして会話を促した。
千代子令子がポッキーのチョコの部分を
齧ったことで能力が発動した。
恋原表裏一体の頭の上にスマホの検索履歴がずらっと 現れる。
表裏一体は美容系のサイトと 可愛いスイーツのサイト、そしてTiktokの ダンス動画をよく検索しているようだ。
恋原表裏一体は意気揚々と友達から聞いた
米津高校七不思議について話し出した。
「えっとねー☆
一、米津高校のトイレで悪さをすると亡霊に
どこかへと連れ去られてしまう。
二、図書館で大声で喋ったものは何故か3日後に 死んでしまう。
三、生徒の中に、決して写真に写らず、どれだけ検索しても情報が出てこない生徒がいる。
四、学校の音楽室で夜な夜な謎の音楽が
聞こえる。
五、生徒達の間で同じ悪夢を見た人達がいる。 その人達はみな同じ姿の女性を夢で見たらしい。
六、米津高校の屋上に4時44分44秒に行くと
飛び降り自殺をしてしまう。
七、学校のどこかに開かずの扉があり、
入ったものは死ぬ。
だよー。こないだ友達から聞いたんだー。」
幽霊のようなポーズをして表裏一体は
言った。
「ふ….フフ、きっと生徒達のいたずらか
迷信だろう…..。な、ナンセンスだね……。」
足を組み、額に手を当て、無駄に格好つけながら能面組子が言った。
よくみると足がガクガク震えていた。
(組子ちゃん…..こう言うの苦手なんだ。
意外……….。)
ポッキーを齧りながら千代子令子は組子の
顔を見た。組子の頭の上には
《ギャンブル、イカサマ、やり方》
《オンラインポーカー》
《友達と仲良くなる方法》
といった検索履歴が表示されていた。
「でも多分全部能力者のしわざだぜー?
こえぇよなー。ロカ先生も防犯のために
図書室の大声、スマホ、飲食禁止とトイレの
見回りを先生達でやることにしたらしいぜー?」
柿ピーを食べながら素面の酒池肉林が言った。
今日は自分の能力《頓珍漢の宴》で酔っぱらって いないようだ。
林の頭の上には
《バイト ばっくれ 許せない》
《美味しいおつまみ 作り方》
《気持ちいいセックス やり方》
といった検索履歴が表示されていた。
「ねー、怖いよねー。」
と千代子令子は相槌を打った。
実のところ 千代子には七不思議の内の三つに心当たりが あった。
まず、図書室の怪談。
これは 米津高校図書委員長の阿久野六法全書の 仕業であることを千代子は知っていた。
《他人の秘密を暴くこと》を生きがいとする千代子は調べもののためによく図書室を利用していた。そこで阿久野のスマホの検索履歴を見たのだ。
阿久野は今まで図書室で大声を出して死んだ
人間の素性を調べあげていた。
そしてロカ先生の素性をスマホで調べあげていた。
警察でもない人間がなぜわざわざそんなことをするのか?それは阿久野がこの怪事件の
犯人だからだと千代子は推測していた。
そしてまた千代子が阿久野の様子を見に行くと阿久野の頭上の検索履歴には
《壊れた能力 復元方法》
《能力犯罪 自首 法令》
《自殺 方法》
といった検索履歴があった。
おそらく ロカ先生に心を折られ能力を破壊されたの
だろう。
(学校内に殺人鬼が隠れている……まぁ、これだけ 能力者がいる世界なら不思議ではないか….。)
と千代子は思った。
この世界は平和なようで そこかしこに地雷が埋まっていて、そういう 見えない地雷から自分と仲間を守るための武器が情報であると千代子は考えていた。
「あーでもでもー、ボク三番目は知ってるかもー☆こないだおねえちゃんと前一緒にTiktok の動画録ったらなんでか知らないけどおねえちゃんの顔がすんごいぼやけてたんだー。何回とってもぼやけて顔が写らないから二人で首をかしげてたんだよー。」
表裏一体は《みんなのおねえちゃん》こと
米津高校二年生、姉ヶ崎茜色とのエピソードを語った。
そう、三番目の怪談の少女とは姉ヶ崎茜色の
ことであった。
千代子令子は以前姉ヶ崎茜色の秘密を
暴こうとしたことがあった。
《みんなのおねえちゃん》と呼ばれ慕われる女の裏の顔を暴いてやろうと思ったのだ。
しかし、姉ヶ崎茜色の頭の上の検索履歴は
《◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️》。
《◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️》。
《◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️》。
と言った具合に黒く塗りつぶされ見ること
ができなかったのだ。
(姉ヶ崎先輩の能力は触れたものをひんやりさせる能力『クーネル•エンゲーザー』
のはず。考えられるのは二つ、姉ヶ崎先輩が
《擬態型》で何か能力を隠しているか、
どこかの能力者が姉ヶ崎先輩を守っているか
……だ。私みたいに他人の秘密を暴く能力があるんだ、他人の秘密を守る能力があっても不思議じゃない。)
そう考えながら千代子令子は麦茶を飲んだ。
「おねえちゃん人気者だもんねー。
どっかの厄介ファンの能力者の仕業じゃないかなー。」
と千代子令子はポッキーに自家製 チョコソースをかけながら言った。
「ほんっと千代子はチョコ好きだよなー
あたしにもチョコソースちょーだい。」
そう言って林は千代子に抱きついた。
「まーねー、私は『毎日チョコがおいしく食べられる能力』を持ったチョコチョコの実の
能力者なのさー。」
そういいながら千代子はポッキーにチョコソースをかけ林にあーんして食べさせた。
「あ、ボクもチョコソースほしー☆」
「わ、私も……。」
「フッ、私もいただこうかな。」
表裏一体、白雪ちゃん、組子の三人は口々に言った。千代子はそれぞれにチョコソースのかかったポッキーをあーんして食べさせた。
(ウサギに餌やってるみたいだな。)
と千代子は思った。
「あ、私五番目の怪談知ってるかも…..。
こないだクラスの子がパンダ君の落とした消しゴム拾ってあげたらものすごい悪夢見たって言ってたよ…….。」
白雪ちゃんはチョコソースのかかったポッキーを食べながら言った。
白雪ちゃんの頭の上の検索履歴には
《制御不能型から友好型になった人
体験談》
《アップルパイ 作り方》
《赤ちゃん 作る 能力》
といった検索履歴が表示されていた。
「実は、私もパンダくん達とババ抜きをした
時にものすごい悪夢を見てね…….あれ以来一人でトイレに行けなくなったよ……。」
ガタガタと組子は思い出したように震えた。
千代子も五番目の怪談の正体がパンダこと同じクラスの半田緋色であることを知っていた。
以前千代子はパンダの秘密を暴こうとしたことがある。
千代子は油断していた。パンダの 能力を『何もないところから金属バットを 取り出す能力』だと思ってたしちょっと秘密を暴いても問題ないと思ったからだ。
それが間違いであった。
《見たな?》
パンダの検索履歴にはなぜかそのような
赤い文字が表示されていた。
その夜、千代子はとんでもない悪夢に魘されて布団の上でおねしょをしてしまった。
(あの時は本当に死ぬかと思った…..。
本当死ななくてよかった…….。
もう二度とパンダの検索履歴を暴くのはやめよう。)
と千代子は思った。
そして噂のパンダはお昼ごはんを食べて
自分の机ですやすや寝ていた。
「うへへー、悪夢ちゃぁーん」
と気っ色悪い寝言を言っていた。
「パンダって,《何もないところから金属バット》を取り出す能力じゃなかったの?
《擬態型》だったってこと?」
ヒソヒソと表裏一体は囁いた。
「あいつそんな悪いやつじゃなさそうだけどなー?無自覚の《制御不能型》とかじゃねえかー?」
ヒソヒソと林は言った。
「…..もしかして、本当に幽霊なのかも……。」
青ざめた顔で白雪ちゃんは言った。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
と組子は千代子に抱きついて怯えた。
(それにしても、殺人鬼がいたり訳のわからない怪奇現象が起きたり、どうなってんだ
この学校は…….。)
と千代子はポッキーをかじりながら思った。
昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)
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