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日暮ミミ♪
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#溺愛
星キラリ

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楽地みどり
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あの最悪な再会から一週間が過ぎて、今週の金曜日は私の誕生日だ。白田くんともデートの予約済みだ。
お店その他は任せて欲しい、土曜日も俺にちょうだいと言われている。離婚したばかりだった三十歳の誕生日から、初めて楽しい誕生日を過ごせそうだ。何を着よう、下着はどうしよう、そんな感じで正直浮かれていた。
そして、その二週間後の土曜日が彼の誕生日あることも思い出した。
私はその日に遊園地デートをやり直すのはどうだろうと考えた。金曜日に相談しよう。
水曜日の帰り道、乗り換えの駅でスマホが鳴った。
〈森 洋介〉
元夫からだった。何の用だろう。無視しようかと思ったけど、何度もきたら嫌だし、周りがうるさい方が適当に話せていいかもと思い、出ることにした。
「もしもし」
「もしもし、美里。帰りか?」
もう妻でも恋人でもないのだから呼び捨てにしないで欲しい。まぁ、私も心の中では〈洋介〉と呼んでいるわけだが。
「何の用?」
前回のことを思えば、このくらい感じ悪くしてもいいよね。
「……ごめん。この前のことを謝りたくて」
「そう。わかった。それだけ?」
「あの時の男は彼氏?」
「あなたには関係ない」
それ以前に答えを持っていなかった。白田くんは彼氏でいいの?
「若そうだったから、もしかして女性用の風俗とか行ってるのかと思って。もしそうなら、俺たちやり直せないかと思って」
さすがに頭に血が昇ってしまった。うるさい駅の雑踏の中で大声を出してしまった。
「なんなの! 風俗行っている同士なら上手くいくだろうって? ふざけないでよ。あなたと一緒にしないで!」
「ああ、ごめんごめん。そうだよな、美里綺麗になってたし、恋人ができても不思議じゃないよな。俺たちまだ三十二歳だし」
私はまだ三十一だけどね!
「そうよ。『まだ』三十二歳。お互い別々にやり直しましょう」
「わかった。本当にごめん。あの時の言葉は本心じゃ」
ピッ
私は電話を切った。言い訳なんて必要ない。彼にとって私が女でなかったことは事実なんだから。
駅の壁にもたれかかって呼吸を整えた。
「岡井さん?」
不意に横から声をかけられた。ビクッとかなり大きく驚いてしまった。恐る恐る横を見ると、派遣の小泉さんと松井さんだった。
彼女たちは白田くん同様残ってもらった派遣さんだ。小泉さんは若いのにとても仕事が早くて正確だし、松井さんも経験がある分安心して仕事を任せられる、私は引き継ぎ書にそう書いていた。この二人仲が良いのか。意外な組み合わせ。
「あっ、お疲れ様です。お二人で食事ですか?」
「あっ、はい。大丈夫ですか? なんだか疲れてそうですけど」
「あはは。ちょっとね」
二人は顔を見合わせてから、
「もしよかったらご一緒しませんか?」
「えっ、私? お邪魔じゃない?」
「いえ、実は相談したいこともあるんです」
そんなわけで、私は小泉さんと松井さんとその駅の近くにある居酒屋へ入っていった。今日はこれ以上余計な偶然で知り合いに会いたくなくて、こっそりキョロキョロしてから席についた。
一応相談と聞いたので、私はノンアルコールビールにしておいた。そして一応乾杯した。
「岡井さーん、戻ってきてくださーい」
小泉さんがいきなり話し始めた。
「どうしたの? 戻る?」
「新しく派遣の担当になった蓬田さん、キツイんですよ。私たち今更、岡井さんの包容力に気付かされたわけです」
松井さんが説明。さすが仲良しいいコンビ。
嫌われていたと思っていたので少しびっくりしちゃった。
「……蓬田さんはね、単に真面目なの。わざわざ嫌味とか言う人じゃないんですよ。だから小泉さんと松井さんなら普通にしていれば大丈夫のはず。あと、大の猫好き。いざとなったら猫の話!」
「猫かぁ。私も大好きだから、いつか試してみよう」
「思い切ってお昼にでも誘ってみようか。いざとなったら白田さん使おう」
「いいねそれ、岡井さんに相談してよかったです」
嫌われているのかと思っていたので、こんな展開になって少し戸惑っている私がいた。
「岡井さんは、さっき顔色が良くなかったように見えましたが、大丈夫ですか?」
松井さんが言ってくれた。小泉さんも、
「社員さんもきっと色々あるんでしょうね、話せる愚痴なら聞きますよ」
なんて言ってくれた。
「ふふふ。ありがとう。私の場合は会社には関係ないことだけど、すごく落ち込んでたからとても嬉しい」
さすがに風俗云々は話せないので、「元夫がわざわざ電話で失礼なことを言ってきて怒りに震えていた」とだけ話した。
「ありゃ、そんなことが……でも今素敵な彼氏がいるわけでしょう? 元旦那さんなんて無視無視ですよ」
「えっ、彼氏……?」
「誤魔化しても無駄です。白田さんも岡井さんも、ものすごくわかりやすいですから」
二人ともちょっと狙っていた白田くんを私の彼氏と思ってて、それでも上司として頼ってくれたんだ。なんか泣きそう。
その後は普通に社員と派遣の軽い愚痴を言い合って、次の日もあるということで、割と早めに解散することになった。
「お疲れ様でした!」
と言い合い、それぞれのホームへ向かう。私の足取りはほんの二時間前よりずっと軽くなっていた。
悪いことがあれば良いこともある。人生だねぇ、なんて口ずさみながら帰っていった。
コメント
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みぅだよ🥀 第13話、読んだよ。 元夫の電話、ほんとムカついた…「風俗とか」って何それ?元妻に言う言葉じゃないよね。美里さんが駅で声出して怒る気持ち、わかる。でもそのあと小泉さんと松井さんに誘われて、実は頼りにされてたって知って「泣きそう」ってとこ、じんときた。 悪いことのあとにいいことあるって、こういうことだよね。白田くんとのデート、楽しみにしてる。