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「読むことが出来ません」
私はこの物語の主人公。
そう、主人公です。この物語は、あなたの物語でも、私個人の物語でもありません。「誰かがきっと面白いだろう」と考えて書かれた物語であることは間違いありません。
ですので、1分という短い時間で読むことを想定されていないのです。
素敵な家族がいます。
お父さんとお母さん。息子と娘の四人家族。さらに犬が二匹。理想的な家族です。
ですが、ここから少しずつ日常はこうなっていきます。
息子に、避けて通れない事情が見つかりました。
両親は息子に対して手厚く、できる限りのことをしました。
飼っていた犬を手放し、大学に行くはずだった娘もそれを諦め、夜の仕事を始めます。
借金こそしませんでしたが、家も車もすべて売りました。
それでも状況は変わらず、娘はその現実を重く受け止め、さらにお金を稼ごうとします。
そうです。夜の仕事を増やしたのです。
娘だけではありません。
両親もまた、自分たちの限界まで働き続けました。
しかし、数年後、息子は家族の時間から姿を消しました。
あなたはこの物語を読んだとき、誰に身を寄せましたか。
父でしょうか。母でしょうか。
それとも娘、息子。あるいは犬だったかもしれません。
主人公を誰にするか。
それを選べるかどうかは、「読むことが出来る人」が持っている特権なのかもしれません。
この物語を深く受け止め、明日へつなげようとする。
その思考の先に、用意された答えはありません。
1分の物語ですが、
それでもその先を見ようとしてしまうとしたら――
それは、あなたの中に住んでいる小さな小説家のせいなのかもしれません。