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もちぷよ
987
270
きゅー
2,024
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「……よしよし。しゅん、泣きすぎ」
僕は思わずふっと吹き出しながら、首元にしがみついたままのしゅんの背中をぽんぽんと優しく叩いた。
さっきまで「一生守る」なんて格好いいことを言っていた男が、今は僕の腕の中で小さな子供みたいに泣きじゃくっている。
「……だって、夢かと思ったんよ」
しゅんは僕の肩に顔を擦り付けたまま、ふにゃふにゃとした声で鼻を鳴らす。
「ほんと、夢みたいだよね……しゅん、ありがと」
「ありがとうは俺のほうやよ……。あぁ、ほんまに夢やないんやな……、幸せや……」
涙を流しながら幸せだと噛み締める彼のぬくもりが、僕の胸の奥をどこまでも優しく満たしていく。
あまりにも一途に僕を愛してくれるしゅんが、なんだかたまらなく愛おしくて、僕は彼の背中をあやす手をそのまま上へと滑らせ、少し癖のある柔らかい髪を指先で優しく撫でた。
「ねぇしゅん。顔、見せて?」
さっき彼に言われた言葉を、今度は僕がそのまま返してみる。
するとしゅんは僕の肩からゆっくりと顔を離し、恥ずかしそうに少し俯きながら、上目遣いで僕をチラッと見た。
その顔は目元も鼻も、何なら顔も全部真っ赤で、涙の痕でぐしゃぐしゃになっていた。
さっき僕がカメラに撮られた「言い訳のできない顔」以上に、僕への”好き”がこれでもかと溢れ出ている、世界で一番愛おしい顔だと思った。
「……ふふ、泣き虫」
「……誰のせいやと思ってるん?」
しゅんは涙で濡れた睫毛を揺らしながら、拗ねたように唇を尖らせる。
その子供っぽい表情に、僕の胸の奥がまた甘く、きゅっと締め付けられた。
「俺のせいだね。ごめんね」
僕は両手で彼の濡れた頬をもう一度包み込み、親指でその涙を丁寧に優しく拭う。
「……でも、この涙って……それだけ俺のことが好き、っていう涙だもんね? そう思ったら、なんだか凄く嬉しい…」
「……そんなん、当たり前やん。じゅうが思ってるよりも、ずっとずーっと大好きなんやから! どんだけ長い間片思いしてたと思ってんねん……」
しゅんは頬にある僕の手に自分の手を重ね、じっと僕を見つめた。
赤くなった目の奥にある熱い視線が、真っ直ぐに僕の心へと突き刺さる。
「……もう、どこにも行かんでな?」
少しだけ不安そうに揺れる彼の声。
そんな彼を見て、ひとりで強くなろうとしていた過去の自分に心の中で完全に別れを告げた。
「行かないよ。ずっと、しゅんの隣にいる」
そう言って笑うと、しゅんの顔にようやくいつもの世界で一番大好きな優しい笑顔が咲いた。
ふわりと、しゅんの長い腕が再び僕の腰に回される。
心が完全に通じ合った今、触れ合う肌の熱は、これまでとはまったく違っていた。
お互いを一生大切にするという、目に見えない確かな約束が二人の間に満ちているようだった。
「じゅう……」
しゅんが僕の名前を熱い吐息と一緒に溢れさせ、ゆっくりと顔を近づけてくる。
濡れた睫毛の奥にある、どこまでも深い彼の瞳から目が離せない。
「……ん」
僕は拒むことなく、そっと瞼を閉じた。
触れるだけの、静かなキス。
お互いの唇の柔らかさと、涙の微かな塩分が混ざり合う。
一度離れた唇がどちらからともなく再び引き寄せられ、今度は深く、お互いを確かめ合うように重なった。
しゅんの舌が優しく僕の唇を割り、口内へと滑り込んでくる。
彼の熱が、呼吸が、僕の中に流れ込んでくるたびに、胸の奥が甘くじんわりと痺れていった。
かつて僕を苦しめた恐怖やトラウマの記憶は、しゅんがくれるこの圧倒的な幸福感によって、綺麗に上書きされて消えていく。
「ん…っ…はぁ、…」
息が苦しくなってわずかに唇を離すと、しゅんは名残惜しそうに僕の目元や頬に、ちゅ、ちゅ、と何度も優しいキスを落とした。
その甘やかすような仕草が気恥ずかしくて、僕は彼の胸元に額を預ける。
「……じゅう。もう、ひとりで強がらんでええ。痛いのも怖いのも、もうひとりで耐えんでええんよ。幸せになるんも、俺と一緒に、ふたりで、な?……じゅうの全部を俺にちょうだい? 俺の人生も、全部じゅうにあげるから……」
耳元で囁かれたしゅんの声は少し掠れていて、僕の胸の奥を激しく揺さぶるほどの真っ直ぐな熱意に満ちていた。
彼の大きな手が僕の背中を、腰を、もう二度と離さないと誓うようにゆっくりと愛おしそうになぞっていく。
「……うん。しゅんがいてくれたら、もうなにもいらない……全部、しゅんにあげる」
僕はしゅんのシャツの裾をぎゅっと握りしめ、溢れんばかりの熱い想いを込めて彼の胸元にそっと身体を委ねた。
to be continued…