テラーノベル
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衝撃の再会から早くも数週間が経った。
あの日、朝礼で取り乱しかっこ悪い姿を晒した俺は幼馴染という事実を伝えた上で涼子さんに謝罪した。
彼はすぐに赦してくれたけど社長から朝礼を長引かせた罰として今抱えてる仕事にプラスして更に仕事を追加されてしまった。
どんなに忙しくなっても部長である以上部下にかっこ悪いとこは見せられない。
仕事は家に持ち帰りパソコンや資料とにらめっこしながら作業に取り組んだ。
おかげで食事はまともに取れず一日一食になってしまったり寝不足になった。
目の下のクマはコンシーラーで隠さないといけないくらい目立ってた。
疲れは溜まる一方で。
会社だけど、どうしても気を抜きたくて人がいない時間を見計らって休憩室に来た。
自動販売機でコーヒーを買い椅子に腰掛け一口入れる。
冷たさで頭がクリアになった気がする。
誰もいないことを再度確認してテーブルに突っ伏して目を閉じた。
……しんどい、つかれた。
ハーッと息を吐くのと同時にお腹が鳴った。
今日も朝から何も食べていない。
普段から朝食を食べることは少ないのに今回の俺の腹は空腹のようだ。
今日は何を食べようか。
働かない頭で考えている時だった。
「あのっ…!」
💙「うわぁ!!!」
突然、話しかけられたことに驚いて椅子から転げ落ちた。
お尻を強打して擦りながら悶える。
💙「い、ってぇ……」
「ごめんなさいっ!大丈夫ですか…!」
慌てた様子で俺に近付いてきたのは赤いフリフリのエプロンと三角巾を身に着けた涼子さんだった。
またかっこ悪い姿を見せてしまっている。
💙「へ、平気です」
❤️「驚かせるつもりはなかったんです。本当にごめんなさい…」
💙「いえ、……あの、どうされました?」
立ち上がって目線を合わさないようにキョロキョロと辺りを見る。
他の誰かに見られてはなさそうで安心した。
❤️「秘書さんから部長さんは忙しくなると食事をされないと聞いて。余計なおせっかいかと思ったんですが……これをどうぞ」
そう言って手渡されたのは青い巾着袋。
中を見ていいか確認を取り紐を解き中を覗き見ると綺麗に握られたおにぎりが二つ。
海苔は別にラップされていた。
おにぎりは、まだほんのり温かくて良い匂いが鼻腔を擽る。
すると、グーッとお腹がまた鳴った。
ハッとしてお腹を凹ませたり手で押さえたりしても今更遅い。
恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じる。
❤️「ふふっ、もうお昼近いですし良かったら食べてみて下さい」
💙「……じゃあ、お言葉に甘えて」
立って食べるのはお行儀が悪いので再び椅子に座っておにぎりと海苔が包まれているラップを外しくっつける。
前に手を組んでニコニコしてる涼子さんに「いただきます」と言って一口食べる。
一口、また一口と食べ進め半分食べたとこで口にする手を止めた。
❤️「えっ……」
涼子さんが狼狽えるのも無理はない。
なぜなら俺がおにぎりを食べながら大粒の涙を流しているのだから。
❤️「口に合いませんでした…?」
💙「ち、違うん…です。美味しく、て」
それだけではない。
おにぎりの具が【子持ち昆布】だったから。
溢れる涙に気を留めずにおにぎりを食べ進め二つとも完食した。
俺達の思い出の味に【涼太の面影】を感じて胸が張り裂けそうだった。
💙「……ごちそうさまでした」
❤️「お粗末様です。部長さん、これ使って下さい」
そう言って差し出されたのは赤い薔薇が刺繍されたハンカチ。
普段なら断ってるけどありがたく使わせてもらった。
💙「ありがとうございます。こちらは洗濯してお返しします」
❤️「大丈夫ですよ。そのままお返し下さい」
💙「それは出来ません。おにぎりまでご馳走になって世話になりっぱなしです」
❤️「そんな…、私が勝手にしたことなので気にしないでほしいです」
互いに言葉を重ねるだけで一歩も引かない。
そのやり取りが懐かしくて思わず噴き出してしまった。
涼子さんがキョトンとした顔をしている。
💙「すいません、こういう言い合い涼太とよくしてたんですよ。懐かしいなぁって思ったら可笑しくて」
❤️「…………、部長さんは私の幼馴染とおっしゃいましたね」
💙「はい。高校までずっと一緒でした」
❤️「…………お願いがあるんです」
真剣な眼差しに思わず立ち上がった。
💙「何でしょう?」
❤️「私の過去を教えてほしいんです!『……過去は気にせず新しい思い出を作ればいい』と言われたんですけど部長さんに出会ってから知りたい気持ちが膨らむ一方なんです」
お願いします、と深々と頭を下げる涼子さんに対して俺の考えは決まっていた。
💙「頭を上げて下さい。…………もちろんです。ただ今は仕事が立て込んでるので落ち着いてからでもいいですか?」
❤️「はいっ!ありがとうございます!」
💙「その時は今日のお礼も兼ねて夕食もご馳走させて下さい」
ね?、と有無を言わさないように微笑むと涼子さんは「はい…」と小さく頭を下げた。
俺達は連絡先を交換し、その場で別れた。
涼太の連絡先の前に涼子さんが追加されて変な気分になる。
ちょっとした休憩のはずが随分とゆっくりしてしまったものだ。
さぁ、さっさと終わらせるか!
後から聞いた話によると休憩から戻った俺は大層機嫌が良かった、らしい。
by🧡
見切り発車に始めた話の割に第二話はすんなり完成いたしました。
次に書きたい話もなんとなく出来ているのですが、あっちもこっちも進めると頭がパニックになるので、この物語を終えるまでは我慢します。
全五話くらいでまとまればいいなぁ、と思ってます。(願望)
それでは次の話でお会いしましょう。
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愛月☆
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