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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「んで?異名ネームドの場所は分かるのか?」

「さぁ?」

「さぁ、て………」

「私の経験則から異名ネームドが居るって分かっただけで、具体的な場所なんて分かんないわよ。」

「はぁ?それなのに討伐しようって…」

「大丈夫。場所が分かんないならあっちから来てもらうのが手っ取り早い。」

「と、言いますと?」

「さっきみたいに特異個体を倒しまくるの。そうすれば異常を察知しておさが出てくるはず。」

「力技で解決かぁ…」

が、索敵が得意な人が居ないのでその力技くらいしか選択肢がない。なので、片っ端からワンベアを倒すことになる。

もちろん俺はこの戦闘では蚊帳の外で、ルナベルとマリンがやってくれる。こうしてどんどんマリンだけが戦闘の経験値が溜まっていき、凡人な俺は変わらず差が開いていきニートに早変わりってわけ。

ラクできるのはいいが、それ以上に女の子に養われてるという事実が俺は耐えられない。やはり、凡人と言えど役には立ちたいと思うのが常識的な人だろう。

俺もクズになれればいいんだが、そこまで一気にキャラを振り切ることは出来ない。まぁ俺の代わりに正常な人がパーティメンバーに入ってきたら、たまにはハメを外すのも悪くは無いと思う。そんな日が訪れるかどうかではあるんだけどね。

「……コイツで多分6匹かな?」

「もう慣れたもんだねぇ〜♪」

「8歳がこんな行為に慣れちゃいないと思うんだ俺は」

「ミナルお兄ちゃん多分勘違いしてる」

「え?」

「私こー見えて12歳だよ?」

「12なの?」

「うん」

「へぇー…そうなんだ………。」

8歳じゃなくて12歳か…。なるほど余計危ういなこの事実。俺が22でマリンが12、歳の差は10違うが、この差が以前よりもリアリティを増してる。

どうしよう俺……。本格的に訴えられたら勝てない気がする。もう諦めるか?訴えられない事をひたすらに祈るか?てか、それしか道はないよなうん。俺の人生に幸あれ……。

「さて、とりあえずここまで暴れたんだ。そろそろ親玉が出てきてもいい頃だが……」

「都合よくこっちに向かってくるか?親玉が出てくるにしてもこちらの場所を把握してないと……」

「あとは、何かを追っててたまたま鉢合わせるとかだよね!」

「そんなことある訳……」

そんな話をしていたら目の前からボロボロになりながら全速力で駆け抜けてくるパーティが見えた。

しかも、そのパーティはしっかりと見覚えがある。そう、このワンベア討伐で討伐数対決を挑んできたあのイキリ三下くん達だ。

しっぽ巻いて半べそかきながら逃げ帰ってくる様は見てて面白いが、俺もあっち側にいたかもしれないと思うとゾッとはする。

「た、助けてくれぇ!!」

「ん?コイツらは…。」

「俺らと討伐数競い合ってた奴等だよ。」

「ボロボロで逃げ帰ってきたのか」

「もうそんなもんはどうでもいい!!

頼む!アイツを倒してくれ!!」

三下くんが逃げてきた方向を指さすと、明らかに異様なオーラを放つワンベアが追ってきていた。

「あれは……」

「私らのお目当ての相手ね」

「おいおいマジか…」

「マリンちゃん!この道に『捕縛』を何個も仕掛けて!」

「分かった!!」

ルナベルの指示を受けてマリンは通るとされる道に、幾つもの罠魔法を仕掛ける。

「こ、この子は……」

「帰れたら全部話してやるから、今はお前らも少し回復してくれ。」

「そ、それはつまりコイツを倒すってのか!?」

「当たり前だ。異名ネームドを放ったらかしにして、対応が遅れれば被害は増える一方だ。

なら、ここで解決してギルドには事後報告で特に問題は無いだろう。」

「ず、随分と強気なんですねルナベルさん」

「こんなのとパーティメンバーになろうとはもう思えないべ?」

「いや、これはこれで俺は……」

「先に息の根を止めてやろうか?」

「すいません黙ります。」

「コイツなんて異名ネームド持ちだ?」

「見た目で言えば隻眼で腕部の甲殻はボロボロだけど、それが歴戦の猛者感が溢れ出て、 それでいて少し赤黒い爪………。

あら?もしかしてこの子メスかしら?爪の形状が少し細い感じがするわね。

となると、カッコつけるなら『隻眼ノ紅姫べにひめ』とかかしら?」

「ワンベアに付ける名前にしてはめっちゃカッコええやん。」

「もちろん名に恥じない力を持ってるよこのコ。」

マリンの罠魔法に掛かり全身を丈夫なツルが覆うが、腕部の甲殻が少し肥大化しツルを引き裂き、その僅かな隙間で自由な両腕を確保し体を覆うツルを全て取り除く。

「何あの特殊能力…。」

「あれが紅姫のスキルかな?【肥大化】という名がピッタリね」

「こ、こんな化け物と俺らはやり合うのかよ………。」

「私を手に入れようとか考えてたくせに、随分とへっぴり腰ね?

そんなんじゃまだ、凡人のミナルの方が勇敢だわ。」

「おい、凡人は余計だろ」

「事実なんだからこれは入れないとダメよ」

「……じゃあそれでいいっす。」

「んな事より、あんたら構えな?マリンちゃんの【捕縛】がほぼ効かないとなると真っ向勝負しか道はないから」

「とりあえず”凡人”の俺はいつも通り高台に行けばいいよね」

「そうね。そのフックショット術は正直上手いと思うから、それを巧みに扱い上から情報をちょうだい」

「あいよ。」

「んで、逃げてきたあんたら三人の内赤魔道士と月読ノ魔道士は私のフォロー。

引腰戦士はマリンちゃんを絶対防衛。傷付けたら紅姫よりも先にあんたを殺る。いい?」

「はい!この命にかえてもお守りいたします!」

「マリンちゃんは効かなくてもいいから【捕縛】を隙みて張ってくれる?」

「わかった!」

「さぁ、頭数も増えたし多少はラクに戦闘できるかしら?」

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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