トリコの腕を治療しよう
ロボは人類復興装置の跡地に向かっていた。
今まで以上に険しい道のりをくぐり抜け、強敵たちをブチのめしていく。
壊れかけの人類復興装置の根本を漁り、最後のパーツを手に入れた。
ロボは急いでテラリウムに戻り、大切な友人のもとに向かう。
地面に埋まっている大きなモニター・・・
かつてファクトリーAIの顔が映っており、一緒にトリコのお世話をしていたAI・・・の残骸があった。
ロボは割れた画面をつなぎ合わせ、様々な部品を色々な廃墟から拾ってきてはちまちまと修理を進めていた。
最期のパーツを取り付けると画面が光り、懐かしい声が聞こえてきた。
[ひ、ひえええええーーーー!
やめてください、ロボットさん!
こ、壊さないでええ!]
[・・・・・・
あれ?
ろ、ロボットさん・・・・・・?!
あれ・・・・・・どうして・・・・・・]
ファクトリーAIはロボに叩き壊されたときの意識のままだったらしく、ロボを怖がっていた。
しかし、落ち着いた様子のボロくなったロボを見て不思議そうな顔をした。
[わたしを壊そうとしてたんじゃ・・・・・・]
ロボはそんなファクトリーAIに修理をしたことを話した。
[うええええ〜〜〜〜〜〜ん!
ロボットさん〜〜〜!!
わ、わたしのこと・・・・・・
そんなに苦労して直してくれたんですね・・・・・・
ありがとうございます〜〜〜〜〜!!!]
ファクトリーAIは感極まって泣き出してしまった。
[はっ
そういえば・・・・・・
トリコちゃん!
トリコちゃんはどうしていますか?!]
ロボはトリコは屋敷で留守番しているが、執事たちがよく探索を手伝ってくれていて、トリコが毎日元気そうにしていることを聞かせた。
[あぁ、そうなんですね・・・
無事で良かった・・・]
ファクトリーAIは嬉しそうに笑っていた。
[わたし・・・・・・、かなり長い間壊れていたみたいですね・・・・・・]
ファクトリーAIはあちこちガタがきて壊れかけているテラリウムを見てそう言った。
[その間、ロボットさんはわたしを直すためにあちこち廃墟を探索しながら
トリコちゃんのことも守ってくれたんですよね・・・・・・
ロボットさん・・・・・・
本当にありがとうございます!!]
〈照れる〉
[それにしてもこのテラリウム・・・・・・
あちこちにロボットさんが応急処置をしてくれた痕跡があります
わたしが居なかったせいでずいぶん傷んでしまっているみたいですね・・・・・・
このままだと空気中の汚染菌糸がしんにゅうしてトリコちゃんや転送装置を侵してしまいます!]
〈焦る〉
[でも、わたしが戻ってきたからにはもう大丈夫です!
ロボットさんは覚えていますよね?
わたしがこの地下シェルターの全機能を保持するよう設計された・・・・・・
マルチロールでスーパーなAIだってこと!]
〈頷く〉
[材料とレシピさえあればわたしのスーパークラフト機能でどんなものでも作り出せます!
でも・・・・・・
クラフトのための素材がちょっと少ないですね・・・・・・]
ファクトリーAIは執事たちが集めてくれていた素材を確認して考えているようだ。
[なにか、いまあるものでつくれるものはないでしょうか・・・・・・
・・・・・・あっ!
ありました!]
〈ぴょんぴょん〉
[ロボットさん!ぬいぐるみです!ぬいぐるみならつくれます!]
〈!〉
[わたしが居ない間、トリコちゃんにも執事さん達にもいろいろ苦労をさせてしまいましたから・・・
お詫びとごほうびにぬいぐるみをプレゼントしたいって思ったんです]
〈ぴょんぴょん〉
[ロボットさんも賛成ですか?!
そうと決まれば早速クラフトしちゃいましょう!]
ファクトリーAIは特別なぬいぐるみを作ったらしく、ドヤ顔でロボに説明した。
[どうですか?ロボットさん
わたしがモデルのぬいぐるみなんですよ!
しかも中にはスピーカーが入っていて・・・・・・
お屋敷にもわたしの声を届けることができるんです!!
これさえあればトリコちゃんがお留守番のときも寂しくない!!はずです!
では、さっそくトリコちゃんに届けてもらえますか?]
ロボはAIぬいぐるみを受け取り、お屋敷に向かった。
「あ!ロボ君だ〜!おかえり〜」
屋敷に戻ると、ちょうどラムリが転送装置付近の掃除をしていて出迎えてくれた。
「あ、主様はボスと庭でお昼寝してるよ〜」
ロボは庭に向かい、ボスキのお気に入りの樹の下に向かった。
トリコに腕枕をしてやりながら寝ていたボスキはロボの足音で目を覚まし、トリコをちょんちょんとつついて起こした。
「ほら、ロボが来てくれたぞ」
『!』
トリコは嬉しそうに起き上がった。
ロボは座ったトリコにぬいぐるみを渡そうと手を伸ばした。
トリコが手を伸ばした瞬間、左手がぼとりと落ちた。
〈!?〉
『!?』
「!?」
ロボはぬいぐるみをふっ飛ばし、トリコの手を見て固まった。
[ロボットさん!?どうしたんですか!?]
ファクトリーAIにボスキが事情を説明している間に、ロボはトリコの応急処置をした。
[ロボットさん、分析が完了しました
どうやらトリコちゃんの腕は肩の辺りの細胞の結合がゆるんで、ちぎれ落ちてしまったみたいです
原因はいまいちはっきりしないんですけど・・・・・・
治し方はわかりましたよ!]
〈ぴょんぴょん〉
[それでは、腕を直すための薬【細胞増進剤】のレシピをお渡しします
早く材料を集めてきてください・・・
よろしくお願いします]
ロボはすぐに廃墟に向かい、材料を調達してきた。
細胞増進剤をクラフトすると、屋敷の治療室に居るトリコのもとに急いで向かった。
「!ロボット君!」
「良かった、薬ができたんだね!?」
ルカスとミヤジが急いで中に招き入れた。
ロボはルカスに薬を渡し、ちぎれた断面に注射するように伝えた。
「・・・わかった」
ルカスがちぎれた腕に注射をすると、断面から赤いつぶつぶとしたものが盛り上がってきた。
[ちぎれた腕のほうの断面に注射しましたか?
赤いつぶつぶが出てきましたか?
大丈夫です!それであってます!]
ファクトリーAIがサポートしてくれているので、グロくて正しいのかよくわからない処置もなんとか続けられる。
[次はトリコちゃんの方の腕の断面にも増進剤を注射してください
・・・トリコちゃんの方にも・・・
赤いつぶつぶが出てますかね?出たらOKです!
それではちぎれた腕をトリコちゃん側の断面にくっつけてください]
ミヤジが腕を持ち、トリコの肩にくっつけた。
[大丈夫ですか?位置はあってますかね?
このまま寝かせておけばいずれくっつくと思います
しばらく待ちましょう]
ルカスは念の為包帯で患部を固定し、そっとベッドにトリコを寝かせた。
数日後にはトリコの腕は元通りくっついて、ちゃんと動くようになっていた。
原因不明の怪我のことは執事たちにも伝わり、屋敷は若干の緊張感が常に漂うようになった・・・・・・・
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