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「あー、腹減ったぁ!」
学食の長いテーブルに腰掛けながら、シャオロンは大げさに伸びをした。金曜日の昼下がり、週末前の解放感が学生たちの声に弾んでいる。
「ほんまやな、今日のAランチ、唐揚げ定食らしいで」
隣に座るロボロが言い終わる前に、シャオロンの視界の端っこで茶色い髪の毛が揺れた。
「シャオさん、お疲れ様です」
振り返ると、いつものやる気のない表情でショッピが立っていた。手には何も持っていないのに、なぜかシャオロンの横の席にスッと座る。
「ちょっ、なんでここにおるん?お前いつも学食来ぇへんやん!」
小声で抗議するシャオロンに、ショッピは涼しい顔で答えた。
「ちょうど通りかかったんで。シャオさんが一人寂しそうでしたし」
「お前なぁ……!」
「なんや、知っとる後輩やったっけ?」
向かい側からトントンが尋ねてきた。
「せやせや、こいつショッピって言うてな……ただの後輩やで?」
冷や汗がシャオロンの額に浮かぶ。”ただの後輩”という言葉がやたらと強調された。
「そろそろご飯取りに行かな」と言いながら、シャオロンは立ち上がろうとしたが、その瞬間、ショッピの手がシャオロンの腕を軽く掴んだ。
「待ってくださいよ。僕も一緒に取ってきます」
「いや、ええよ!ひとりで行けるから!」
そんな攻防を見ていたロボロたちが、「仲良いなぁ〜」と笑う。
「そうなんです。シャオさん、めっちゃ面倒見てくれるんで」
ショッピがさらりと言った一言に、シャオロンの顔が赤くなる。
「面倒っちゅうか……先輩として当たり前やん」
ようやく立ち上がったシャオロンは、早足でカウンターに向かった。背後に感じる視線が痛い。
「ほんまに……」
トレイを握りしめながら小さな声で呟く。「周りにバレたらどうすんねん……」
「大丈夫ですよ、バレても」
突然耳元で聞こえた声に、シャオロンは飛び上がる勢いで振り向いた。いつの間にか追いついてきたショッピが、ニヤリと笑っている。
「何が大丈夫や!お前、全然わかってへんな!」
怒鳴りかけたところで、近くにいた女子グループが驚いたようにこちらを見ていることに気づき、シャオロンは急いで声を落とした。
「こういうの……恥ずかしいんやから」
「でも僕、早くみんなに自慢したいんです」
ショッピはそう言いながら、シャオロンのトレイから唐揚げを一つ摘まみ上げて口に入れた。
「あっ!お前、人の唐揚げ取るなや!」
「だってシャオさんのお皿にあると、美味しそうに見えるんで」
悪びれもせず言ったショッピの言葉に、シャオロンは深い溜息をつくしかなかった。
「もうええわ……」
トレイを持って歩き出すシャオロンの後ろで、ショッピは小さく微笑む。
(もっと自慢したなるようなこと、明日もしようかな)
テーブルに戻ったシャオロンは、ロボロたちからの「あの後輩、ほんまシャオロンのこと好きやな」という冗談に、苦笑いを浮かべることしかできなかった。