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あの日の夜は、最後に連絡先を交換して部屋を出た。美術は週に1回しかないので、変に周囲を意識することなく接することができている。それでも学校でしか会えないのが少しもどかしかった。そんな中やっと取れた休みで美術館に行くことに。
「いつも1人で黙々と写生してたんです。まさか先生と来るなんて夢にも思いませんでした。」
「外での先生呼びはちょっと…。」
「そうでした。」
「そう言う俺も、うっかり言ってしまいそうだ。」
美術館のどこか厳かな雰囲気は心地よくて好きだ。さすが美術教師だけあって、彼女は自分の疑問を分かりやすく解いてくれた。
「こんなにじっくり絵を鑑賞したのは始めてだ。」
「楽しかった、ですか??」
「楽しかった。」
「良かったです。」
モネの睡蓮を再現したこのカフェも綺麗だ。「何かスケッチしていくか??」
「良いんですか??」
「良いよ。」
「じゃあ、サン・ピエトロ大聖堂の壁画のところで。」
この空間は、天井の絵を見事に再現していて、ほんとに凄かった。彼女は黙々と気に入った絵をスケッチしていった。それが終わって美術館を出ると夕方になっていて。
「よかったら、うちで晩ごはんなどいかがですか??お酒、たくさんありますよ。」
「お言葉に甘えて、頂かせてもらおうか。」食材やおつまみを買い込んでアパートに。彼女の料理はどれも絶品で、ついお酒が進む。
「消太さんも、呑めるくちなんですね。」
「ちゃんぽんしなければ、わりと。美樹は顔色が変わらないな。」
「こう見えて、今日はけっこう酔ってます。」
彼女は大きく息を吐いて立ち上がる。
「大丈夫か。」
「あはは。ちょっとクラってきちゃいました。もう大丈夫。お風呂沸かしまぁ!?」
強引に抱きよせキスをする。
「消太さん酔ってま!?」
喋る隙を与えない。
「(だいぶ酔ってるよ。)」
口を離すと、彼女の顔は。
「女の顔だ。」
「…溜まってます??」
「まぁな。お前はどうだ??」
服を脱がし、直に触る。
「えーっと…!!」
「身体に聞けば分かるな。」
「え!?あ、ちょっと…!!」
お酒を飲むと、お互い大胆になってしまうようだ。そして。
「気をつけて帰って下さいね。」
「ああ。また学校でな。」
自分以外のヤツとお酒は飲んでほしくないと思いながら、初デートは幕を閉じた。