今日はいつもより早めに起きることが出来た。時間は…5時8分。うん、丁度良さそう。早めに家を出ようかな。昨晩の残飯でつくったオムライスを口に詰め水で流し込む。
「はぁぁ、…」
いつからだろうか。セラが家に閉じこもるようになったのは。セラはいつになれば気づくのだろうか。依存なんかじゃない。自閉症ということに。生まれつき脳機能に障害を持っていたのは知っていた。でもセラはその現実を受け入れようとしなかった。だからかな。日に日に、感情的になって。こだわりが強くなって。気に食わないと、自分を責めて。
僕は君が心配だよ。毎日毎日、トレーニングばかりで。それ以外に興味を示さない。僕やアキラ、雲雀じゃないと口を開こうとしないし。最近は最低限の会話しか出来なくなって。顔つきまで幼くなって。配信頻度も減っちゃって。ヴォルタの企画なんて、ここ半年以上してないし。スタッフさんも、他のライバーさん達も、会う度話す度、凄く気にかけて、心配していて。嫌だよ、こんなの。不自由になってくセラの姿、僕、もう見たくないよ。
「…ぁ」
気付けば、5時50分になっていた。食器を片付け口を洗う。靴を履き意味もなく髪をかき上げる。一件の着信音とともに外へと歩み出した。通知を確認するとどうやら雲雀からのLINEメッセージだった。
{わるい!カフェ先行くからセラ夫一人にさせた!誰か急げ!また始まる!}
「…やっべ!」
{また始まる}これはセラが筋トレをしだすということ。一度始まるとまわりが見えにくくなる。そうなるとかなり…面倒くさい。面倒くさいっていうか…これでもかってくらいに「ごめん」って謝ってくる。それが可哀想で、心が苦しくなる。セラは僕が怒ってると勘違いしてるみたいだけど、そうじゃないんだ。
{分かりました。}
セラの家についたころ、アキラからの返信が送られた。てことはもう直ぐ来るのかな。そう思いながら、一応玄関と寝室のドアを2回ずつノックする。部屋の中から荒れた息遣いが聞こえた。その息のするもとへ近づき声をかける。
「…セラ。落ち着いて。」
やばい。怒り口調になってしまった。言い直そうと息を吸い込む。
「ごめん…!ごめん奏斗…」
嗚呼、まただ。どうしよう。なんて返せば、いいんだろう。…こういうとき、何も言えないのが僕なんだ。無駄な心配しか出来ないのが僕なんだ。分かってる。セラ、ごめんね。…僕って本当、
「「最ッ低w」」