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【君流コンテスト】
参加作品「#88鍵分の「好き」を君に奏でたい」
・得点
物語性 30/50
文章構成 20/50
??? 85/100
合計 135/200
・講評
この作品は”才能型”です。合計得点は既に比較的高いところにありますが、成長しだいで200点満点や200点超えを取ることも可能かと。そう思えるほどに物語構成としては、素晴らしいものであると思います。
まず初めに、一番良かったところを単体で言わせていただきます。それは、読後感です。作品を超えたところへ影響を及ぼせる力を持っているところが、突出したところであると感じました。物語が物語としてきちんと機能している、一つの作品として完成状態にあるわけです。途中漫画の話もありましたし、漫画が好きな方なのでしょうか? ジャンプの新人作家による短編作品のような、密度ある内容で惹き込まれました。
さて、ここからは改善点についてお話できればと思います。先ほどの話とは一見矛盾してしまうのですが。この物語は既に完成にあると同時に、物語として未完であります。
これが、どういう事かと言うと。物語としては出来上がっているが、作品としては不十分な点が多いという事です。これは天才型である故に起こっている事なのかもしれませんが、書き手の感情ばかりが先走ってしまっています。端的に言うならば、描写不足です。一度、初見のつもりで、1話から自身で読まれてみればわかると思います。読み手がキャラを探る段階で、展開が加速し続けています。セイカの概念も説明自体はされているも、世界観に馴染んでおらず工夫が必要であると感じました。
また、描写不足の他に。これも能力的な問題にはなりますが、演出力が高い物語構成と不釣り合いだとも感じました。 修正して再挑戦可能な大会で、具体的な改善方法を言うのはマズイ気もしますが、あまりに説明しづらいため、不本意ながら言わせていただきます。
私であれば、始めのピアノを引く場面。あそこは比喩表現に読み手が意識を取られるので、その隙を狙い。ピアノを引く様子を繊細に映しながら、過去回想を断片的に見せますね。演奏の場面が印象に残りづらくなってしまっていたので、その断片的映像とともに、徐々に感情的にさせても良いかもしれません。そうすれば、そこから一気に、2話冒頭まで飛ばす事も可能です。さらに、ここは読後すぐに感じたのですが、最後の「88鍵の先で」という言葉で物語は終わったのだと、繋がったと感じさせるために。演奏のラストはグリッサンドにし、その指が流れた先に星叶がいて。七色の鳥が風と共に虹をつくって彼女吹き抜けた。そんな幻を目にするほど美しいその演奏に、彼女が綺麗と呟き物語が始まる。なんてふうにするとお洒落かもしれません。
口頭である程度言えるような改善箇所はこんなところでしょうか。やはり、物語としては完成されていますので、あとはある程度の分かりやすさを補う程度しか言えることがありません。ですので、200点を超えるための話をしてしまおうかと思います。
もし貴女が小説家として、少し強くなりたいのであれば、改善すべきは文章です。とは言ってもこれは、描写不足がある程度改善してからでないと難しいかもしれません。文章の作り方というのは人によって多様ですが、ある程度分類することが出来ます。私は大まかに、情報型とリズム型という括りを自分の中につくっていて。情報型は推理小説に多い、情景を羅列させて鮮明に伝える方法で。リズム型はラノベなんかで稀に見られ、まるで詩のような技法で書く方法です。貴女はそれで分けられない特殊な位置にあり、リズム型の適性を持っていながら、情報型で文章を構築しているように見えます。1話の冒頭で特にそれが現れており、語りかける語りには、確かな詩的リズムがあります。リズムには改行も含まれるのですが、貴女は一文ごとに改行をしてしまっているので、それを使えずにいるのです。物語は完成しているのに、それを伝える文がそれに比べるとかなり弱い。このギャップから、世間的には始めにも言った天才型として貴女を認識してしまうのでしょう。
まあ、ある程度の分かりやすさと物語性があれば。小説としての価値に関係なくテラーノベル運営は、それを漫画やドラマの、シナリオの参考源にしてくれますので、目指すところがそこならば文体の適性までは考えなくて良いと、私個人としてはそう思います。
コメント
2件
ありがとうございます! 沢山お褒めいただき、そして具体的な改善点のご指摘ありがとうございます! 個人的にも文章はダメだなと思っていて、物語の細かい部分や流れを自己完結しがちなことに改めて気づきました。 読み返して、よりよくなるよう修正します!