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【君流コンテスト】
 
 
 
 参加作品「録画」
 
 ・得点
 
 物語性 25/50
 文章構成 25/50
 ??? 50/100
 
 合計 100/200点
 
 
 ・講評
 得点だけ見れば至極平凡な作品だったのかと、そう思われるかもしれませんが実際はかなりのクセモノ。
二話完結で、その大半となる一話を愛の重い一人の女性の独白にあて、二話がその愛の標的である先輩目線でのその後。変わった物語の構成で、評価を動かしたのもやはりそこでした。先に結論から言いますと、この構成はこの使い方では効果的ではない。私個人の意見にはなりますが、そう判断させていただきました。
 特殊な構成をした作品という事で、そういった有名作品を三つ挙げさせてもらいます。「serial experiments lain」「涼宮ハルヒの憂鬱」「Sunny Boy」。
これぐらいしかすぐには思いつかず……すみません。知っているもの、ありますかね?
まあ、話を戻しますと、これらには共通することがありまして。とても当たり前なとことではあるのですが、そのような一見変わった構造にすることに、しっかりと意味を持たせているのです。もっとわかりやすく言えば、変わった構造が受け手に考える事をさせるために使われています(一概にそうとは言えないが、そのような場合が多い)。
何か一つの事件や出来事があって、そこから派生していった物語を断片的に追っていき、受け手はその与えられた情報から考察を繰り返す。そして、最終的にはその事件や出来事、物語の核が明かされ、これまでの全てが繋がっていく。さらには、それまで受け手が考えさせられていた事すらも、その事件や出来事の一端だったのだと気付かされ、受け手はただ震える事を強制される。こういうのが定番になるかと。
そういう視点で見ると、この作品は読者の考える余白が少なすぎたかと思います。一話の独白では断片的だったものが、二話で繋がる訳でもなく、ただ起こった出来事が3000字程度の一話で観察者によって語られ、二話で新たに語られたは結末だけ。繋がるというよりも補強になっていた。
せっかく愛に妄信的な人間に一話使うならば、もっとそこでの文章だけでは読み解けないものを用意する必要があったのではないかと感じました。具体的に言うなら、彼女の記憶が妄想だらけだとかそういうことをです。
 まあ、これらはあくまで物語性という観点だけに着目した際の改善点であって、私としてはこの変更はナンセンスと思っています。違ったらすみませんが、この作品はヒトコワに見せかけ、純な恋心を描いただけ?なのでは?
演劇部というのが一つのポイントになっていると思うのです。この物語で彼女の心情は彼女自身の言葉でしか記されていませんので、すべてが演技である可能性は十分にありますし、なんならこの物語そのものが演劇であるかもしれない。作中でそのような方向に思考を誘導してくることもなかったので単なる偶然なのかもしれませんが、というかおそらくそうな気はしますが、可能性としてはあり得ますので一応……。
個人的にはこっちの方向性のほうがテーマ的に好みだし、これに先ほどの構造に意味を持たせることを組み合わせられれば、敵なしの最強物語が生まれちゃいます! 講評とは無関係な気もしますが言わせてください!
 ここまで長くなってしまいましたが、続いて文章構成について。評価に影響したのは主に一話のほうでした。
もし彼女の精神状態を表そうとしていたのなら、ここは聞き流してもらって構わないのですが。全体で見た時の流れが雑然としていて読みにくさに繋がっています。強調のために、話の流れとしての逆接を多用しすぎているかと。この語り手が結局何をしたかったのかが、正しく伝わらなくなる恐れがあります。
 批評ばかりにはなりましたが、「録画」を作品タイトルでなく、作品テーマとして見れば、限りなく完璧に近い物語であったなとは感じています。それはもう、最高に。
ただ、そうでないフラットな視点で見ると、ここまでで挙げたようなところが浮き出てくる感じが。
……という事でして、受け手によって評価が大きく分かれるという点を加味し、今回全ての評価観点で、得点を満点の半分とする判断をとらせていただきました。
ご不満な点などありましたら、どうぞ気兼ねなくコメントへ。