「お届けものでーす」
郵便配達員の声が響く。
俺はすぐに表に出た。
「はい…」
渡されたのは、一枚の赤い紙。
そこには緊急招集礼状と書いてある。
そして赤い紙には“空”と記されている。
「おめでとうございます…」
郵便配達員は無表情でこちらを見つめている。
俺はその言葉に、ありがとうございます、としか言えなかった。
家に入ると、家の中はぐちゃぐちゃになっていた。
喧嘩をしたのだろう。
俺は一人を呼んで部屋にいれた。
「空、急で申し訳ないのだが…」
俺は赤紙を握りしめた。
「…!僕、戦場に行くの?」
空は昔から勘がいい。
考えていることはまる分かりなのだろう。
「…ッ!あぁ…」
空は俺に近づき、俺を抱きしめた。
「大丈夫!僕、必ず帰ってくるよ」
空の方が怖いはずなのに。
情けない兄ですまない…。
「兄さん、行ってきます」
軍服をまとった空は少し哀しそうな笑顔を向けた。
大丈夫。空は帰ってくる。絶対大丈夫。
俺は自分に言い聞かせた。
7日後。
軍から報せがきた。
空のことだ。
俺はすぐに手紙を見た。
封筒の中には空の写真と、
遺書と書かれた手紙が入っていた。
空の字で。
空は特攻隊になったと。
戦場で御国のために散ったと。
軍の者からそう告げられた。
信じられなかった。
信じたくなかった。
はらりと落ちた遺書には、今までの事が書かれていた。
「遺書
僕は戦場で御国のために散りました。
この手紙を読んでいるなら、僕はもういないよね。
できれば、この死を喜んでほしいです。
御国のために散ることは、名誉でしかないから。
泣かないでください。
笑ってください。
僕は、陸と●●の笑顔が好きだから。
陸へ
先にいくことを許して。
僕は御国のために働けて光栄だよ。
陸のご飯、大好きだよ。
もっと食べたかった。
でも、もう叶わないよね。
せめて、僕の分も●●に食べさせてあげて。
ありがとう。世界一愛してる。
●●へ
先にいくことを許して。
僕は御国のために働けて光栄だよ。
いつも喧嘩してごめん。
でも、●●のこと大好き。
もっと遊びたかった。
あとはよろしく。
ありがとう。世界一愛してる。
空」






