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#ご本人様には関係ありません
楪羽*yuzuriha*
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雪月❄️
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華やかな大シアターの熱気が引いた後も、五つ星ホテルの夜は眠らない。大理石の床が街の夜景を反射する美しいロビーには、静謐でいて洗練された、特有の贅沢な時間が流れていた。
深澤「はい。明日朝のモーニングコールは七時に承りました。どうぞごゆっくりお休みくださいませ」
フロントカウンターの奥で、カチッとしたホテルの制服を完璧に着こなし、ゲストに極上のビジネススマイルを浮かべているのは深澤辰哉だ。ホテルの顔として一切の隙を見せないその美しい立ち振る舞いは、まさにプロフェッショナルそのものだった。
深夜二時を回り、チェックインの激しい波がようやく落ち着きを見せた瞬間。ピッと微かな電子音が鳴り、深澤の左耳に装着されたインカムから、低く掠れた、だけど聞き馴染んだ男の声がダイレクトに鼓膜へと響いた。
岩本『フロント、状況はどう?』
声の主は、ホテルの安全を一手に担うセキュリティリーダーの岩本照だ。ガタイの良さをさらに強調するような、濃紺のガチッとした警備員の制服に身を包み、鋭い眼光で常に館内を監視している男。ホテルのあらゆる構造や、隠された「防犯カメラの死角」を完全に知り尽くしている、このホテルの影の支配者でもあった。深澤は笑顔の形のまま、カウンターの下でインカムの送信ボタンを指先でそっと押した。
深澤「こちらフロント。現在はゲストの動きもなく、極めて異常なし。……っていうか照、これ業務用無線なんだけど。私用で使うのやめろって」
岩本『私用じゃないよ。フロントマンの体調チェックも警備員の仕事だから。……今、ふっかの顔、防犯カメラ越しに見てる。夜勤でちょっと疲れてるでしょ。可愛い顔が台無し』
深澤「っ……! どこ見てんだよ変態筋肉お化け!」
深澤は完璧なビジネススマイルの裏で、耳元を一瞬で真っ赤に染めた。業務用のインカムを使い、周囲の他のスタッフにバレないようにギリギリのトーンでからかってくる岩本は、完全に楽しんでいる確信犯だった。
岩本『冗談。……本題だけど、今からバックヤードの一番奥、リネン室(アメニティ保管庫)の巡回に行くから』
深澤「は? リネン室なんて、さっき別のスタッフが……」
岩本『ふっかが大好きな、特別仕様の高級アメニティ、新しく入荷したから。差し入れするよ。すぐ取りにきて』
岩本のその低い言葉の響きに、深澤の心臓がトクン、と大きく跳ねた。「特別なアメニティを差し入れする」――それは、岩本が独占欲を限界まで昂らせた時にだけ使う、「今すぐ俺のところに来い」という二人だけの秘密の合図だった。
深澤「……了解。アメニティの在庫確認のため、フロント、一時的にバックヤードへ向かいます」
深澤はインカムにそう業務連絡を吹き込むと、同僚のスタッフに軽く一言残し、制服のジャケットの襟を正して、足早にロビーの奥へと歩き出した。そのすぐ近く。エレベーターの陰で、アメニティのタオルを山積みにした台車を押していたポーターのラウールが、静かにその目を爛々と輝かせた。
ラウール(……きた!! フロントのふっかさんが今、完全に『恋する男の顔』になってバックヤードへ消えていった! 警備員の岩本くん、職権乱用がすぎるよ……! 最高!!)
ポーターのラウールは、上品な制服の下で脳内を100%ガチの腐男子モードに切り替えると、台車を器用にコントロールしながら、音もなく深澤の後を追ってバックヤードへと滑り込んだ。バックヤードの最も奥にあるリネン室。そこは、大量の石鹸やシトラスの香水、真っ白なシーツといった、ホテル特有の清潔な香りが充満する、薄暗く狭い空間だった。深澤が周囲を気にしながら部屋に入り、カチャリ、と内側から静かに鍵を閉めた、その瞬間。暗闇の中からぬっと現れた巨大な影に、後ろから強引に抱きすくめられた。ガシッ、と力強い腕が深澤の細い腰をホールドし、警備員の硬い制服の生地が、深澤の背中に容赦なく押し付けられる。
深澤「うおっ!? 照、びっくりするだろ!」
岩本「ふっか。遅い。待ちくたびれた」
岩本は額を深澤の首筋に甘えるように押し付け、ふー、と熱い吐息を吹きかけた。そのガチッとした制服の胸元からは、岩本が普段から愛用している少しスパイシーな香水の香りと、リネン室の石鹸の香りが混ざり合って、深澤の理性を心地よく狂わせていく。
深澤「ちょっと、照……! 強く抱きしめすぎ! フロントの制服、これシワになると明日の朝、マネージャーに怒られるんだけど!」
深澤が身をよじって抗議するが、岩本は余裕の笑みを浮かべたまま、その腕をさらに強固な檻のように引き締めた。
岩本「シワになったら、俺の警備員のシャツ貸してあげるから。……それより、インカム、切るよ?」
岩本は大きな手で、深澤の耳元にあるインカムのスイッチへと指を伸ばした。カチッ、と静かな電子音が響き、外界との繋がりが完全に遮断される。続けて岩本は、自分のインカムの電源も迷わずオフにした。世界で二人きりになった薄暗いリネン室の暗闇の中で、岩本が深澤の耳元に唇を寄せ、低く、そして熱く囁いた。
岩本「……It’s showtime.」
それは、ロビーで見せていた「完璧なホテルマン」の顔を甘く崩し、一人の男としての深澤辰哉をすべて暴くための、真夜中の開演の合図だった。岩本は深澤の身体を強引に向き直らせると、棚に積まれたふわふわのタオルの山に深澤の背中を優しく押し付け、そのまま深く、深く唇を重ね合わせた。
深澤「ん……っ、あ、照……」
岩本「ふっか、さっきロビーで、他の客にめちゃくちゃ良い笑顔向けてたでしょ。防犯カメラで見てて、ずっとイライラしてた。ここはカメラの完全な死角だから、俺のことだけで頭いっぱいにして」
警備員の腕の中で、完全に翻弄され、熱い吐息を漏らす深澤。
ラウール(……はぁぁ、尊すぎて無理。警備員の独占欲によるインカム遮断からの目隠しリネン室ハグ、最前列(棚の隙間)で拝ませていただきました。この極上の防犯カメラの死角ノロケ、今夜のポーター観察日記に完全保存……!)
リネン室の配管の影に身を潜め、完全にポーターの気配を消してスマホの網膜にそのすべてを焼き付けていたラウールが、音もなく涙を流しながら大興奮していることなど、二人は知る由もなかった。表のきらびやかなホテルの静寂の裏側で、アメニティの清潔な香りに包まれた狭い空間の中、2人だけの濃密なショータイムは、夜が更けるまでどこまでも熱く、続いていくのだった。
コメント
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みぅです🤍🥀 めかぶぷりんさん、第26話読ませていただきました…! もう、もう、もう!!!インカム越しの照くんの独占欲が最高すぎて震えました…「ふっかの顔、防犯カメラ越しに見てる」って実質ストーカーじゃないですか?でもそれが尊いんですよね…🥀 そしてリネン室の薄暗い空間で、プロのホテルマンから一人の男に変わる瞬間の演出がすごく丁寧で、ドキドキが止まらなかったです。ラウールくんのポーター目線の腐モードも最高のアクセントで、笑いもありつつ甘さもありつつ…完璧なバランスでした。 次回も楽しみにしてます🌙