その写真を受け取り、何気なく見やった私は、唖然として目を丸くした。
「うわぁー、すごいイケメ……」
被せるようにして父親が、「俳優顔負けにイケてるだろう、貴仁君は」と、口を挟んでくる。
「べ、別にそんな……」
言いかけた最後の”ン”の一文字を呑み込んで、口先でボソボソと反論をする。
そこに写った人は、額に垂らした前髪から見つめる強い目力のある切れ上がった涼やかな眼差しに、高く通った鼻筋と真一文字に結んだ唇が、男性的な魅力にあふれていて、まさに”俳優顔負け”張りなかなりのイケメンだった。
「向こうへの連絡は、おまえの都合のいい時で構わないそうだが、いずれは取締役会の承認を経て、仮にもクーガの次期社長になる方だからな。くれぐれも粗相などはないようにしてほしい」
「えっ、次の社長に? だってさっき、私とあまり年齢が変わらないって……」
24歳の自分と同い年くらいなら、せいぜい20代後半なのではないだろうか? それで、あの巨大企業のクーガの社長になるだなんて──。
「貴仁君は、27歳だったか。まぁその年でも、それだけの才能があるってことだ。きっと彼の社長就任のニュースは、近いうちに大々的に報じられるはずだ」
「……信じられない」
それしか言葉が出てこなかった。外見どころか、内面のスキルまで持ち合わせているだなんて、この彼とは、一体どれだけのハイスペックさを備えた、スーパーエリートなんだろうか──?
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