テラーノベル
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午後のオフィス。
昼の公園の空気とは打って変わって、いつもの仕事モード——
のはずなのに。
「……なあ」
机の横からぬっと顔を出す
シェドレツキー。
「ジェーン」
「……なに」
即座に警戒モードのジェーン。
「さっきの人」
「……」
一瞬で察する。
「姉」
「うんそれは聞いた」
ぐいっと身を乗り出す。
「詳しく」
「なんで」
「気になるから!!」
即答。
「……仕事は」
「してるしてる」
してなさそう。
「で、あの人何者?」
「……普通」
「絶対普通じゃないでしょ」
即ツッコミ。
少し離れた席で、
「やめとけ」
ぼそっと言う
デュセッカー。
「面倒なタイプだぞ」
「だからだよ」
シェドレツキーはにやっと笑う。
「面白いじゃん」
(懲りてない……)
ジョンは内心で思う。
「ででで」
再びジェーンの方へ。
「怖いの?あの人」
「……別に」
即答。
でも少しだけ間がある。
「強いだけ」
「ほら怖いじゃん」
「違う」
「姉妹的にどうなの?」
「普通」
「嘘でしょ」
「……」
ジェーンが少しだけ視線を逸らす。
「……面倒」
ぽつり。
「でも」
ほんの少しだけ、言葉が続く。
「……嫌いじゃない」
(似てるな……)
ジョンはまた思う。
「へぇ〜」
シェドレツキーがニヤニヤする。
「じゃあさ」
嫌な予感。
「恋バナとかするの?」
「しない」
即答。
「一切?」
「一切」
「絶対嘘」
「してない」
本気で言ってる。
「じゃあさじゃあさ」
止まらない。
「ジョンのこと話した?」
「……」
一瞬の沈黙。
(あっ)
ジョンもデュセッカーも同時に思う。
「……少し」
ジェーンが小さく言う。
「え」
シェドレツキーの目が輝く。
「どんな感じで!?」
「言わない」
即遮断。
「え〜いいじゃん!!」
「だめ」
「どこが好きとか言った?」
「言ってない」
「じゃあなんて?」
「……」
ジェーンが少しだけ考える。
「……変な人って言った」
「ひどい!?」
ジョンが思わず声を出す。
「でも」
小さく続ける。
「……悪くないって」
「……っ」
ジョンが固まる。
(それ……)
(かなり嬉しいやつでは……?)
「ほら〜〜〜!!」
シェドレツキー大興奮。
「めっちゃいいじゃん!!」
「静かにしろ」
デュセッカーが押さえる。
「でさ」
まだ終わらない。
「ブライトさんってさ、彼氏とかいるの?」
「いない」
即答。
「え」
「興味ないって言ってた」
「へぇ〜〜〜」
なぜか納得した顔。
「じゃあさ」
さらに一歩踏み込む。
「俺いけるかな」
「は?」
空気が凍る。
「いやだってさ!」
「強くてかっこいい系っていいじゃん!」
「……」
ジェーンの目が一瞬で冷える。
「やめとけ」
デュセッカーが即止める。
「死ぬぞ」
「大げさだなぁ」
「……勝手にすれば」
ジェーンがぼそっと言う。
「ただ」
少しだけ間。
「責任取らない」
「怖」
シェドレツキーが一瞬だけ真顔になる。
(本気のやつだこれ)
その時。
遠くの廊下。
ちらっと見える紫の影。
「……」
ブライト・アイズが、こちらを一瞬だけ見ている。
目が合う。
「……っ」
シェドレツキーの背筋が伸びる。
(今、なんかロックオンされた……?)
「……仕事戻って」
ジェーンが言う。
「はい」
素直に戻るシェドレツキー。
めずらしく。
席に戻りながら小声で。
「……やっぱこえー女だわ」
「だから言っただろ」
デュセッカーがため息。
その横で。
ジョンは静かに考えていた。
(……でも)
(ジェーンが“悪くない”って言ったの、嬉しいな……)
少しだけ、顔が緩む。
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