テラーノベル
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「それ、好きだよね」
昼休み。
購買で買ったパンを見て、俺は何気なく言った。
親友は一瞬だけ手を止める。
「え?」
「いや、それ。前からよく食ってたじゃん」
メロンパン。
中学の頃、毎日のように食べてたやつ。
忘れるわけない。
「あー……」
少し考える素振り。
「ごめん、あんま好きじゃないかも」
……は?
「いやいや、好きだろ」
思わず笑う。
「文化祭のときも、そればっか食ってたじゃん」
「文化祭?」
親友は首をかしげる。
「そんなことあったっけ」
軽い口調。
冗談みたいな顔。
でも、なんか違う。
「……いや、あっただろ」
「うーん……覚えてないや」
そのまま、何事もなかったみたいにパンを一口かじる。
(いや、忘れるか?)
たったそれだけのことなのに、
妙に引っかかった。
「ねえ」
気づけば、また声をかけていた。
「ほんとに覚えてないの?」
親友は、少しだけ困ったように笑う。
「はは…そんなに大事なこと?」
……なんだよ、それ。
__
「お前さ、”マジで”ってよく言ってたよな」
「…そうだっけ?」
いや、口癖だったじゃん。
…
「部活!サボるの嫌いだったじゃん?」
「今は別にいいかな、。」
お前、おかしいって。
…
「そういえばあの日一緒に帰ったよな!」
「あー、それ、」
「”別の人じゃない?”」
…覚えてないとかありえないって
(なんで俺の事だけ忘れんだよ!!)
__
帰り道
「…そういや、お前この道で転んだよな」
「え?いつ?」
「3年前?くらい」
「え、転んでないよ、 」
「いや、転んだって、!」
「…ほんとに?」
…
分かれ道
「じゃぁな」
…
「なぁ、」
帰ろうとする親友を呼び止める
「ちょっといい?」
「……なに?」
面倒くさそうに答える。
「俺らさ、」
少し空く
「去年の夏、一緒に花火見に行ったよな」
「そうだっけ?」
「…行ってないよ。」
「……は?」
「いや、行っただろ、川沿いのやつ!」
「それさ、別の人じゃね?」
「……お前さ、」
「なんで俺とのことだけ全部ズレてんの?」
少し困った顔
「ズレてるってゆうかっていうか…」
少し考える
「覚えないだけじゃないの?」
「…覚えてないってなんだよ!」
「簡単に言うんじゃねぇよ!!」
「俺は覚えてんだよ!全部、全部!」
「…」
「お前が笑ったことも、
くだらないことで喧嘩したのも!」
「それを…”なかったこと”にすんなよ!」
「……でもさ、」
「全部覚えてる方が無理じゃね?」
…
「人って、変わるしさ、」
「忘れることもあるし、」
「それってさ、
そんなにおかしい? 」
「じゃぁさ、…俺の事もどうでも良くなったってこと?」
少し間
「……そうゆう訳じゃないけど、」
「………もういい」
足速に去る。
なんなんだあいつ。
俺との記憶、覚えて、、
今いる場所はやけに静かだった。
ポケットに手を突っ込む。
「なんだこれ」
写真を1枚取り出す。
なんだよ、これ
ちゃんと覚えているはずなのに、
なんか、違う。
「コイツ……こんな顔してたっけ、。」
「変わったのは、本当にあいつだけだったのか」
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