『んんっ…』目が覚める。
『おそよう、甘ちゃん。』
『んぇ?おそ…よう?』
まだ、眠い。
時計を見る。
11時11分
わぁ!幸せになれそう!
・・・
『え⁉︎』
こんな時間になってたの‼︎
今までずっと寝ていたのか…
昨日、寝たのが遅かったからかな…
『ごめん、もう起きる…』
ベッドから、身体を起こす。
もう、昼食じゃん…
ご飯を食べようとした。
ピーンポーン!
インターホンが鳴る。
誰だろう。
インターホンが鳴るのは珍しい。
『・・・』
前は、酷い目にあったしな…
でも、待たせるわけにはいかないし…
インターホンの画面を見る。
と、
『え”、』
そこに、見覚えのある人が映っていた。
『誰だった?』
琥珀さんが訊いてきた。
『知らない人…』
うーん、
仕方ない、行くか…
玄関に向かい、ドアを開ける。
『急に来てしまい申し訳ございません。体調はいかがでしょうか。』
あれ?この声、聞き覚えが…
『あ、えと、こんにちは。げ、元気だよ?』
この顔に、見覚えがある。
まさか…
そこに、私服姿の星名さんがいた。
フードがないので、緑色の髪が見える。
髪を横で結んでおり、メガネをかけている。
あれ?こんな子だったっけ?
なんでここにいるんだ?
『それはよかったです。すでに、17回お呼びさせていただいたのですが、何かございましたか?』
17回も⁉︎
『あぁ、今まで寝てて…』
『左様ですか…では、まずはぬるい水を、コップ一杯飲まれた方がよろしいかと思います。』
『え?ちょっと、まっ!』
星名さんに、手を引かれる。
『失礼いたします。』
家に上がって、
『こちらでよろしいでしょうか。』
僕のコップを手にする。
『それは、僕の…』
星名さんはコップに、バッグから取り出したペットボトルの水を入れた。
『こちらは、綺麗な水です。ゆっくりお飲みください。』
『あ、あぁ…』
この水、大丈夫だろうか…
『毒などは入れておりません。そんなことはいたしませんよ。』
『そうですか…』
飲むか…
水を飲む。
味は、普通の水。
大丈夫そうかな。
『この時間、お食事はこちらをお食べください。』
星名さんがバッグから、バランス栄養食?を取り出して、差し出してきた。
『あ、ありがとうございます?』
受け取り、食べてみる…
まぁ、美味しいな。
『日の光には当たりましたでしょうか。外に出た方がよろしいと思います。』
『あの…』
『はい、何かございましたでしょうか。』
『えと…もう大丈夫ですので…』
『勝手なことをしてしまい、申し訳ございませんでした。私に、罰をお与えください。』
え⁉︎
『いやいやいや!そんなことはいいから!その、そういうのは大丈夫だから、普通にしてて大丈夫だから、その、どうすればいいかわからないので…』
『申し訳ございませんでした。普通にします。』
よかった…
『その、レインから何か言われたの?』
『はい、レイン様からは、銅様についておけと。』
レイン…
まだ、諦めていないみたいだ。
『それと、銅様にこれを渡すようにと、』
『ううっ…』
お金…
『昨日は渡せなかったので、今日は受け取ってください。』
『あ、あぁ…』
大金…
受け取る…
『・・・』
『・・・』
これから、どうしよう…
『お着替えは、なさいますか?』
『う、うん…』
『銅様に合わせた服をお持ちしました。』
『え、』
星名さんのバッグから、たくさんの服が出てきた…
『こちらと、こちらと、こちらと…』
何その貴族が着てそうな服は⁉︎
『こちらはいかがでしょうか。』
『うーん…』
それも、貴族の着てそうな服だな…
『では、こちらはいかがでしょう。』
『えぇ…』
女性向けじゃない?
それも、
肩が出るし!
ピンクのリボンがあるし!
『それはまずいかと…』
琥珀さんと星名さんならいいだろうけど、
僕が着るべき服では…
?
待てよ?
もしかしたら…
『その服、使えるかも。』
『かしこまりました。では、こちらでお着替えを。』
『え?』
『私が、お手伝いさせていただきます。』
『いや!そういうのはいいって!』
『申し訳ございませんでした。』
『大丈夫だから、ね?』
あ、今はいいんだけど…
今は、他のかいいんだけど…
・・・
仕方ない、
着替える。
・・・
失敗した…
恥ずかしい…
『似合っております。』
『・・・』
『か、かわっ!』
『え?』
カシャカシャカシャ!
琥珀さんが、スマホのカメラを向けていた…
『ちょっとやめてぇ‼︎』
『お化粧はいたしますか。』
え、お化粧?
『や、やめときます…』
『そのままでもお素敵です。』
『・・・』
一体、何をさせられているんだろう…
まぁ、服は僕が選んだんだけど…
でも、今はまだ…
まだ、時間ではない…
『ウィッグとコンタクトもありますが…』
『えっと、だい…』
『こちらはいかがでしょう。』
『長くない?』
それは、
琥珀さんと同じくらいの長さのウィッグだった。
『いいと思う!』
『いやあ!だめでしょ!』
・・・
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