テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
___________________________芬side
「…このピアスは捨てた方が身の為だが…。」
「フィンランドはどうしたい?」
「…俺は…、」
助けてくれた上に俺を尊重し、
選択肢を与えてくれるこの大国達に内心感謝しながら、
俺は自分の意思をはっきりと示した。
「…捨てたい。物に罪はない…けど、もう忘れたくて…、」
俺がそう言うと、暖かな体温に包まれた。…強く抱きしめられているのだ。
この2国は俺より少し背が高いため、身体全体を包まれた様な気分で。
…嗚呼、誰かに抱きしめられて、こんなに安心したのはいつ振りだろうか。
「…そうか、彼奴の事は忘れて沢山楽しい思い出作ってくれ。」
優しい声色や言葉、2国の体温が涙腺の扉を叩く。
…今此処で泣いてしまえば2国を困らせてしまう。
だからまだ言葉が発せられる状況の為、これだけを言う。
「ありがとう 」
自身が発した声は酷く震えており、とても惨めだった。
2国も困惑してしまっている。
「フィンランド、?」
「大丈夫か…?」
「ごめん、大丈夫、」
安心してしまい、全身から力が抜けた様に感じる。
…正直言って泣きそうだ。
目の周りが熱く、視界に映る全ての色彩が溶けてしまった様に見えた。
なんでこんなに幸せだって思うんだろう。
…いつか恩返しをしなければ。
あの奈落から助け出してくれた2人の救世主に。
感謝を伝えなければ。
そう思うのに、目から溢れる雫は止まる事を知らず、
唯、ぽたぽたと床を濡らすだけだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!