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____knt side
雲雀の視線がゆっくりとゆっくりと、俺から離れていく。
その瞳は、自分の恋心を彷彿とさせるようで思わず目を伏せた
「は、早川先輩!? 」
嬉しそうな声色を聞いた瞬間、心臓が嫌なほど締め付けられる。刃物で刺されたような、そんな感じがした
「やっぱり雲雀だ。後ろ姿でわかったよ」
早川先輩もふわりと目を細め、雲雀に笑みを向けた。その瞳の中には確かに、熱が宿っていた。
僕は”邪魔者”か
『じゃあ、僕帰るわ』
そう言うと雲雀はこっちを向いて口を開いた
「え、あ、おう!気ぃつけてな!」
「またね。奏斗くん」
満更でもなさそうな雲雀と、どこか冷たい笑みを浮かべる早川先輩を見て、目を伏せた
『じゃあ、また』
別に引き留めてほしいとは思っていないが、少しだけ。ほんの少しだけ、躊躇ってほしい自分がいた。
____まあ、そんなこと雲雀がする訳ないけどさ
「…え、あれって風楽じゃない?!おーーい!」
「あ、ほんとじゃん。奏斗くんだ」
『え?』
遠くから声が聞こえて、思わず振り返る
女子高生が3人。1人はこちらを指差して、もう1人は手を振っていた
そしてもう1人
見覚えのある彼女がいた
_____________マリさん
「風楽偶然だね〜!!なにしてんの?」
その瞬間、横にいたマリさんの友人がハイタッチをしてきた。
「ちょっと乃亜。奏斗くんがビビるでしょうが」
バチンと音がして、乃亜さんの額にデコピンが飛んだ。確か、このヘッドフォンをしている女の子は_薫さんだった気がする
カオル「ごめんね奏斗くん。」
『いやいや、僕は全然良いんだけど………』
視線を、マリさんに移す。
彼女はずっと下を向いていて言葉を発そうとせずに、ただ俯いていた。
『…マリさん?大丈夫?』
マリ「っへ!?あ、え…っと、いや、ちょっとびっくりしたっていうか、会えると思ってなくて、」
えへへと笑って頬を掻く彼女を見る
マリ「びっくりしただけだよ。奏斗くんは何してたの?」
『え、あ僕?…僕は、』
ふと、雲雀と早川先輩達に目を向けた
もう距離は離れているものも、仲良さそうに話している2人は見えるわけで
居心地が悪くなり目を逸らす
心臓が張り裂けるように痛い。
『ッ…雲雀を家まで送ってんだよね、3人は?』
ノア「アタシ達はスタバ行ってたんだ〜!あ、風楽も予定合えば一緒に来る?
カオル「何言ってんの。奏斗くんが困るでしょうが」
____ドクン、ドクン
心臓の痛みが止まない。
ずっと、包丁で刺されているような鋭い痛みが体を蝕んでいる。
こめかみに汗が滲む。この痛みから逃げたくて、心臓がある位置をギュッと掴んでも痛みは和らがなかった
マリ「…?奏斗くん?」
『っ…は、…はッ、』
ポタポタと冷や汗が地面に落ちていく。
マリさんの問いかけに答える余裕もなく、自分の口からは息を吐く音が漏れるだけだった
ドクンッ
『ッあ”ッ』
目の前が何重にも歪んで、視界が横転した。
体に強い衝撃が走り、何かに打ちつけられる感覚がした。
倒れた、のか
爪先が白くなっていく、視界も歪んできた
病院に運ばれた日の症状に似ている。本当にαになりかけているのだろうか、
こんなに苦しいなら、雲雀が見向きもしてくれないなら、αになんて
ならなきゃよかった。
コメント
13件
いや〜なんか、私の推しの作者さん 大体こんな感じになるんですけど。 たまたまですかね?
ぐあぁぁ!ぐっ!ぅぅああぁ…😭 (言葉にならない叫び) 奏斗さん大丈夫か〜!?