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スタートヽ(*^ω^*)ノ
雨の音だけが響く公園のベンチ。
唇が離れた後も、キヨの腕の中にレトルトはいた。
熱い体温が伝わる距離。互いの呼吸が、胸の奥を震わせる。
キヨが、そっとレトルトの頬に手を添えて言った。
『…レトさん、今度、服を選ぶときは……俺と一緒に行こう』
レトルトが驚いたように瞬きをする。キヨは構わず続けた。
その瞳は、じっとレトルトの奥を見つめていた。
『どんなときも、俺が一番でいたい。
レトさんの隣にいるのが、俺じゃないと嫌だ。
……俺の知らない顔、誰かに見せるのも……本当は、、俺だけがいい。
全部俺だけに見せてほしい』
息を呑んだレトルト。
雨に濡れた髪が頬に張りついているのも気にせず、目を逸らせなくなる。
『わがままなのは分かってる。でも……
俺、レトさんが思ってるよりずっと、独占欲強いんだ、、』
耳元で囁かれるその声に、胸が跳ねた。
激しい雨の中、ふたりの距離は、もう一滴も入る隙間もなかった。
キヨの言葉が、胸に深く染み込んだ。
俺は、何も言えなくて、ただぼうっとその顔を見つめてた。
でも、心の奥が、熱くなってくる。
湧き上がるのは、あのときキヨくんに冷たくされて感じた、寂しさと、悔しさと――…それでも、好きっていう気持ち。
「……俺、だって……」
声が震えていた。
息を吸って、思い切ってキヨくんの胸に言葉をぶつける。
「俺だって、キヨくんを……独り占めしたいに決まってる……!」
その瞬間、キヨが目を見開いた。
でも、すぐにゆっくりと目を細めて、俺の肩をぐっと抱き寄せた。
『…レトさん…』
キヨくんの手が、俺の腰にまわる。
強く、でも優しく。
まるで俺が逃げられないように。
俺のものだというように。
『んー、困ったなぁ…俺の独占欲凄いんだよなぁ』
くちびるの端がわずかに持ち上がっていた。
でもその目は、真剣で――
獲物を狙う猛獣のように鋭く 深い湖の底に引きずりこまれそうなほど深く熱を帯びた眼。
「これからどうしましょうか、レトさん」
「俺も……絶対、誰にもレトさんを渡さないって決めてるんですけど」
胸がぎゅっと締めつけられた。
怖いくらい真っ直ぐな想いに、心が焼かれそうで――でも、目を逸らせなかった。
キヨくんが悪戯っぽく笑って、俺の頬に軽くキスを落とした。
雨はまだ止まなかった。
でも心は、もうずっと前から熱かった。
雨はようやく小降りになっていた。
公園の木々の間から、濡れた街灯の光が差し込んでくる。
濡れた髪をぬぐいながら、俺たちは黙って歩いた。
どちらともなく、そろそろ帰ろうか、って雰囲気になって――
キヨくんが足を止めた。
『……ほんとに、今日はもう帰っちゃうの?』
その声はいつもより少しだけ甘えてて。
いつもの落ち着いた口調と違って、まるで拗ねた子どものようだった。
『…レトさんが帰りたくないって言ってくれたら、俺、何時間でも付き合うのになぁ』
ぽつりと呟くキヨくん。
そんな顔、反則だよ。
俺は少し笑って、そっとキヨくんの前に立った。
そして――
背伸びをして、彼の濡れた前髪をかき分けるようにして、
おでこに、そっとキスをした。
「……またね、キヨくん」
その瞬間。
キヨくんは一瞬何が起きたのか分からないように固まって、
その後、みるみる頬が真っ赤に染まった。
『……っ……レトさん……今の……/////』
「俺だって独り占めしたい気持ち……強いんだからな?」
そう言い残して、くるりと背を向ける。
背中に刺さるキヨくんの視線を感じながら、歩き出した。
少し歩いたところで、ふいに後ろを振り返ると、
そこにはまだ赤くなったまま立ち尽くすキヨくんが、俺をじっと見つめていた。
その顔が、すごく、すごく愛しくて――
心がじんわりと温かくなる。
「キヨくん、愛してるよ」
『レトさん、愛してるよ』
そうか
知らずに胸が騒いでいる
わけもわからず笑えている
ここが見慣れすぎた君の隣だと気づいた
奇跡と呼ぶにはちっぽけで
ちゃちな軌跡を残していこう
ほら いつもの後ろ向きでも前すすめ
僕らの航海だ
終わり
長い妄想話にお付き合い頂きありがとうございました!
続きは、、、もしリクエストがあれば書こうかなと思ってます🐈⬛🎩
読みにくい所や誤字などあったかもしれませんが最後まで読んで頂きありがとうございました。
感想など聞かせて頂けると励みになります!
また新しい話を書きたいと思っていますので
その時はまたよろしくお願いしますヽ(*^ω^*)ノ