テラーノベル
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⚠暴力表現あり
夜の路地裏。
昼間とはまるで違う湿った空気。
人の気配もまばらで、煙草の匂いがする。
ここが“普通じゃない場所”だということは誰でもわかる。
「俺等が貸した金はどうなってんだよ?」
低く、威圧する声。
「あと少しだけっ、待ってくださいっ、」
震えた声で返す少年は、高校生くらいだった。
「言ったろ?ぴったりに返さねえとどうなるか……」
肩を掴まれる音。
少年に逃げ場なんてない。
「っ……!」
追い詰められた少年息遣いが、空気を重くする。
そのとき。
「おい、やめろ」
静かで、低い声が割って入る。
一瞬で、その場の空気が変わった。
💚side
「あ゙?なんだお前」
「高校生相手に何してんだよ、みっともねえ」
淡々と言葉を放つ。
そこに感情は乗っていなかった。
「うるせぇっ!」
怒鳴り声。
足音が一気に近づいてくる。
男が一気に振りかぶった。
パシッ
「……は?」
男の拳を目の前で止めた。
男は信じられないとでも言いたげな表情だった。
「……ふふ」
小さく笑う。
「俺に勝てるとでも思った?笑」
にやりと笑うと即座に男の腹をめがけて殴る。
ドンッ
ボコッ、バキッ
鈍い音が連続で響く。
一方的に殴りつける。
男は抵抗する暇もなく、叩き伏せられた。
「ぅぐっ…がはっ……!」
男はそのまま地面に倒れ込んだ。
俺のことを睨みつけてくる。
俺はにこりと笑みを浮かべて言った。
「なに?まだやる?」
顔を覗き込むと、男は怯えたような顔をした。
さっきまでの威圧感は、嘘みたいに消えていた。
「……ゲホッ、ゲホッ……クソがっ……覚えてろ……!」
這うように立ち上がり、男はそのまま逃げていく。
足音が遠ざかる。
やがて、静寂が落ちた。
俺は少年のもとに駆け寄る。
「……大丈夫?」
声が、少しだけ柔らかくなる。
さっきまでとはまるで別人だった。
「……ぁ……ありがとう、ございます……」
声は震えていた。
まだ恐怖が抜けきっていない様子だった。
「怪我は?」
「…だ、大丈夫です……」
息を整えながら、なんとか答えている。
「……そう」
俺は短く頷く。
それから、少し間を置いて、
「もう二度と、こっちの世界に入ってくんな」
そう冷たく言い放った。
「…ぇ……」
戸惑う声。
「今回はたまたま運が良かったから助かったけど、次はないから」
淡々と続ける。
「……金、どうしても必要なら、別の方法探せ」
少しだけ低い声で言う。
でもそれは脅しじゃなくて忠告だった。
「はい……」
少年は小さく頷いた。
「ありがとうございました……」
そう言って少年は深く頭を下げた。
「……もう帰りな」
俺がそう言うと、少年は走り去っていった。
やがて俺は一人になった。
静かな路地裏で、さっきまでの音は嘘みたいに消えている。
「……」
拳を軽く握る。
痛みが、じわっと広がる。
「…まただ」
殴って、潰して、終わらせる。
それが、当たり前の世界。
「……」
ふと、頭に浮かぶ。
白杖を持って、ゆっくり歩く姿。
少し不器用で、でも一歩ずつ進んでいく彼。
「…佐久間さん」
ぽつりと、名前を呼ぶ。
「……俺とは真逆だな、」
そう苦笑する。
あの人は、光の中で生きてた人間だ。
今は見えなくても、それでも明るい世界で生きている。
彼を絶対に巻き込みたくない。
それでも、関わってしまう。
手を伸ばしてしまう。
静かに夜空を見上げる。
ネオンに隠れて、星は見えない。
「……俺は、こっち側の人間だから」
はっきりと、言い聞かせるようにそう言った。
それでも、俺の中に浮かび上がる彼の表情は消えなかった。
コメント
1件
第9話読み終えたわ。 路地裏の喧嘩シーン、一瞬で空気変える感じがかっこよかった。「みっともねえ」って淡々と言うところ、めっちゃ刺さる…。 で、助けたあとに少年へ冷たく言い放つところも切なかったわ。優しさゆえの距離の取り方なんだろうな。 最後の佐久間さんとの対比、「俺とは真逆だな」って苦笑いするところ、胸にきた…。 この主人公、見かけよりずっと繊細で良いな。続き気になるわ🔥
#あべさく
めかぶぷりん
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