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#あべさく
めかぶぷりん
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ふみさん、第10話読みました!海辺の静かな時間、手を握るシーンがすごく心に響きました。阿部さんの「俺の手は汚れている」って内面と、それでも離せないって気持ちの対比が切なくて…。お互いにとっての「光」がちゃんと存在してるのがいいなって思いました。続きが気になります!
静かに阿部さんの隣を歩く。
近くでザーザーと波の音がする。
俺が阿部さんに「久しぶりに海に行ってみたい」と言ってみたところ、「それなら今度の日曜日とかどうですか」と阿部さんが予定を調整してくれたためこうして阿部さんと来ることができたのだ。
久しぶりの海は潮の匂いがした。
規則的な波の音が聞こえる。
「…海、久しぶりです」
近くにあった平らな岩らしきところに座りながら、そう呟く。
阿部さんも隣に腰掛けた。
見えないはずなのに、なぜか綺麗な海の景色が脳内に浮かぶ。
きっと、青くて、広くて、
太陽の光が反射してきらきらしてて。
「良かったです、二人で来れて」
阿部さんの声が、すぐ隣から聞こえる。
優しい声色が風と混ざって心地よかった。
しばらく、何も話さずに座っていた。
波の音と、風の音。
隣りに座る阿部さんの温もり。
それだけで満たされる時間。
「……あの」
ふと、口を開く。
「…いつもありがとうございます」
「…え、?」
少し驚いた声。
「俺、いつも助けられてばっかりで」
転びそうになったときも、
怖い人に絡まれたときも。
何度も、何度も。
「いや…俺もやりたくてやってるだけだから」
阿部さんは照れたようにそう言う。
それが、なんだか少し嬉しくて。
「優しいんですね、阿部さん」
素直にそう言う。
すると、
「……そんなことないですよ」
少しだけ、間を置いて返した。
この間と同じ、少し濁すような言い方で。
「……」
阿部さんが何かを隠していたとしても、俺にはそれが何かなんてわからない。わからなくたっていい。阿部さんがそばで守ってくれているということが、俺にとっては何よりも嬉しかった。
ゆっくりと、手を伸ばす。
隣にいる阿部さんの手を探す。
少しだけ迷って、そっと、その手に触れる。
「……っ」
わずかに、反応があった。
それでも、振り払われることはなかった。
そのまま、指を絡める。
阿部さんの手は温かかった。
俺より少し大きくて、優しい手。
「……この手が」
小さく、呟く。
「俺を守ってくれたんです」
言葉にするたびに、胸が熱くなる。
「俺を、導いてくれたんです」
迷っていたときも怖かったときも、
阿部さんが手を差し伸べてくれたから前に進めた。
「……」
阿部さんは、何も言わない。
ただ、黙って聞いている。
「…俺にとって、暗闇に差し伸べられた、たった一つの光だから」
恥ずかしいはずなのに、なぜか、言わなきゃいけない気がした。
「……そんなふうに言ってくれるの」
しばらくして、阿部さんが口を開く。
「佐久間さんだけですよ」
少しだけ、声がかすれていた。
「…そうですか?」
「……はい」
短い返事。
でも、その奥に何かを押し込めているような気がした。
ぎゅっと、手を握る。
離れないように。
伝わるように。
「……俺は、ずっとそう思ってます」
静かに言う。
それが全部だと伝えるみたいに。
💚side
「俺は、ずっとそう思ってます」
佐久間さんは、はっきりとそう言った。
「……」
俺は何も返せなかった。
俺の手は、汚れている。
人を殴って、血を流させて。
誰かを傷つけることに、慣れてしまった手。
そんな手を、『光』だなんて。
「……っ」
わずかに、指が震える。
こんなに純粋で綺麗な人間が、こんなにも穢れてしまった俺を信じてくれている。
真っ直ぐな彼の思いが、俺の胸を締め付けた。
それでも、繋いだ手は離せなかった。
離したくないと強く思った。
波の音が、やけに大きく響く。
優しいはずのその音が、どこか遠く感じた。
このままじゃいけない。
彼を傷つける。
そんなことはわかっていた。
それでも、この手は離せなかった。