テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
すまないスクールの地下。
ブラックの研究室の隣の部屋の簡易ベッドにて。
1人の青年が寝ていた。
「・・・ねぇ、起きなよ・・・もう1週間も寝てるじゃん」
そうすまない先生はこぼした。そんなすまない先生を心配そうに見上げ、青年をじっと見ていたグレイ。
「・・・先生、せんせ、まだ起きないの?」
「・・・うん、彼はまだ起きないんだよね」
「ねぼすけさん、だね!」
「・・・そうだね」
そうすまない先生は、グレイの頭を撫でる。
──ベッドには、すまない先生のクローンが眠っていた。
頬や手先はヒビが深く入り、これ以上侵食はしないが、痛々しい傷だった。
花畑で体が壊れかけていた彼を、ブラックが見つけた。
そして、彼を蝕んでいた“調整”を消した。
これで、すまない先生ほど戦えなくはなったが、命に別状はない。それどころか、恐らく、クローンと同等の寿命で生きれるようになった。
・・・だが、彼が目を覚ますことは無かった。
すまない先生は眠ったグレイを迎えに来た銀さんに預け、青年を見ていた。そして、ぽすっと頭をベッドの布団に預ける。
「・・・早く起きなよ・・・ばか・・・」
そうすまない先生はか細くこぼした。
✵✵✵✵✵
・・・体にヒビが侵食していく感覚が広がる。
もう、指先の感覚さえ無い。
青年、すまは暗い暗い世界でただ自分の体が朽ちるのを待っていた。
痛みはクローンには鈍いため、あまり痛くない。
ぼんやりと自分の体を侵食していく“死”に身を委ねようとした。だが、
『ダメよ』
ふと、優しい声が聞こえた。
目を開くと、そこには、すまない先生の両親が立っていた。
(・・・どうして、あなた達が・・・)
『まだ、あなたは戻れるわ。だから、“この暗闇”に、身を委ねないで』
(・・・どうして、“俺”なんかに・・・?俺は、あなた達の息子のクローン。ただ、それだけだ)
『君からしたら、恐らくそうだろうね。君には、私たちの記憶はないのだから・・・でも、今君が消えてしまえば、君の生徒だって、すまないだって・・・悲しんでしまう・・・』
『・・・私たちは、もうすまないに会えない・・・でも、あなたはまだ“生きている”。だから、どうか・・・私たちの代わりに、すまないを見守って・・・』
そう優しげな言葉に、徐々に意識がハッキリとしていった。そして、
『『すまないを、頼んだ』』
最後に、そう聞こえた。
✵✵✵✵✵
ピクリと指が動いた。青年はゆっくり瞼を開ける。
そして、目の前には驚いたように目を丸くする“すまない先生”と“ブラック”が。
「・・・おはよ・・・にぃさん・・・」
「・・・馬鹿・・・!遅いよ・・・!」
すまない先生は青年、いや、すまを強く抱き締めた。そんなすまない先生の背を、ポンポンとあやす様に手を回した。