テラーノベル
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通話が切れたあとも、
しばらく誰も動けなかった。
なつはスマホを握ったまま、立っている。
画面は暗いのに、手だけが震えている。
「……生きてたんだな」
らんがぽつりと呟く。
「よかった、じゃないの?」
すちが言うけど、声は軽くない。
なつはゆっくり息を吐く。
「よくない」
短い否定。
その一言に、重さが詰まっている。
みことが静かに聞く。
「ゆうは、なつのこと恨んでる?」
沈黙。
答えはもう出ている。
いるまは、胸の奥がざわつくのを感じていた。
“選ばなかった”
その言葉が引っかかっている。
「……俺、そいつに似てたか?」
思わず口から出る。
なつの目がはっきり揺れた。
その反応が答えだった。
こさめが小さく息をのむ。
なつは視線を落とす。
「似てた」
正直すぎる声。
「だから、拾ったの?」
いるまの声は震えていた。
責めたいわけじゃない。
でも、聞かずにいられない。
なつは首を振る。
「違う」
即答。
でも、そのあとが続かない。
沈黙が痛い。
そのとき、スマホがまた震える。
メッセージ。
【会おうぜ】
短い。
逃げ道を与えない文字。
らんが低く言う。
「来る気だな」
すちが眉をひそめる。
「家、バレてる?」
なつは苦く笑う。
「さっき言ってただろ。楽しそうだなって」
つまり。
見ている。
どこかから。
いるまの背中が冷える。
守られているはずの場所が、急に薄くなる。
みことが一歩前に出る。
「会うの?」
なつは画面を見つめたまま。
「……逃げたら、また同じだ」
数年前と同じ選択。
出なかった電話。
見なかった顔。
今度は。
なつはゆっくりと打ち込む。
【いいよ】
送信。
すぐに既読。
そして返信。
【じゃあ、明日】
明日。
今度は本当に“明日”が来る。
いるまは、なつを見る。
守る側の顔じゃない。
迷ってる顔。
怖がってる顔。
人間の顔。
「俺も行く」
気づけば言っていた。
なつがはっとする。
「関係ない」
またその言葉。
でも今度は、いるまは引かない。
「関係ある」
まっすぐ言う。
「俺、ここにいるって言った」
数か月前の夜と同じ目。
逃げない目。
なつの喉が鳴る。
ゆうは、なつを壊しに来ている。
でも。
もし本当は。
壊れたまま、置いていかれた側だったら?
選ばれなかった側の痛みは、
簡単に消えない。
明日、会う。
それは再会じゃない。
清算でもない。
選び直す夜になる。
コメント
4件
さいきんみれてなくてごめんね〜、、꒰՞⊃>⸝⸝⸝⸝<⊂՞꒱՞՞
はーと10したよ〜!