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剣舞光音
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ー後宮。ここは、あまり遊郭と大差ない。妃達の間で起こる愛憎劇や殺人、殺傷。ここで…藍は守ると決めた美人、優林を守るのだ。
「ともかく、毒は大丈夫でしょう。毒見役が居ますし。それに、この後宮に皮膚から馴染む毒を作れるものが居るとは思えないですから 」
そう言いながら、優林の荷解きを手伝う。
「その本は向こうに、その壺はそこ。化粧道具はそこの棚の中、服はそこ、髪飾りはあっち」
と、指示を飛ばされ、パタパタと忙しなく動く。ー優林、彼女は遊郭でも珍しい、男誘惑をしないタイプである。純粋なの美しさを持ち、優しく人に接する。…華洋館の花魁共とは全くの別物だ。
「終わりましたよ、優林様」
と、指定された座所に片付け、服を整えながら言う。…踊ることのない後宮では、藍はただの給仕や身の回りの世話をすればいい。それなら、慣れているから安心だ。
「それにしても、帝は女の扱いが相当だと聞くから、少しだけ不安ね」
と、鏡の前で髪を櫛で梳かしながら、そう言った優林。
「何かあったら、私がぶん殴って止めます!」
(美人を傷つけるわけにもいかないからね)
そう心に強く誓った藍。そんな彼女を見て、優林は困ったような微笑みを零した。
「不敬罪で裁かれちゃうわよ」
そう言って、櫛を置いた。そして彼女は寝るのか、寝巻を持ってきて、着替え始める。
「不敬罪だろうがなんだろうが、優林様を雑に扱うのは許しません」
「ふふ、ありがとう」
美人を雑に扱うなどあり得ない。それ以前に、こんな優しい人を殺したり、無理やりなんて
言語道断である。
「おやすみなさい。何かあったら全力で叫んでください」
「ええ、わかったわ」
最後まで、そんなことを言った藍を見て、優林は笑いながら、どこか安心したように言って、寝台に入った。
(美人は早く寝て、明日も笑顔を見せてくれるのが一番だからな)
(そう言えば、少し出たが…帝の噂は、それほどまでに良くないのか?…私も、少しだけ女癖が悪く、側室にヒステリックにキレられているのだとか……帝も、正室様を亡くされてから変わったものだ…)
ため息をつき、自室に消えていく藍。
パタン……
ー帝の噂は、ほとんどの国民が知っている。正室との間の子には目もくれずに、ただ正室に似ているような美人を掻き集め、挙句の果てに捨てたり、不敬罪として処罰したり…。と、酷いものである。
(まぁ、私には関係ないけれど)
藍はそう割り切ると、深い眠りに落ちた。